候補者三つ巴。一強だからこそ、残り1枠に誰を送り込むかを考えて投票したい。千葉県議選(成田)
いよいよ明日に迫ってきた、千葉県議会議員選挙。成田市選挙区においては、定数2に対し、3人の候補者が立候補しています。
当選挙区において、実に16年ぶりとなる県議選ということ、そもそも市長選や市議選に比べ、自分たちとどう関わるのかが分かりづらく、どのような視点で検討すべきか、いまいち判断しづらいのが個人的な「県議選」の印象です。
でもまあ、義務として投票には行かなきゃいけないわけで、今回の選挙に関して、自分なりに思うこと、誰に投票すればよいと考えているか、その根拠など、備忘録として記していきたいと思います。
盤石の小池さんに死角なし。だとするとポイントは残りの1枠。
今回唯一の現職の小池さんは、成田市議・千葉県議を長年務め、市政・県政にも精通しています。三里塚出身ということもあり、ライフワークとして成田空港の課題に取り組んでいます。説明もわかりやすく、親しみもあり、かつ情報発信も自らされている。さらに自民党としての組織力、多くの成田市議の応援も加わり、隙がありません。
ここまで圧倒的な状況ながら、胡座をかくことなく、全力で選挙戦を戦っています。直接街頭演説も見にいきましたが、まるで挑戦者の如く全力投球でした。
地元支援者、政治に精通した市民、なんとなく投票に行く層まで、幅広く票を集め、圧倒的な得票差で当選するのではないかと個人的には予想していますし、多くの方も同じような印象を抱いているのではないでしょうか。
誰もが認める、成田と千葉のパイプ役、もし仮に定数が1だとしたら、小池さん一択なのは、疑いようもありません。競馬なら倍率1.0です。元返しです。
だけど定数は2。残り1枠あります。だとすると、小池さんはともかく、残り1枠をどちらの陣営が獲得するかが、今回の選挙の注目ポイントだよなぁと、個人的には思うわけです。
死角がなく結果が見えている小池さんに賭けてもあまり面白くないので、今回は残り2人のうちどちらがより県政に行ってもらいたいか考えて投票しようと思います。
雨宮さんの不安要素と若さで追う橋本さん
雨宮さんは4期16年成田市議をつとめ、最後は議長の職にもつきました。連続トップ当選で人気は不動のものです。昨年12月に行われた成田市長選挙に出馬し、落選してしまいました。去就が注目される中、一度は政治を離れる決断をしたとのことですが、今回県議選に林県議が不出馬を表明したのを機に、周囲の人からの後押しもあって出馬を決意したそうです。
一方の橋本みきひこさんは、航空自衛隊勤務の後、経営コンサルタント取締役、27歳の若手です。政治未経験ながら、国民・立民・連合の推薦という強力なバックアップを受け、県議選に挑んでいます。
普通に考えれば政治経験の豊富な雨宮さんが順当だと思うのですが、今回不安要素がないわけではありません。雨宮さんは、昨年の市長選の際、現市政の至らぬところ・おかしなところを変える、と訴え続けて戦っていました。個人的には圧倒的不利な立場で、あの戦略は妥当だったし、市政への指摘もうなづけるものでしたが、問題点を突くやり方には否定的な感情を持つ市民も少なくなく、加えて対抗の現市長の応援に回った多数の市議(=元同僚)からの批判も相まって、良からぬ印象を市民に植え付けられたまま選挙戦に突入してしまいました。今回の県議選出馬に至る経緯はすでに述べましたが、そのことを知らぬ人の中には「市長がダメなら県議か」と節操ないという印象を抱く人もいるかもしれません。また、市長選での総力戦から日も浅く、急遽出馬を決めたこともあって準備不足なところもあるのではないでしょうか。(準備不足だなと外から見て感じているのではありませんが、時間があればもっと戦略を練ったり準備していたのではないかという推測です)
一方の橋本さんは、昨年から駅頭に立ち続け、爽やかな挨拶で着実に市民への認知を広めながら、推薦を得ている党所属の議員らの手助けもあって、初出馬ながら泡沫候補ではなく、対等に渡り合っていると感じます。実際に話してみるととても爽やかで好青年だし、若さはそれだけで武器になるし、頑張ってる姿は応援したくなります。
演説の中で見えてきた、政策の実効性
ただ、橋本さんの演説を聞いてみると、(頑張っているとは思いつつも)課題に対する解決策の解像度の粗さや矛盾などが目立ち、実効性に不安を感じます。原稿を覚えたんだけど、自分の言葉になっていないというか…。がんばります!という意気込みは伝わって、それは嘘じゃないとも思うのですが、県政の場において、果たしてやりたいこと、やると言っていることがどれだけできるのか、もっというとそれが私(成田市民)の益につながるのか、そこがまったく見えないのがもったいないなと思いました。まだまだ県議としての実力不足なところが否めない印象です。
例えば、橋本さんは、いま千葉県議会は、熊谷知事の抵抗勢力が強く県政が停滞している。熊谷さんの味方となり熊谷県政を推し進める、といった主張をしていたのですが、政治未経験の若手が1人入ったところで政局が変わるほど甘いとは思えないし、もし何か策があるなら、その具体案をセットで示さないと、意気込みだけで終わってしまいます。また、新駅設置などは市民への利便性に直結するところですが、今まで何十年話が進まなかったところをどう進めるのか、そこを語らないと、「橋本さんに県政行ってもらえれば話が進みそう」という期待につながりづらい気がします。言っていることは志高く、間違いないのですが、実現する策がイメージできず、まだまだ理想論にとどまっているのが実に惜しいなあというのが個人的な感想です。
雨宮さんは、市長選の際に作成した120の政策の中から、実際には市の動きだけではなかなか実現が難しい施策を、県と成田市の連携の中で実現すると訴えています。首長と一県議の違いで、訴える政策はマイルドになっていますが、市長選の時に市民の話を徹底的に聞き、施策に落とし込んだ成果が表れていると感じます。もともと、彼は選挙のたびに「政策提案できる議員を」と訴え続け、政策立案力には定評があります。むしろ、政策よりも政局、人間関係やしがらみが多く、政治レベルの低い成田市よりも、ひょっとしたら彼の能力は、県政でこそ輝くかもしれません。
まとめ
以上のことを考えると、具体的に県政に働きかけ、成田市に便益をもたらすことができるのは、(小池さんを除いて)やはり雨宮さんに軍配が上がってしまうかなぁ。でもでも、橋本さんも本当に惜しい。できれば定数3に増やして、3人ともに行ってもらえるのが理想なんだけどなあ。