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493 太陽が西から登ることになったら

写真は地球儀。台座に小さな太陽光パネルがあり、電磁石の仕掛けで回転するすぐれものだ。この写真を撮ったときも回転している。ただ、本来の地球では、あなたの視線を太陽光とすると、左から右へと回転しているはずだが、この地球儀は右から左へと回転している。地球儀の日本の場所に立っているとすれば、西から太陽が昇り、東に沈むことになる。

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エイっと力を加えて、本来の回転に戻すことは可能だが、朝起きて(光源が動力源なので夜間は停止する)、カーテン開けると再び逆回転を始めるのだ。そこでふと考える。SFっぽいが、地球が逆回転するようになったらどうなるか。

日本最初の外交官は小野妹子(おののいもこ)とされている。アジア大陸に発生した強大な隋(ずい)という帝国の実情を探るべく、推古(すいこ)天皇の国書をもって表敬訪問で出かけた。「太陽が昇る位置(東方を意味する)にある日本国の天使から、太陽が沈む位置にある(西方)隋国の天子に伺います。日々ご壮健ですか」。この外交文言に煬帝(ようだい)皇帝が激怒したと伝えられている。「島国日本の国運が上昇傾向にあり、大陸のわが隋帝国が斜陽とはいかなる思い上がりか」と。小野妹子がどのように返答したのか。無事に帰朝したのだから(当時は外交使者が首をはねられるのはごく普通であった)、上手に切り抜けたのであろう。両国が対等ということを貫き、隋との間で周辺諸国のような朝貢関係にならなかったのだから、外交使節として成功したとされている。ちなみに小野妹子は男性。ハニートラップを行使したのではない。

地球の回転方向を逆にできたら。そう考える権力者は昔からいた。小学校だったか中学校だったかで習ったのは、権力絶頂期の平清盛(たいらのきよもり)。瀬戸内海の厳島神社に参詣した際、西方の海に沈もうとする夕日に向かって「戻って来うい」と叫んだ。神をも恐れない権力者のおごりの事例として伝えられる。
同じことを考える権力者が今の時代に現れたらどうか。そんなことはあるわけがないよ、フフンといつまで鼻の先で笑っていられるだろうか。人間の平和的な経済活動によって炭酸ガスが増え、地球が温暖化して人類が絶滅しかねないと世界中の政治家も科学者も騒ぎ立てている。フロンガスによるオゾン層の破壊、pm2.5という微粒物質による呼吸器障害など、それにコロナ等の感染症…。加えて積極的に人類滅亡をもたらす兵器類。例えば核兵器は人類を何度も皆殺しにできる量が実践配備(日本は超例外)されている。生物兵器や化学兵器も開発ピッチを上げている。
日本ではいかなる政治家もその本質は善人であると考えられている。よもや太陽の運行を逆方向にしようとする者などいるはずがないと。果たしてそうか。この百年でもスターリン、ヒトラー、毛沢東などの極悪人政治家がいた。彼らには知名度で劣るが、非道ぶりで並ぶ者は元首クラスでも数えきれない。日本で独立国家を作り損ねたサリンの麻原彰晃だが、比較表にも入れない。
政治家は手綱を緩めると何をするか分かったものではない。だから権力行使を監視し、言動に不審なことがあれば退陣させる。そのためのチェック&バランスの仕組みを常に起動しておく。ボクたちが学んだ民主主義である。
全知全能の指導者に従っていれば幸せになれる。世界の覇者民族になって君臨収奪する。政治指導者の悪魔のささやきは耳に心地よく、洗脳されそうになるから気をつけなければならない。特にうぶな日本人の典型であるボクなどはと、逆回りの地球儀を見ながら心に呼びかけている。遠い外国の出来事だからと放置していると、取り返しがつかない事態になってしまう。悪い芽は、手の付けられない大樹になる前に切り取らなければならない。

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