世界で一番眩しい場所

桜が お日様が 暖かい色が似合う坂田さんに
じめじめした6月なんて、と今でも思う。

カレンダーは雨の写真ばかりだし、
青とか紫とかどちらかというと坂田さんには似合わないと思っていたのに。

今では 只でさえ憂鬱な梅雨には坂田さんくらいの眩しい光が丁度いいのかもと思うようになって、
彼を追いかけて訪れた地のコロコロ変わる気分屋な空気も天気も、併せてつい大きくなってしまう心配性な荷物も彼を彷彿とさせてドキドキする。

今では坂田さんほど6月に似合ってしまう人もいないのかもしれないと思っているのは我ながら単純で、あした、いつもよりどこか強ばった坂田さんとつられて緊張した私たちとの間に流れるあのなんとも言えない空気を思い出すと胸が高鳴った。

素敵なひとつきにしようね



名古屋行きの夜行バスに揺られながら、
ぐちゃぐちゃと待ち切れない思いを携帯のメモに書き殴ったのが1か月前。

今年の6月は私の人生史上最高風速を記録して過ぎ去っていったと思う。




リアリストな坂田さんのつくる
幸せだらけの非現実な空間がとても好きだ。


【home】の名前に相応しく、
温かい空間でゆったりでもあっという間に時間が流れる様は 休日のだらだらした空気にそっくりで。
終演後、明るくなった会場を見渡して本来の自分の家に帰りたくないと足取りが重くなるなんておかしな話だ。



坂田さんはみんなのヒーローで。

幕間の最後に私達のことをcrewと呼んで、どこかの公演で私の隣にいたお姉さんが首を傾げていた。
貴方が好きなひとしか集まるはずのない会場で、「一緒に死んでも良いと思える3人」の色のペンライトを見つけた坂田さんはとても嬉しそうで、赤にしか光らない私のペンライトは少しジェラシー。

だけど、初めてだって2回目だって付き添いだって1人も置いていかない主人公みたいな貴方が好きだ。


そんな誰にでも優しくて掴みどころのない坂田さんが「君」(「私」なんて自惚れをその時だけは許してほしい)だけに、言葉で、形で、愛を伝えてくれた個々を本当に特別に扱ってくれた演出に、
類まれなる幸せとそれこそ夢みたいな擽ったさを感じていた。

普段なら絶対照れて逃げるような甘い言葉を平気で吐いて、ざわめく会場に満足そうな笑顔をひとつ。

小さなワンルームのようなセットで
すぐ隣にいるかのような囁きと細かな表情を魅せて歌う【きみへ】


坂田さんの息遣いと、私の脈拍と、
同じ速度で進んでいくセットリストはあっという間に時間が過ぎる。
聴きたかった曲、聴けなかった曲は勿論あったけど【ゆめのものまね】で湿っぽくなった空気に浸ることなく力ずくで会場の床を揺らす【迷図】のベースのリズムに少し笑って、彼も私も気づいたらこんなに沢山の素敵な楽曲に恵まれているんだと嬉しかった。



最後に坂田さんへ。

「俺のために死んで」
アドレナリンに溢れている坂田さんが放つ、一等珍しくて重苦しくて我儘な愛の告白。
直後に響く黄色い声援にいつも貴方が冗談ぽく笑う度に私は『本気なのにな、』と思っていて。

折角初めて訪れた知らない土地で、小さな箱の中、
貴方を見詰めるためだけにここにいるのだから。

私の光、私の居場所、坂田さんのいるところ。

存外、坂田さんに似て私も大概重苦しい人間だと
最近になって気づいた気がする。

だけど坂田さんと出会って、広い世界に触れて、
少しだけ貴方以外にも好きなものが増えました。 

飛行機や新幹線に飛び乗れば、簡単に
私の事なんか誰も知らない土地に行けること。

本来なら出会うはずのなかった今は心から大好きなお友達とか、貴方へ気持ちを伝えたくて初めて学ぶ言葉とか、貴方に会う為に頑張れてる仕事でちょっぴり感じるやりがいとか。

これも全部、貴方に出会って気づいたこと。

私の居場所はいつだって広がって、
移り代わっていくけれど
心の拠り所だけは永遠に貴方の傍であるように。


今の私がただひとつ願うことがあるなら
坂田さんと長生きしたいと思う。

貴方のために死ぬのも悪くないけれど、
願わくば曲が増えすぎて何時間あっても足りないライブも、平均年齢が上がったらどこかお互い気まずくなるようなMCの年齢層チェックも。

私はおじいちゃんになった坂田さんも全然見たい、
全然、ずっと一緒にいて欲しい。

今日の水色のジェラピケを見て、
懐かしい!と笑える日までずっと一緒にいてね。

いつかワンマンで武道館に行ったら、この間の配信の録画をでっかいスクリーンに流してみんなで泣こうね。


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