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日本に土葬墓地新設はいらない 日本人のための行政

 日本人の遺体処理は圧倒的(99.99%以上)が火葬。ボクの子ども時代は土葬と半々だったというから驚く変化である。この火葬率は世界一。そして今では「火葬先進国」と評価されている。というのは、教典によって遺体を焼くのは許されないと解されていたはずのキリスト教などでも、ローマのバチカン本部で火葬解禁指令が出るなど、人類全体が火葬を最善の方法とすることで流れができているからだ。衛生観念などから科学的には勝負はあったと言うべきだろう。
 お隣の中国でも伝統的に土葬だったが、土葬の墓用地が農地を減らすと言った経済的理由で、政府が強権的に火葬を強制している。数的には世界有数であろう。世界一はヒンドゥー教のインドだろうか。
 そういう事情なのだが、宗教的にどうしても火葬はダメと頑張る宗派もある。その一つがイスラム教。そのイスラム教徒が国際化の波に乗って日本の各地に集住するようになってきている。その彼らの不安が自分の死後の処理という。ところが自分たち暮らす町には土葬墓地がない。
 法律を調べてみたら、土葬又は火葬が許容されるとなっている。ならば土葬用墓地を整備すべきではないかとなって、墓地の許可権者である県や市に圧力をかけることになり、「今さら土葬もないものだ」とする地域住民やその代弁者で構成する自治体議会ともめることになる。
 そうしなかた次の記事を見つけた。


スリム土葬墓地問題 杵築市長が町有地売却の中止を要望 2024年3月27日


イスラム教の土葬墓地計画を巡って、杵築市は日出町に対して墓地を整備する町有地を売却しないよう要望しました。大分県日出町南畑では別府ムスリム教会が土葬の墓地を計画していて、予定地を近くの町有地に変更することで、地元・高平区と立地協定を結んでいます。 一方、この町有地に隣接する杵築市山香町の住民たちが水源への影響を理由に土葬墓地計画に反対しています。 要望では杵築市の区長連合会なども反対していることを報告。日出町に対し土地を売却せずに計画地の変更を求めています。 (杵築市・永松悟市長)「今回は杵築市全体の要望ということで飲料水が不安なのでもう一度考えてほしい」 これに対し本田町長は「気持ちはしっかり受け止めた」としたものの、早ければ4月中にも町有地を売却する方針を明らかにしました。

 イスラム教徒の主張が通ったということか。
 日本は世俗国家であるから憲法上の疑義が大いにあるのだが、ここではその問題は横において、純粋法的に考えてみよう。国民の中ではすでに習俗としてはなくなってしまっている土葬を、外来の宗教の理念に沿って復活しなければならないのか。これがポイントである。
 その場合、現行の規制法が「土葬を禁止していない」というのがイスラム教徒側の主張になっている。
 そこでその根拠法であるが、なんと題名が「墓地、埋葬等に関する法律」。これには唖然とするほかない。実態に照らせば、「火葬、納骨に関する法律」と改めるべきではないか。名前を実態を踏まえている必要があるのは論をまたない。
 次に、墓地以外の場所に、遺体や焼骨を納めることはできない。遺体損壊の罪に問われる。それでイスラム教徒が土葬用墓地の許可を出せと言うことになるわけだが、その墓地が遺族の居住区域内にある必要性はないのではないか。ここはイスラム教に詳しい人に教えてもらいたいところ。日本人のお墓は伝統的に菩提寺にあり、遺族は定期的に墓参する。イスラム教徒はどうなのか。ネットには次の記事があった。 

イスラム教では、お彼岸とかお盆のような祖霊信仰の儀式がないため、遺族が墓地にやってくることはめったにない。 そのため墓をつくって3世代目ぐらいになると、先祖の墓のことなど忘れてしまい、だれも墓参りに来なくなるのだという。

 墓参の伝統がないのであれば、日本にではなく、もっとメッカなどの聖地に近い場所に埋葬する法が先祖供養ではないのか。
 昔の船旅時代と違って、今では航空機の貨物室で遺体を運んでくれ、費用は100万円程度と聞いたことがある。日本にビジネスで滞在している外国人の場合、この方法でまず片付くはず。
 日本の国は日本人のもの。郷に入れば郷に従うのが、みんな仲良くやっていくための基本ルール。日本人の中に土葬復活の機運が盛り上がり、それを容認する雰囲気が広まったという事情変更があるまでは、「日本では遺体処理は火葬」という原則で一貫するのが簡単でよいと思われる。
 そのためには先に述べたように「墓地、埋葬法」を「j火葬、納骨法」に改め、所要の字句整理をすべきである。ではあるのだが、腰が重い立法府が動くまでの間でも、各自治体が条例で許可条例を定め、そこに土葬用墓地を含めないことで対応できる。何しろ「墓地、埋葬法」の運用は地方自治事務とされており、議会の条例で処理できるのである。
 
 

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