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日本は大国ではなくなった

「用があってアメリカに行ったが、物価が高いこと。レストランには足がすくみ、持参のインスタントラーメンをすすっていたよ」
 自営業の知人が言う。さもありなん。対ドル為替が80円から160円に下がるということは、円の所持者にとっては、日本から出国すれば物価がただちに2倍に転ずることである。
 外国人からすればこれは逆。日本に行けば半分のコストで遊べる。それがインバウンド旅行者が増えている理由。

「日本は貧乏な人が行く国」訪日客の素直な見方」という記事を見て考え込む。
https://l.smartnews.com/m-sJQFL/ecXQ2q

 日本は今でも”先進国”であり”富裕国”なのだろうか。
 もし、そうではないとしたら?
 GDPの序列低下が指摘されている。人口が多い国に抜かれているだけだとの負け惜しみで済むうちはいいが、一人あたりでも追い抜かれてしまうなんて情けないことにならないか。
 ずるずると国力が落ち込み、日本国政府の国債への信用がなくなり、
財政破綻が重なることになれば、国家消滅も覚悟しなければならなくなる。

 このままでいいのか。いいわけがない。
 ではどうするか。簡単なことだ。「われわれは富裕国である」との意識を捨てることだ。
 国民が危機を認識すれば、もともと勤勉な国民性。経済を成長軌道に乗せることができる。
 ただしそのためにはこれまでの政策の総ざらいを必要だろう。その手始めは財政の放漫体質を改めること。

 積極財政論者は国がバラマキをすればそのうち経済は上昇し、かつての成長力を取り戻すというけれど、30年も続けて効果なかった。残ったのはⅠ千兆円を超える国の借金。国債でつぶれた国は多くないとの強弁をする者がいるが、”借金政府”と”健全政府”のどちらがいいかと問えば、他の条件がすべて同じならば、無借金ががいいと答えるはずだ。
 経済力を高めるのに魔法はない。日本経済がおかしくなったのは、「自分たちは金持ちであり、鷹揚にカネをばらまいていればよい」との誤った観念が根付いたからにほかならない。その慢心が勤勉意識をなくしてしまった。これを改めること。
 欧米の植民地にされる寸前だった江戸時代末期、戦争に大敗して焦土だった戦後期。これら国難時の時期に国が滅びずに済んだのは、国民が明日を信じて勤勉に働いたから。危機感を忘れた国民は国を失う。根拠のない大国意識を捨て、真剣に現状を分析することだ。

 

 


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