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臓器移植に限らず、日本のマスコミは肝心なことに触れず、隠そうとする。単なる不勉強とは思えない。

 マスメディアは伝えるべきことを伝えない。その一例としてNHKニュースを取り上げよう。報じた内容はその標題にあるように、「生体からの肺と肝臓の同時移植に成功したが、これは世界で初である」ということ。
 しかし肝心なことが報じられていない。端的にこの手術との治療にかかった「費用をだれが負担したのか」である
 患者家族が全額負担したのか。それとも病院が研究のためだからと負担をかぶったのか。そうだとすればこの病院(京大附属病院)はその財源を以下にして工面した(隠し持っていた)のか。それとも篤志家ないし製薬企業等から寄付を受けたのか。 
 次に健康保険上の扱いだ。生体移植であり、患者の両親がそれぞれ肺を提供し、祖父が肝臓を提供している。その行為と健康保険法との関係だ。「保険」であることの必然として、「故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由にかかる保険給付は、これを行わない」( 健康保険法116条) となっている。これには保険者の選択的支給を許す留保条項は付いてない。
 両親は祖父は自身の臓器を取り出す手術に同意しているわけだから、当然「故意に」施術後の治療や入院が必要な状況をもたらしたわけであり、普通に条項を読めば健康保険から費用を出すことは禁じられている。もし請求書が回ってきたら、支払基金や保険者は拒否しなければならず、漫然と支払いに応ずれば背任罪を問われる案件である。
 その点、厚労省の当局の説明があるはずだが、記者会見ではどの記者も確認しかかったのか。だとするとその場にいた記者には、今後、健康保険財政について論ずる資格はない。
 法匪のようなことを言うなとの声が聞こえてきそうだが、こうした点をしっかり詰めて、こういう条件でならば健康保険の給付になると解釈を明確にしておかなければ、「同様な患者の救いになる」との家族や担当医の希望が普及することにはならない。
「なあなあ」とか「お涙ちょうだいの美談」程度のいい加減な感覚で社会システムを動かすと後で社会はそのツケを払うことになる。

 ところで死体(脳死)からの肺、肝臓同時移植は、日本以外では20例ほど行われている。死体移植に比べれば、生体移植は臓器が新鮮なだけに難易度は下がる。逆に健康体に人の体に傷を入れるjことになり、モラル、倫理面での論議はより深く尽くされなければならない。しかるにニュースはこの点も意図的にスルーしている。天下のNHKにあるまじき悪性の報道と断じていいように思える。

NHKニュース 生体肺肝同時移植手術“世界初の成功”京都大学医学部附属病院 2024年3月4日

重い先天性の病気の男の子に、両親と祖父からそれぞれ提供された肺と肝臓の一部を同時に移植する世界で初めての「生体肺肝同時移植」手術に成功したと京都大学医学部附属病院が発表しました。
これは、京都大学医学部附属病院の伊達洋至教授らが会見を開いて発表しました。
それによりますと、2023年11月に、関東地方に住む「先天性角化不全症」という病気の10歳未満の男の子に
▽40代の父親と母親から、それぞれ提供された左右の肺の一部と
▽60代の祖父から提供された肝臓の一部を、
同時に移植する世界で初めての手術を行ったということです。
手術は、4つの手術室を使って18時間以上かけて行われ、無事に成功したということで、男の子は3月に自力で歩けるまで回復して退院したということです。
また、臓器を提供した両親と祖父も、すでに退院したということです。
病院によりますと、肺と肝臓を同時に移植する手術は、脳死からの臓器提供では海外で少なくとも20例行われていますが、国内では例がなく、健康な人からの生体肺肝同時移植が行われるのは、世界で初めてだということです。
会見で伊達教授は「特殊な例ではあるが、複数の臓器がいたんでいる患者にも移植ができる可能性を示したのは意義がある」と話していました。
また、男の子の両親は「移植を諦めるしかなく何もできないもどかしさや絶望感を抱えている患者さんや親族の方の一筋の光になればうれしい」とコメントしています


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