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477 将来世代に生まれながらハンディを背負わせないコロナ対策

昨年5月から実施されていた国会議員の報酬2割返上。その理由として、当時の自民党・森山裕国対委員長は、コロナで「非常に厳しい状況が続いている。国会も国民と気持ちを一緒にするのが非常に大事だ」、立憲民主党・安住淳国対委員長は、コロナで「企業も経営難に陥ることは明らか。我々自身が範を示す」と語っていた。
コロナはオミクロン株の流行で再度の大流行になるとの見通しを述べる者が多い。そのためワクチンの追加接種、治療薬の準備などで、財政支出はますます必要になるという。先の議員の報酬返上は続くことになるのだろう。
もともと諸外国に比べても異常に高額の議員報酬のことだから、削減はコロナがなくても必要な事項であるのだが…。
議員報酬は月額129万4千円。その2割は25万8800円。年間で311万円の削減だ。ところがボーナスに相当する期末手当は削減から除外されている。期末手当は年額319万円とのことだから、報酬の2割削減とは期末手当の返上に相当する。つまりコロナという災厄に対して、国民代表として有効適切な対応ができなかったので、「ボーナスを受け取らない」という意味にすぎない。
コロナに対して、有権者の代弁者の集まりである立法府の対応は適切であったか。コロナのワクチン接種は菅前総理の督励もあって世界トップ水準の接種率になった。ただしそのワクチンは国外開発のものばかり。開発企業の母国であるアメリカ、イギリスなど母国の経済と雇用を潤し、それら諸国政府では法人税収が入り、失業対策経費を削れる。災厄でもただでは起きず、国益に結びつけている国もあるのだ。これに対して、すべて輸入に頼る日本は、そうした支払いのために赤字国債を発行し、将来世代につけ回しをせざるを得なかった。
コロナの治療薬が実用の手前に来ているが、この面でも日本は完全に出遅れ。またまた全量を海外から買わざるを得ず、将来世代へのつけ回しを増やすことになる。
生まれたときの環境によってその後の人生が左右されてはならない。そのとおりだ。ならば、将来の日本国民が「生まれながらに背負いきれない借金を背負うことになる」のを防ぐべきではないのか。現世代へのばらまきへの狂奔しか発想できない国会議員にボーナスを支給すなど論外であることは、当然以前の問題だろう。
では、ワクチンや治療薬開発で、なぜ遅れを取ったのか。日本人の技術力が劣っているのか。そのようなことはないはずだ。北里柴三郎、志賀潔、高峰譲吉…。医科学分野の先達の肖像写真が、ボクが育った田舎の小学校の理科室にも飾ってあった。必要だったのは、集中的な資金投下と治験などにおける制約の撤廃。前者については、わが国の社会資産である公的年金の巨額積立金の有効投資先として活かす政治判断をしなかった。後者についてはコロナを緊急事態でも開発規制を緩める決断ができなかった。これらは法律事項であり、立法府が決断すればできることなのだ。考えた議員もいたには違いないと信じよう。だが、ある一派が言い出せば、対立陣営が足を引っ張るという政治ゲームの素材にされる。
2割の議員報酬返上は国会議員全会一致で決まっている。それができるであれば、緊急事態における必要な法律の改廃も目先の党利党略を超えてできるはず。


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