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409ニホンザルにメスのボス

動物行動学研究家でエッセイストの竹内久美子さんの文章は読んでいて楽しい。分かりやすい。そして参考になる。
本日(2021年9月15日)の産経紙『正論』の「リーダーは力だけではなれない」も勉強になった。
大分県高崎山のニホンザルの群れは何十年にもわたって、学術的な観察研究対象になっている。そのサル群にこの7月末にメスのボスが誕生したことは、「極めて異例なできごと」として広く報道されたから、ご存じの方が多いだろう。
ニホンザルは複数のオスと複数のメス、それとその子どもたちで構成される。ただし群れのリーダーになるのはオスと決まっている。ところがその暗黙のルールを破ってヤケイ(高崎山のサルには観察の便宜上、すべて名前が付けられている)というメスがボスに就任した。
なぜヤケイが不文律を破ってボスを志したのか。またなぜそれが可能になったのか。それらについては、経緯を含めて多々紹介されているし、さまざまな解釈がされているから、関心ある人はそれらを読んでいただこう。

今回の竹内さんの文章は絶妙なタイミングであった。自民党の総裁選が始まろうとしており、これは事実上総理大臣選びになる。
竹内さんの文章を要約しよう。
①ニホンザルやチンパンジーにおいてリーダーになるのは、力やケンカの強さがものをいう。
②同時にニホンザルやチンパンジーでは、リーダーがリーダーたり得る最大のポイントは人格である。
③人間の場合は、これらに加えて政策という他のどんな動物にもあり得ない要素がある。
「私は、人格と政策によって自民党のリーダーが誕生することを願っている」と竹内さん。
 厳しさを増す一方の内外、特に専制主義の台頭、自由思考の価値の退潮という情勢の中で、「わが日本は違いますよ、自由と民権のために戦いますよ」と国民を糾合(きゅうごう)し、リーダーシップを発揮できるのはだれか、総裁選には投票権がない多くの国民が、信じるところに従い、声を発することが必要である。

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