悪質選挙妨害を許容する政党と政治家 「新法制定するまであれらの行為は適法である」???
先般の衆院補選、東京15区でのつばさの党による悪質な選挙妨害に怒りを感じない者は民主主義信奉者の中に一人もいないだろう。
各政党もなんとかしないといけなしと意見表明している。
しかしどうにもおかしな動きになってしまうようだ。
例えば日本維新の会の音喜多駿政調会長。「国会で早急にこうした行為を取り締まれる法律を超党派で成立させたい」と語った由。気持ちは分からないでもない。警察も検察を動かす根拠法を作ろうというのだ。
だがちょっと待て! 現行法で取り締まれないという判断をだれがしたのか。冷静に考えてみよう。ある候補者が別の候補者と議論が嵩じて取っ組み合いになり、一方が他方を殴り殺したとしよう。
「選挙運動中の行為だから罪に問えない」ことになるのか。そんなバカなことはないだろう。殺人容疑で即逮捕だろう。今回補選では、いまだに耳鳴りが止まない被害候補者が出ている。十分傷害罪ではないか。
音喜多発言が危ういのは、「新法制定によって取締りが可能になる」としていることだ。裏を返せば、現行法では取り締まれないと国会議員(立法権能者)が公的に認めたことになる。
現行の法律の制定時に、今回のような悪質な選挙妨害をする者が出ようとは想定していなかった。それは事実だろう。でも発生した。その場合にどうどうするか。一般常識では、現行法の立法趣旨に立ちもどって解釈する。そうすればあれらの行為を見逃すことはできない。しかるに警察は動かなかった。それが正しかったのか。それとも職務懈怠なのか。
国会は唯一の立法機関である。立法者としての解釈権がある。音喜多議員を含め、各国会議員は「本当に現行法では手も足も出ない事案なのか」を、自身の頭で考える責務がある。
超党派でなんとかしたいと維新の会の音喜多政調会長は言い、各党に働きかけるという。まずすべきは超党派で「取締り勧告」を出すことだ。それには国会(議員法制局を含む)としての現行法の国会解釈を添えるのである。
ことは民主主義という憲法理念の根幹にかかわる。先般の悪質行為が容認されるべきと考える者がいないにもかかわらず、国会の判断で適法行為に捻じ曲げてしまう。そんなバカなことをやっているのが国会であるなど、低レベルで恥ずかしい。
法学部の学生ならば誰でも習うが、刑法に電気窃盗罪(現行では245条)がある。明治の昔、電気は「モノ」ではないから窃盗罪にならないと、盗電犯がうそぶいた。下級審は無罪としたが、大審院(最高裁)は立法趣旨に鑑みて有罪にした。その後、国会で疑問を残さないよに「電気窃盗罪」を追加した。
重要なのは法改正の前から有罪であったこと。
国会音喜多議員が新法制定を唱え、重罪を課すことに反対はしない。だが、現行法でも十分とりまるべき案件であるにもかかわらず、早々と適法行為としてしまうことが幼稚過ぎるのだ。勝手に現行法の運用を制限してしまうのは、国会の立法権を自ら否定することにつながる。つばさの党の連中と底でつながっているのではないかと勘繰られるのは本意ではないはずだ。
なおボクは民主主義の否定行為、破壊行為は最大の重罰にすべきであり、刑法内乱罪の適用が妥当とかんがえている。つまり死刑適用もあり得る重罪ということだ。