43/n シン・ハイデプス チェンソー、ソーチェーン(チェンソー用チェーン)、目立ての正しい理解
ソーチェーンサービスジャパン(略: SSJ)です。
SSJは全国向けにソーチェーンの目立てを事業として行っています。宣伝を兼ねて、タイトルの記事をシリーズ化してnote上に公開することにしました。本記事の内容はXアカウントのhttps://twitter.com/SSJP2023 固定ツイートで先行公開していますが、noteで公開する内容は、Xアカウントで公開中の資料 「4D Sawchain Study」の「 V.1.25」以降の内容となります。
ハイデプスとは
規定値よりカッターに対するデプスゲージを高くしておくことによって、逆に切削効率を高めた状態のことです。暑さでおかしくなったわけではありません。ハイデプスの存在については以前から知っていましたが、頭の片隅に放置したままであったのと、先日プロユーザーの方達と話す機会があって、久しぶりに頭の回路が繋がった次第です。客観的な資料と解説をまとめておきます。まずはハイデプスを理解する為の過去回もどうぞ。
公式資料から見る、その①
某メーカー発行の「切削スピード」に焦点を当てた公開資料(発行1999年)です。スクエアカッター(スクエアフルチゼル)を例にとっています。.025ではないどころか、「ソフト」な材は「ハード」な材より更にハイデプス推奨にしています。尚、スクエアカッターの上刃切削角の標準規定値は45度です。
横刃仕上角をスクエアの標準より鋭角にしていますが、ハイデプスにすることで横刃の働き、つまり上方向へのジャンプ(≒振動)を減らしているのだと思います(横刃のジャンプの働きが弱まる分、実務でも競技でも押し付けが必要になると思います)。上刃仕上角も20度あたりなのも、チェーン全体の横ブレを消す為でしょう。振動をなるべく打ち消してパワーを最大限カッターの働きに変換する為だと考えられます(←つまりRPMとトルクの狭間での微調整)。キーはカッターの両切削角と、それの為のヤスリの迎え角です。
公式資料から見る、その②
STIHL USAによる、ハーベスターチェーンのRMHとRMHSの違いに焦点を当てた資料です。RMHSはRMHと比べ、18HXと19HXよろしく、パワーに追い付くようにゲージ以外のシャシーが厚くなったチェーンです(仮称: ワイドシャシー)。尚、開発経緯は違いますが、95と20のシャシーの関係性も同じです。
スペック上はデプス設定はRMHSの方がハイデプスで、尚且つワイドシャシーの分重量があることは実物を見ずとも明白です。
重くてハイデプスで…となるとRMHSよりRMHの方が切削スピードは速いんじゃないかと思うところですが… パワーバランスが絡むとまさにハイデプスのおかげと言える結果となります。
研究機関の資料から見る
著者がどういった人物かや経緯は知りませんが、カールトンB8の可能性に焦点を当てて2回も論文を書いてます。実験結果を搔い摘むと「実験環境同条件の404新品同士ではRMHSが1番速く、それでもB8はこういう風に研いだらこれだけ切削スピードが向上しました」というものです。使っている本体は以下です。
続いて新品同士の実験結果です。
明日はどっちだ⁉︎「デプスが高い」
ハイデプスはスクエアカッターやハーベスターに限ったことではありませんが、狙って行うには各角度をそれぞれ規定値から±5度以下でずらしたり、バーを標準より短くしてオーバーパワーな状態にする、上横の切削角、カッターライフも関わってくる…と推測されます。切削角!.0xxの時はこう、という明確な指針もありません。「今日は何だかいつもより良いぞ?」というのはもしかしたらハイデプスが原因かもしれません。