501都議会議員の資産が公開された…有権者に等身大の人はだれか
わが国は代議制民主主義。選挙で選ばれた代表者が主権者である国民の意思を代表する。そこでどういう人を代表として選出するかとなるわけだが、その場合、自分と生活実態が近い人が、自分にとって望ましい政治判断をするはずと考えることは的外れではないと思われる。これは国、都道府県、市区町村を問わず基本的に共通する。
われわれが選んだ代表者はどういう人なのか。そのうち都議会議員について、現職者の資産がいっせいに公開された。127人の平均で1803万円とのことだ。
有権者である自分と比較してどうか。若い世代では「けっこう持っているな」と感じ、年金世代では「議員でも2千万円の老後資金には足りないのか」と感じただろうか。
これは本人名義の資産のみが対象で、家族名義の資産は含まれていないとのことだ。資産には不動産、有価証券、自動車・船舶(ヨット等)、ゴルフ場利用権などが含まれる。ただし普通預金は含まれていないそうだ。貸付金と借入金では同一生計の親族間を含まない。
時点は議員任期が始まった昨年7月23日。当選時点の姿を現していると思われる。
重要なのは平均ではなく、個々の議員の資産とその構成内容。持ち家か借家か、貸付金があるのか逆に負債があるのかなど。新聞(1月5日読売)に議員ごとの資産構成が載っていた。そのうちボクの区域(江東区)選出の4人は次のようになっている。
有権者である自分と等身大の議員はだれだろうか。
●細田勇議員(公明党)。A:資産総計790万円。内訳①土地156万円、②建物633万円、③預貯金0万円、④有価証券0万円、B:貸付金0万円、C:借入金0万円。
●山崎一輝議員(自民党)。A:資産総計0万円。内訳①土地0万円、②建物0万円、③預貯金0万円、④有価証券0万円、B:貸付金0万円、C:借入金万0円。
●畔上三和子議員(共産党)。A:資産総計1426万円。内訳①土地76万円、②建物49万円、③預貯金1300万円、④有価証券0万円、B:貸付金250万円、C:借入金0万円。
●白戸太朗議員(都民ファーストの会)。A:資産総計1419万円。内訳①土地436万円、②建物859万円、③預貯金40万円、④有価証券113万円、B:貸付金0万円、C:借入金1326万円。
ボクでなくても驚くのではないか。すべての項目がゼロという人がいる。再選のようだから、これまで議員報酬を右から左へと回してきたということだろう。それとも今回の選挙で使い果たしたか、選挙で落選したらどうするつもりだったのか、先行きの老後準備はいいのか。死ぬまで議員を続けるつもりでもいるのか。数字にマジックがあるのでなければ、けた外れの楽天家のようであり、並みの国民とは人生観が違うようだ。
各議員の自宅はどうなっているのだろうか。土地が156万円とか76万円とか人がいるが、都心に近いわが区内では1坪になるかどうか。マンションの区分所有でもこの狭さはないだろう。自宅公開すれば有権者も納得するだろうが…。
有価証券は一人を除いて保有していない。政府は預貯金をやめて金融投資をせよと号令をかけている。でも政治情報を持つ議員にその意向はないのだとしたら、われわれ庶民が金融商品に手を出したら火傷をするという明確なメッセージではないか。金融市場が活気づかず、経済成長しない原因は政治家の投資行動が原因?
かなりの額の借入金を負う者がいる。借りた先はどこか。住宅ローンならば普通だが、選挙のために危ない筋から借りたということはないか。政治家がカネに困って政策を捻じ曲げるようでは、民主主義は成り立たない。
いずれにせよこの資料だけでは正確なところは分からない。家についても親と同居しているのかもしれない。しかしそうであればそれで、いい歳をして親の家に居候もないだろうという心配が生じる。(老親を同居させての三世代同居かもしれないが、その場合は家の名義は本人になっているのが普通だ。)
議員が特別の資産家であることは望まない。逆に無資産者に近い人であるのも心配だ。どちらかの選択肢しかないのだとしたら、カネに困っていない人に社会への恩返しのつもりで政治に携わってもらいたい。