Cold Case(字幕版) シーズン7
全7シーズン(完結)
エピソード数:22
時間:45分前後
ジャンル:刑事・犯罪捜査
時代設定:現代
放送年:2010年
舞台:アメリカ・ペンシルべニア州・フィラデルフィア
視聴できる動画サービス:Amazon Prime Video
評価: 8 / 10
●概要:
cold caseとは、完全には解決しておらず、長期間にわたって捜査に進展がなく、捜査が打ち切られた状態の犯罪事件のことです。ドラマでは、一旦解決したかに思われたものの、その後新たな展開を見せた事件も扱われます。そういった経緯であることから、様々な時代の未解決事件が扱われます。1910年代に起こった事件もあれば、2000年代といった最近(ドラマ上では)に起こった事件まで、幅広い時期に及んでいます。事件の起こった時期に流行した音楽が、各エピソードのBGMとして使われており、そのことも、このドラマを特徴づける要素になっています。
●感想など:
○本作品の物語の構成上の特徴
捜査を進めていくにしたがって、過去に見落とされた手がかりに気づいたり、登場人物の証言の齟齬を見抜いたりして事件を解決に持ち込む手腕はよいのですが、本ドラマの大半のエピソードは以下のように進展します。
①事件に関する情報がもたらされ、捜査再開
②捜査(関係者への事情聴取・資料)を通じて新たな情報を獲得
③得られた情報からさらに捜査
→時間の尺が尽きるまで②と③の繰り返し
④事件解決
事件の時代設定や状況設定は様々ではありますが、この物語の展開の単調さを許容できるかどうかで、このドラマの評価は大きく変わってくると思います。本ドラマでは、ほとんどすべての事件が解決し、その点では安心して見ていられるとも言えます。
○本シーズンの物語の展開①(これまでのシーズンとの相違)
物語は基本的には一話完結ですが、前シーズンでの出来事を引き継いでいて、それが今シーズンの物語の一つの軸にもなっています。このシーズンでは、未解決事件の捜査と並行して、登場人物たちの警察以外の、家族などの人間関係が頻繁に描写されます。このことが、本作品の話の展開を広げる大きな要素となる一方で、これまでのシーズンとは少し異なり、物語の展開にサスペンス要素が加わります。そしてそれにとどまらず、登場人物たちがどのように考え、決断し、行動をとるのか、その人物像を掘り下げる方向で興味を引くのは良かったと思います。
○過去に示された設定について
過去のシーズンで登場人物の設定が示されたものの、なかったことになっているのではないかと思われるものもありましたが、このシーズンでは、最終シーズンということで、それらの設定のほとんどにおいて一応の決着をつけてくれます。これまでのシーズンで端役の登場人物たちも何人か出てきますが、忘れている人物もいるのではないでしょうか。
○風景の描写について
ドラマの本筋とは関係ないことですが、もう少し舞台となる場所をじっくりと見たいと感じました。ドラマの内容的に、どうしても治安の悪い地域が舞台となることが多いのですが、たまに普通の街並みが出てくると、ドラマの内容よりもそちらのほうに注意が行ってしまいました。心なしか、このシーズンでは風景の描写がこれまでのシーズンよりも多かった気がします。ドラマの舞台はフィラデルフィアですが、もっと色々なフィラデルフィアの風景を見たかったです。
○ドラマに対する需要
テレビドラマの場合は放送時間の兼ね合いもあり、風景の描写に時間を割くことは難しいでしょう。ただ、オンライン配信のドラマの場合は放送時間にはそれほど制限はないはずで、ドラマの展開に直接的な関係のない風景描写を増やすこともできるのではないかと思います。移動の場面を描くことで、よりドラマへの没入感も高まるでしょう。その風景描写を見るか、見ないかの選択をできるようにするなどすれば、興味のない人は風景描写を飛ばして物語の続きを見て、見たい人は風景を楽しむことができます。そういう需要も多少はあるのではとぼんやりと思いました。ドラマも、視聴における利便性だけでなく、多様な需要に応えていく必要が今後は出てくるのではないでしょうか。
○本シーズンの物語の展開②(中盤から結末まで)
序盤はこれまで通りの物語の展開でしたが、中盤以降は各エピソードで扱われる事件の進展の仕方も多様になります。中盤以降は、過去の事件の捜査だけでなく、現在の登場人物それぞれの周囲とそこで起きる様々な出来事も描かれ、緊迫感のある物語の進行で、徐々に盛り上げていきつつ、どのような結末が彼女らに待つのか、先が気になる展開で最後まで引っ張ってくれました。このドラマは、大きな一つの目標に向かって進む類の物語ではないため、どのような終わりを見せるのかという点が、どうしても気になるところでしたが、色々な可能性を示唆する終わり方で、良かったのではないかと思います。
○Amazon Prime Videoについて
本作品は、Amazon Prime Videoでの視聴が2021年3月31日までで終了します。以降に視聴するためにはレンタルか購入する必要があります。これまで、Amazon Prime Videoで視聴期間が終了した作品でも再び視聴できるようになった作品はありますが、海外ドラマではほとんどないように思います。
もしAmazon Prime Videoで興味のある海外ドラマが視聴できるようになった場合は、できる限り早めに視聴しておくことをおすすめします。
○本作品の全体的な評価
本作品の全体的な評価としては、10点満点中7点とさせていただきます。登場人物たちは派手な特徴こそないものの、その特徴的な設定に頼らない人物の造形が魅力で、欠点を持ちつつも好感の持てる刑事たちが懸命に捜査するする姿は、ずっと見ていたい気持ちになりました。このドラマを視聴し続ける上での関門は、結局のところ、一様な物語の展開の仕方を許容できるかどうかに尽きると思います。その点に関して、最終シーズンで見せた趣向を凝らした一連の流れを見た後では、なおさら残念に感じます。本作品の多くのエピソードに当てはまるので、ここは大きくマイナスになります。あとは、このシーズンで見せたような、複数のエピソードにまたがる物語の展開や、シーズン全体でもっと大きな仕掛けがあるとさらに良かったと思います。
●英語学習の教材として:
事件によっては、事件にかかわる人物の設定のため、スラングが使われるエピソードがあり、日本語の字幕を見ずに、英語音声だけを聞いているとわからない場面がありました。とあるエピソードで非常に早口に話す場面がありましたが、1分間に400語の速さだそうで、聞き取るのも一苦労です。たとえ聞き取ることができても、聞き取った英語が頭の中で理解に変わるのが追いつかないかもしれません。精進あるのみですね。
●語句:
○法律・犯罪に関わる語句
◇vandalism:「公共物などの(意図的)破壊」
◇felony:「(殺人・放火などの)重罪」
◇mug shot:「(警察の撮る)顔写真、逮捕写真」
◇warrant:「(捜査)令状、召喚状」
◇possession:「(麻薬や銃などの)不法所持」
◇score:「麻薬を手に入れる」
○それ以外の語句
◇if you catch my drift:「わかると思うけど」
◇top dog:「勝利者、最高位にある人」
◇beat it:「(通例命令文で)急いで立ち去れ、逃げろ」
◇call:「決定」
◇blow off steam:「発散をする、うっぷんを晴らす」
◇shorthand:「速記(法)」
◇one's pros and cons:「~の良い点と悪い点、良し悪し」
◇forensics:「弁論」
◇ring a bell:「ぴんとくる、記憶を呼び起こす」