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539参院予算審議に望む 国防費倍増と代替財源

ロシアがウクライナに攻め込んだ。2月24日で家族の誕生日だった。そのためのささやかな会の日だったから、忘れられない日付になるだろう。
今般明らかになったことが二つある。一つは、ロシアの体質がレーニン、スターリンの共産党時代と変わっていなかったこと。二つは、民主主義と自由を守るためのウクライナの抗戦に世界中の人々が支援の声を挙げており、悲観は間違いだということだ。
もちろん先行きは分からない。ただし2月24日前には「人類の先行きへの不安という重い空気が支配していた」が、この日を境に「人類は“専制と隷従、圧迫と偏狭”を跳ね返す自浄力を持つ」との連帯感がよみがえっているように思える。
プーチンの計算では、天然ガス供給遮断の脅しでドイツは口をつぐむはずだった。しかしドイツは違った。24日前までの融和姿勢を一変、ウクライナへの積極支援に方針転換した。同時に侵略国の脅威への対抗策として、国防予算を増強した。今年度、急遽1000憶ユーロを投じる。これで同国国防予算はGDP対比で2%になる。NATOの最低要請ラインに並ぶことになった。民主主義と自由の“普遍的政治道徳”を守る姿勢を鮮明にしたわけだ。
(上記の文中、“ ”は日本国憲法に用いられている文言)

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さてわが国はどうする? 先般、2022年度政府予算が衆議院で可決された。そこでの防衛費は5.4兆円。GDPの1%ラインのままである。来年度のGDP見通しを560兆円と政府は予測している。その2%を防衛費に回すには5.8兆円の積み増しが必要になる。一挙に倍増は非現実的。そういう声がありそうだが、必要な資金を確保するのが予算編成であり、そのための政府である。
ソ連共産党の系譜を継ぐプーチンの矛先はウクライナだったが、同党と膨張侵略の体質に同じくする中国共産党が日々、軍備増強を続けている。一日の対応の遅れが国家としての命取りになりかねない。
わが国の国会は二院制。予算は参議院での審議を経て、本決まりになる。予算審議の衆議院優先(憲法60条)とは、参議院での議決が30日以内に限定されているに過ぎない。そして衆・参の議決が異なれば両院の協議になる。ロシアの暴挙を見て、政府案を修正すべきであったと考える衆議院議員は多いだろから、両院協議で参議院の主張が通る可能性は高いのだ。
参議院の国会議員には、いま何が最重要事項なのかの良識を発揮し、将来に禍根を残さないよう行動してもらいたい。コロナでは緊急と称して、何でもありの予算が計上された。緊急度においては国防の優先度が優る。そしてコロナと違って、国防費は赤字国債発行(つまり将来世代へのつけ回し)で調達するものではない。国民からの税収の範囲内で工面しなければならない。
国会には予算増額権限はないとされている(憲法73条5号)。決議できるのは減額ないし組み換え。防衛費を5.7兆円増やすには、他費目を同額削る必要があるのだ。
衆議院通過の政府予算総額107.6兆円の歳出内訳は次のようになっている。社会保障36.2兆円、公共事業6.1兆円、文教・科学振興5.4兆円、防衛5.4兆円、コロナ対策予備費5.0兆円、その他一般歳出9.3兆円、地方交付税15.9兆円、国債償還費16.1兆円、国債利払い8.3兆円。
どこに手をつけるべきか。答えは見えているはずだ。必要なのは議員の決断力。参議院の審議期間は30日しかないのだから。

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