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824訪日客回復181万人 3月コロナ前の66%

読売新聞(2023年4月20日)のトップ記事。IRカジノはどうなるかに考えが飛んだ。
≪日本政府観光局が19日発表した3月の訪日外国人客数(推計)は181万7500人だった。コロナ禍前の2019年3月(276万126人)比で65.8%の水準に回復し、昨年10月の個人旅行の受け入れ再開以降で最高を更新した。今年2月(147万5300人、コロナ禍前の56.6%)に続いて順調に伸びており、日本経済の追い風として期待される。≫

 外国人観光客による経済効果はコロナ禍前の2019通年の訪日客の消費額は4.8兆円だった。政府目標は年間5兆円。野村総研の木内登英氏は2023年5.9兆円と政府目標を超えると試算しているという。コロナが2類から5類に引き下げられることも寄与すると見られる。円安を割り引いてもいい傾向と政府は歓迎している。
 訪日観光客の旅行支出は平均18万5616円。これをさらに引き上げるには、バックパックのような貧乏旅行ではだめだ。老舗の日本旅館に泊まり、寺社にたっぷり拝観料を払い、高級素材の料理に舌鼓を打つだけでもまだ足りない。外国人観光客の財布を緩める手段としてIR =Integrated Resortが位置付けられるのだと理解する。統合型リゾートと訳され、ホテル、劇場、ショッピングモール、国際会議場、展示会場などがまとまって配置されるとされるが、そうしたなかでもっとも重視されるのはカジノだ。アメリカのラスベガス、中国のマカオ、あるいは国全体がそうなっている感があるシンガポールでもカジノ客が好まれる。

 わが国でIR誘致運動している政治家や事業者などの狙いもそこにあると思って間違いない。そのため母親などからは「近所に博打場所ができるなんてとんでもない」と反対運動が盛り上がることになる。
「国家興隆のため地域経済のためにカジノが必要」という要求と、「子どもの教育環境や地域の風紀の観点から博打場所はダメ」という声。真反対なのだから、そのままで勝敗を決めるのではどうしたって禍根を残す。
 両方の主張が折り合う妥協はないものか、
 「足して二で割るのは本来保守派政治家の得意技、なのにこの件では妙案が聞かれない。代わりにというわけではないが、こういう案ではどうか。

 そもそもカジノとは「賭博(とばく)場」である。「賭博場を開帳し…利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する」と刑法186条に書いてある。客の方も「賭博をした者は、50万円以下の罰金または科料に処する」となっている(刑法185条)。
本来はそうだが、法律によって除外するというのがIR関連法の大ポイントなのだ。競馬、競艇、自転車・オートバイの公認賭博と同じであり、パチンコも類例だ。
 質的には同じだが、違うのは掛け金の額。日曜日にサンダル履きで庶民が息抜きに行くことが想定されているのがこれまでの公認ギャンブルなのに対し、IRのカジノでは高い交通費と宿泊費を払ってわざわざやってきて、フォーマルは服装で正式ディナーや観劇を楽しんだついでに賭け事をするのであるから、千円単位でチマチマなんてことは許されない。百万円単位で勝負し、平均的にもその単位で負けてもらうことでなければ豪華なカジノ場の意味がない。

 そう整理すれば政府がすべきことは簡単だ。カジノにはそれにふさわしい者しか入場させなければいいのである。まず外国人観光旅行客。これは基本的にオーケー。次に日本人と国内在住外国籍者。これは基本的にシャットアウト。賭けごとをしたいなら競馬、パチンコがあるではないか。
ただし例外的に入場できる日本在住者を認めよう。例えば前年に所得税を一定額以上納付した者。納税証明書提示で入場できることにする。ただし賭けられるのは年間通じて、前年の納税額を限度とする。かけられる額がたかだか数万円では「行っても仕方がない」となるから、賭け事依存症患者の激増という事態にはならないはずだ。先の所得税納付額の下限を100万円にするなどが考えられる。
カジノに入れないのは平等の原則に反するから人権侵害だと訴える者は(ボクを含めて)よもやいまい。日本国内では賭博は本来違法の可罰行為。その例外としてのカジノなのだからこれが折り合える線ではないか。IRはカネを持っている金持ち外国人に来日してもらって合法的にたっぷりカネを落としてもらおうという本来の趣旨を忘れないことだ。

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