464虐待保護に礼状を導入
児童虐待が後を絶ちません。
政府も頭を痛めているのでしょう。虐待を繰り返す親から、子どもをとにもかくにも引き離し、手遅れにならないようにしなければいけません。
厚労省が審議会に次の提案をしたと報じられています。
― 厚生労働省は11月16日(2021年)、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門委員会で、児童福祉法改正に向けた骨子案を示した。虐待を受けた子どもを親と引き離す一時保護の開始をめぐり、児童相談所の判断が適切かどうかを司法機関である裁判所が審査する新制度を導入。また、虐待に対応する自治体職員らの資質向上へ、新たな資格を創設する。年内に取りまとめ、来年の通常国会への法案提出を目指す。―
各都道県に児童相談所が設置され、要員増強と権限拡充が進められていますが、なかなか成果は見られないようです。むしろ幼児に熱湯を浴びせるような非道事例が目につきます。近隣情報をもとに児童相談所が児童の引き取りをしようとしても、すんなりと応じない親が多いと聞きます。
検討の新制度は、裁判所が一時保護状を発行し、その威力でとんでもない親から子どもを引きはがす仕組みのようです。例えれば、刑事が被疑者宅に持参する逮捕状や捜索令状のようなものでしょうか。
子どもは人格ある一人の人間。その人権を守るためにはやむを得ない仕組みであると関係者が考えているのでしょう。ただ素人目から見て、疑問があります。刑事から捜索令状なりを見せられて抵抗する人はあまりいません。それはなぜでしょう。経験がないので確定的なことは言えませんが、仮に抵抗すれば、次は公務執行妨害で逮捕などとなり、さらにもとの容疑事項での心証が徹底的に悪くなるからではないでしょうか。
児童虐待で裁判所の令状の効力を発揮するには、同様に強烈な威嚇を伴う必要があると考えられます。
警察官の同行を要請するのも一法でしょうが、どうにもかったるい。児童相談所の職員に警察官並みの逮捕権限を含む直接的実行力を与えるべきではないでしょうか。
児童虐待に関するより専門性の高い知識等を有する新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)」の導入が議論されているようです。それもいいですが、それよりも、児童相談所に歯向かうことはできないという実態を作り出すほうが、何倍も優先される必要があります。そうでなければ制度が充実したが、親の抵抗で子どもの保護がいっこうに進まないという情けない現実が続くだけです。
犯罪捜査の一線の刑事は基本的に丸腰ですが、その背後には制服の警察官が控えています。逮捕尋問権など法令による支援も整っています。
「児童相談所は子どもを虐待する親から当の被害児童を救い出す機関である」。本気でそう考えるのであれば、児童相談所に警察同等の権限を与え、さらに警察官と同等の装備を持つ実力要員を配置すべきです。
なぜそれが重要なのか。考えてみましょう。もし警察組織が、「殺人犯とその組織の抵抗が激しいから」と逮捕を躊躇したらどうなるでしょう。民主主義のわが国のことですから、警察の怠慢を糾弾する声が国中に充満するはずです。トップの更迭は必至でしょう。それが警察組織の適正行動を促し、支えているのだと思います。
これに引き換え、児童相談所の行動はどうでしょう。虐待殺人などが起きるたび、人手がない、予算がない、世間の協力がないなどの理由を並べ立てるだけ。やるやる詐欺のようです。
行動のための武器は与える。その代わり抑止できる虐待を防止できなかったときにはきっちり責任を取らせる。その決意と実施が、社会の側にも求められています。怠慢度合いによっては、所長や担当職員は「児童虐待看過罪」を新設して、懲役10年程度の重罰に課す。児童虐待という人権侵害を許さないとするのであれば、このくらいが最初の一歩ではないかと思われます。