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相撲協会の”公益性”に疑問 目的に沿った責任行動を欠いた結果こうなった

 大相撲でまた暴力事件だ。概要は下に紹介した新聞社説にあるとおり。粗暴で以前から指摘があった新進力士が弟弟子などに暴力をふるい、それを親方が制止もせず、見方によっては黙認していたのではないかと疑われる事件。
 当の力士、北青龍は引退廃業、宮城野親方は相撲協会内での地位を格下げになった。

 スポーツ競技者のレベルアップのためには厳しい指導が必要であり、ときとしていじめすれすれのものがあるとの主張もある。オリンピックやワールドカップで勝つためには必要悪との言われればそうかなとも思うのが普通人の感覚だろう。

 その点相撲協会の規則ではどうなっているのか。日本相撲協会は「公益財団法人」の認定を受けており、その目的規定(第3条)は次のようになっている。重要箇所をゴチック体にした。目的規定のどこにも競技スポーツであるとは書いてない。
 わが国固有の神事を起源とした”相撲道”であるとする。そこで神事の相撲とは何かになるが、少なくとも神事の相撲とは、「勝てば何をしてもよい。強い者が正しい」などではないはずだ。正しくは「相撲道の伝統と秩序」が何かになるわけだが、その点を相撲協会はその公益性の根拠として常に明瞭におく必要があろう。
≪この法人は、太古より五穀豊穣を祈り執り行われた神事(祭事)を起源とし、我が国固有の国技である相撲道の伝統と秩序を維持し継承発展させるために、本場所及び巡業の開催並びにこれを担う人材の育成、相撲道の指導及び普及、相撲記録の保存及び活用、国際親善活動を行うと共に、これらに必要な施設を維持及び管理運営し、もって相撲文化の振興と国民への心身の向上に寄与することを目的とする。≫
 ここからは暴力への肯定的要素はまったく出てこない。

 目的に「国際親善活動」も挙げられている。普通の国語的理解では、日本の相撲道の考えを諸外国に紹介し、日本的物の考え方を紹介することであって、力自慢の若者を賞金の魅力でリクルートすることではあるまい。相撲道を理解する者の参入は歓迎だが、相撲道の伝統や秩序を意に介さない者を受け入れることは邪道であろう。

 今回の二人はいずれもモンゴル共和国の出身者である。宮城野親方は元横綱白鵬で最多優勝回数を誇り、出身母国でも英雄のはずだ。そしてモンゴルは暴力的侵略国家である中露に挟まれ、安全保障上もわが国と外交利害を共通にする。政治的に親善関係が必要な関係にある。今回の事件が適性勢力のプロパガンダに利用される惧れもなしとしない。もしそうなったら責任を相撲協会が追わなければならない。
 相撲協会の関係者はきちんと理解しているのだろうか。
 それにつけてもロシアは国土が広すぎる。中国は人口が多すぎる。これら両国の分割が世界平和の第一歩である。

角界の暴力 変わらぬ体質変革せねば

新潟日報社説 2024年3月3日

 暴力行為がまたも発覚した。角界の体質が何ら変わらず、ファンの失望を招いている。
 当事者だけではなく、相撲界が一丸となり、暴力根絶へ力を注ぎ再発を防がねばならない。
 幕内の北青鵬が日常的に後輩力士へ暴力を加えていたことが明らかになり、日本相撲協会は、暴力行為に対する監督義務違反で、元横綱白鵬の宮城野親方を委員から年寄への2階級降格と3カ月の20%報酬減額とする処分を決めた。
 北青鵬はコンプライアンス委員会が示した引退勧告案を受け入れ、現役を引退した。
 協会によると、北青鵬は2022年7月から23年11月にかけて、弟弟子2人に、ほうきの柄で尻をたたいたり、バーナー状にした炎を体に近づけたりした。指に瞬間接着剤を塗布する暴行もあった。
 親方は、北青鵬に対する監督を怠ったほかに、協会の調査に先立ち、部外者が関与した口止め工作も判明した。
 協会が「師匠としての素養、自覚が大きく欠如している」と、強く非難したのは当然だ。
 親方衆の序列で、最下位の年寄(再雇用者の参与を除く)となり、師匠としての立場もしばらく失われる。宮城野親方は厳粛に受け止め、反省しなければならない。
 親方は現役時代、史上最多の45度の優勝を重ねた一方で、粗暴な取り口や独善的な振る舞いで、協会から何度も処分を受けた。年寄襲名の際には、協会の規則を守るなどの誓約書にサインし異例の承認だった。
 今回、コンプライアンス委員会の中には「もう相撲協会から排除すべきではないか」との意見もあったという。
 「申し訳ない気持ちでいっぱい」と親方は謝罪した。今後は、心技体とも充実した力士の育成に努めてもらいたい。
 北青鵬は初土俵から3年で新入幕を果たし、将来を嘱望されていたが、謙虚な心が欠けていたという。親方がしっかり指導していれば、と悔やまれる。
 大相撲では、07年に時津風部屋で時太山(本名・斉藤俊さん、新潟市北区出身)が親方や兄弟子の暴力を受け亡くなった。
 協会は再発防止策を打ち出し、研修会や啓発活動をしているが、暴力や賭博などの不祥事が後を絶たない。旧態依然の暴力体質がはびこっていることは明白だ。
 宮城野親方を責めるだけでなく、協会は危機感を持ち、再発防止策の強化など抜本的な改革の断行が求められる。

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