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44/n シン・ソーチェーンの伸び&脱線&破断 チェンソー、ソーチェーン(チェンソー用チェーン)、目立ての正しい理解

ソーチェーンサービスジャパン(略: SSJ)です。

SSJは全国向けにソーチェーンの目立てを事業として行っています。宣伝を兼ねて、タイトルの記事をシリーズ化してnote上に公開することにしました。本記事の内容はXアカウントのhttps://twitter.com/SSJP2023 固定ツイートで先行公開していますが、noteで公開する内容は、Xアカウントで公開中の資料 「4D Sawchain Study」の「 V.1.25」以降の内容となります。SSJは全国向けにソーチェーンのオンライン目立てを事業として行っています。宣伝を兼ねて、タイトルの記事をシリーズ化してnote上に公開することにしました。本記事の内容はXアカウントのhttps://twitter.com/SSJP2023 固定ツイートで先行公開していますが、noteで公開する内容は、Xアカウントで公開中の資料 「4D Sawchain Study」の「 V.1.25」以降の内容となります。


チェンソーの「チェーン」は伸びやすい

 チェンソーのチェーンは伸びやすいです。何と比較して伸びやすいのかというと、ここでは自転車やオートバイのチェーンを対象にします。まずはそれぞれの構造を理解しましょう。

画像はオートバイのもの。自転車のチェーンにシールはありません。

 続いてソーチェーンの構造画像です。

ブシュやローラー、シールはありません。

 部品点数が明らかに少ないですが、リベット(Rivet)の太くなっている部分、つまりドライブリンクのホールに収まる部分は硬く、潰して加締める部分は柔らかくなっていて、硬い部分がピンとブシュの働きを兼ねています。スプロケットからの衝撃を吸収するローラーの役割はドライブリンクが兼ねているのと、ドライブリンクの足がスプロケットの谷間に底付きすることで、3点保持されることでリベットに掛かる負荷を分散しています(オートバイや自転車のチェーンとはチェーンとスプロケットとの噛合構造が異なります)。3点保持が緩いほどリベットへの負荷が高まります。こうなるとじゃぁトータルで=だから伸びやすいも何もないんじゃないかと思う方もいるはずです。チェーンが伸びる原因はチェンソーも自転車もオートバイも同じで、リベット(ピン)とその接触部分がお互いに擦れて痩せて行くためです。初期伸びが特に大きいのは製造時の微細な凹凸が擦れて取れる為です。

ドライブリンクのオイルホールですが、打ち抜きなのでリベットホールの仕上がり精度も同じです。結構ザラザラしています。

全然「ソーチェーンは伸びやすい」の説明になってませんけど?

 ソーチェーンはドライブ&ドリブンスプロケットの間にガイドバーがあり、バーがチェーンと金属同士で擦れ合うので熱が発生します。これが摩耗以外の熱による膨張と伸びを発生させます。これは冷えると戻ります。冷やし続ける為にチェーンオイルを切らさないことが重要なのですが、ドリブン&ドライブスプロケット付近で結構な量のオイルが空中に飛散しますし、切り屑にもチェーンオイルが吸収されるので、オートバイや自転車のチェーン注油の方式だと間に合わないわけです(ハンディソーの現行以上のハイパワーや長尺モデルを希望する声もネットでは多いですが、開発側ではモーターやバッテリーの重量と合わせて、潤滑とその分の重量、スペースもネックになっていると推測します)。また、ソーチェーン内と、ソーチェーンに接触する他部品との摩擦があり、人力で張った後に5秒も空回しすると必ず張りが弱くなります。張り調整にはある程度の逆算が必要というわけです。
 チェーンの使用中に力が掛かる頻度も異なります。自転車やオートバイではチェーンが両スプロケットに掛かる時だけですが、ソーチェーンは木に当たるごとに各カッターにも衝撃=負荷が発生します。これが7000~9000RPMで回転している最中に起こるわけですから、当然損耗も時間的に早くなります。
 張り調整をせずにチェーンを伸びたままにしておくとどうなるかというと最悪脱線します(張りが緩いまま使うとカッターの頂点の摩耗も早まります)。

ソーチェーンの脱線

 使用中にバーをひねったり、枝払い中にカッターの頂点が幹に当たってしまったりするとソーチェーンが脱線します(ということは…)。更に、そのような使い方に合わせて、チェーンの張りが緩かったり、バーの先端が開いていたりすると更に脱線しやすくなります。話は変わりますが、バーの長さを変更した途端に、脱線が頻発するようになって悩む人が偶にいます。これは長いバーに変更すると、手元の動きがバーの先端で増幅されますし、短いバーに変更するとオーバーパワーな状態になるので、先述の「人力の張り調整」と「使用中の伸び」の逆算がズレて張りが緩くなりやすくなるからです。一応、下のCannon(キャノン)バーのように、バーの中間が膨らんだ形状の方がテンションの位置が2点→4点になるので脱線はしづらくなります。

競技に限らず、市販のチェンソーでもバーにはストレートとスタンダードがあり、脱線の差異の原理は同じですが、バーの形状で切削効率が上がるかは分かりません。

 チェーンが脱線するとバーや他の部分に当たった際にバリが出てガイドバーのレールにハマらなくなることがあります。バリをヤスリで削り落とすか、他に古いバーがあれば、そのバーに交換してみるのも裏技としては有りです。バーのレール内が摩耗しているとソーチェーンのバリの許容度が上がります。エンジンのパワーで回せばバリが飛んだり戻されたりすることもあります。症状改善後の確認の為にも、どこにバリがあるのか目印を付けてからダメ元でどうぞ。

チェーンが伸びて張り切れなくなったらコマ数を詰めればいいじゃないですか

 多くの場合、ピッチがずれるのでスプロケットにハマらなくなります。伸びたチェーンは伸縮するのでたまたま同期することもあります。但し、張り切れなくなった程伸びたチェーンは、リベットもホールも損耗が大きくなっているので破断する可能性が大きくなります。

チェーンの破断

「新しく買ったチェーンがよく切れるんですけど」→「ありがとうございます!またよろしくお願いします!」→「そうじゃなくてブチブチ切れるんですけど!」

 複数の方から同じような内容で聞いた実話です。とある「純正以外のメーカー」のチェーンが国内展開し始めた頃でした(今はどうなっているか知りません)。閑話休題。
 チェーンの破断は本記事の先述の内容に加えて、リベットの加締め、デプスゲージの下げ過ぎ、切れないカッター、オーバーパワーな状態で発生します。もう1つ忘れがちなのが、ドライプスプロケット(リムやスパー)が摩耗している時です。しかも厄介なのが、つい何日か前まで使えてたのに、新品のソーチェーンに入れ替えた途端に破断を繰り返す症状が現れます。これはリベットとリベットホールが新品の時は摩耗していない為です(ん?)。「リベットとリベットホールが摩耗している方が切れやすい」のはそのままですが、ドライブスプロケットが摩耗している場合に限り、新品のソーチェーンの方が切れやすくなります。これは摩耗分の動きにソーチェーンの動きが付いていけなくなる為です。チェンソーのスプロケットの摩耗の見方や実物は他でも多く紹介されてますので気になる方はご自身でどうぞ。

ソーチェーンは伸びやすい?脱線しやすい?破断しやすい?

 ソーチェーンメーカーによって出荷前段階の初期伸び取りや設計で大なり小なり対策がなされていますが、それでも0になるわけではありません。ちょっとこれからふざけます。

「それは具体的にどのように違うのですか?」

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