741利率0.002%
銀行から通知書が届いた。定期預金の利息を差し上げるという。わが乏しい預金が生活費の一部を稼いでくれた。だが感激は金額を見るまでですぐにしぼんだ。印字された金額は、この通知書を送付するのに要したであろう郵便代金の数分の1にも及ばない。しかもそこから税金として2割を徴収したとある。
改めて定期預金の利率を確認すると0.002%とある。2%(百分の2)ではなく、さらにその千分の1である。ボクが家族をもち、ボーナスで郵便局の定額貯金を始めた頃の利率は8%とか9%であったと記憶する。10年の満期時には複利で2倍以上に増えていた。預貯金とは本来そういうものではないのか。
子どもの学資やマンションのローンの時期を乗り越え、自身の老後の準備として預金する時期になると、8%の利率が0.002%に下がっていた。同一の元金について得られる利息は、かつての4000分の1というわけだ。
老後の準備金として2千万円がクローズアップされる。利率が8%であれば年間160万円(税込み。以下同じ)の利息を生み出す。年金と合わせれば老後生活は安心だ。だが0.002%では、得られる利息は400円。ATMがある駅前までの往復バス代にも及ばない。
0.002%の利率で、年間100万円の利息を得ようとすれば、元本は500億円必要。2000万円の2500倍が必要になる。バカバカしいようだが、一考する価値があるのではないかと思える“考え”が湧いた。
銀行で抽選をするのだ。定期預金者から希望者を募り、当選率2500分の1の籤(くじ)をするのである。財源は応募者が提供する0.002%の利息。
方法はこうだ。応募者の定期預金を500億円単位でくくり、その単位ごとに0.002%の利息分を算出すると100万円になる。当選者だけに与えることで、その人は5%の金利を得られる。
具体例で示そう。当選者が2000万円以上の定期預金を持っていたとすると、その人だけが100万円の利息を得て抽選は終了する。しかしその人の預金額が500万円だったとすると、その人は5%の利息25万円だけを得る。まだ利息が75万円残っているから、抽選を続ける。次の当選者の預金額も500万円であれば、その人も25万円を得るが、残金が50万円あるから、さらに抽選を続ける。当選者に小口預金者が続くようだと、5%の利息をもらえる人は多くなるわけだ。預金額100万円の人ばかりだと、20人が幸福な利息授与者になれる。
100万円の定期預金者では、0.002%の年間利息は20円(税を引けば16円)。2000万円を持っている人でも400円、日に換算すれば1円である。ならば以上のような抽選で、まともな金額の利息の夢を見るのもいいではないかと思うのだ。
もちろんあるべき姿はまともな利息に戻ることである。外国で預金すれば利子がつくのに、なぜ国内ではゼロなのか。その理由は簡単。国債債務が積み上がり、まともな金利になったら、返せないからだ。バラマキ財政で積み上げた赤字国債の借金累積は1千兆円。その0.002%は200億円だが、利率が1%になると利息は10兆円、2%では20兆円、3%では30兆円に跳ね上がる。これを1億人で割ると10万円ないし30万円。これが国債利払いだけのために、国民すべてが毎年追加負担すべき額になるのだ。
こうしたことを承知で、さらに借金を増やす計画が進められている。愚かなり。