
投資における生活防衛資金はいくらが適切?
1.生活防衛資金について
生活防衛資金とは分かりやすく言えば「投資における日本円」のことを指す。
経済評論家の木村剛氏が提唱した言葉で、投資をしている人なら一度は目にしたことがあるはずだ。
厳密に言えば、非常時以外は絶対に手を付けたらいけないお金、という意味合いだったと思うが、一般的には資産のうち、キャッシュはいくら持っているかという意味あいで使われている。
2.私の生活防衛資資金についての考え方はマイノリティ
私は主にXで投資をしている人の生活防衛資金を知ることが多い。
彼らはあまり語りたがらないが、数十万~100万円の人が1番目につく。次に300万くらいだろうか。
つまりキャッシュだけ見れば、彼らが毎日のように蔑んでいる貯蓄が無い層に該当する人が多い。
私は小さな商売をしてるとはいえ、1400万円をキャッシュで持っているからかなり多い方に入る。
なので、生活防衛資金についての考え方もかなり変わっている。
人によっては反発を覚えることも多いだろうが、ご了承願いたい。
3.生活防衛資金≒他人から見たその人の貯蓄額
私は生活防衛資金はある程度多めの方が良いと感じている。それも何も割合で考える必要はない。絶対額だ。
これは「投資したお金は無いものと考える」というのが長期投資戦略の基本のためだ。
S&P500インデックスファンドは米国株式投資の中ではもっともローリスクローリターンであるが、為替リスクも含めると日本円とは比較にならない変動幅がある。
生活防衛資金が少ないと、大きな出費がある時は投資した資産を売却するか、必要なものを諦めるか、恥をかくかになる。
大多数の投資家は節約が身についており、さらに相場が暴落している場面だと「売却したくない」という強烈な抵抗感を感じる。
これがプラスに働いて浪費を防ぐ事が出来る訳だが、当然負の側面も強く顔を出す。
他人から見れば貴方のキャッシュこそが貴方が持っている金融資産の総額なのだ。生活防衛資金が100万円しか無い人は100万円しか貯金がない人と同じ行動を取ることになる。
4.生活防衛資金が十分に無いと人生における大きなチャンスを逃したり、恥をかく
これは特に若い未婚の人に言いたいのだが、投資にのめり込んでキャッシュを少なくしすぎると良い恋愛相手、結婚相手に出会っても及び腰になり、チャンスを逃しがちだ。
これは人生において取り返すことのできない回復不能な損失だ。
統計を見る限り、男性で良い相手が見つかっても結婚したくないという人はほぼ居ない。良い相手など一生にそうそう出会えるものでは無い。
また、今勤めている会社が嫌になって退職して転職する場合や、独立する場合の資金も不足しているため、人生の選択肢が限られ、屈辱を味わうこともあるだろう。
また、保有キャッシュが100万円を切ってるような状態では冠婚葬祭や、それに準じた「独立した大人なら当然出さなければいけない出費」までケチらなければならない。
「必要な時は売却すれば良い」という人がいるが、売却は痛みを伴う。
特定口座の株を売って新NISAに移し替えるだけでも結構な痛みを感じるのに、モノを買うために売るのは相当な覚悟がいる。
そのため、どうしても必要な出費まで出し渋りやすい。
例えばこの記事は年末年始に書いているのだが、保有キャッシュが少なすぎる人にとっては少々しんどいのではないか。
・忘年会・新年会
・お歳暮
・クリスマス
・お年玉
・帰省
・年賀状
などなどまとまったお金が必要になることが多いためだ。
「いっぱしの社会人であれば出費をした方が良い」という場面でサッとお金が出せるようにしておくには貯金が100万円では少なすぎる。
出費という分子に対して分母が小さすぎるためだ。
親が倒れても当面の入院費や介護費を立て替える時に不安を感じるし、ましてや葬式代を出したり、供養をしたり、墓を建てることは不可能だ。
自動車や住宅を検討する際に頭金すら出せないだろう。
また、旅行などで毎回のように他人の車に同乗させてもらって料金を支払わなかったり、趣味で他人の高価な道具を毎回借りる人が居るが、キャッシュが少ない人はこのような行動も取りがちだ。
それでは経済的に独立してるとは言えず、投資している人達が見下してる「金融資産のない人たち」と同類項になってしまう。
5.生活防衛資金はいくらが適切か
生活防衛資金の目安だが、生活レベルや年齢、家族構成によって当然金額は変わるだろうが、一番わかりやすいのが「年齢別の平均貯金額」だろう。
この金額をキャッシュで持っていれば少なくとも平均は上回っているわけだから恥をかくことは絶対にない。
中央値では少なすぎる。平均の方だ。

あとは家計簿で生活費を抑えておきさえすればいい。
キャッシュが少なすぎると「あの人は質素だ」ではなく、「あの人は金が無くて不義理な人だ」になってしまう。
自由に使えるお金が一定額を切ると「お金が上手く回転しなくなり、他人からの信用も失いやすい」と覚えておくと良いだろう。
6.生活防衛資金は投資をしながら貯める
生活防衛資金は投資をしながら貯めるのが1番貯まりやすい。
投資初心者は日本株の1株投資をするのが一番投資を意識できるのでおすすめだが、S&P500でもいい。
別のnoteでも触れたが、生活防衛資金は少額の投資をしながらのほうが意識が高まるため、貯まりやすい。
7.まとめ
私の生活防衛資金に関する考え方はおそらく少数派に属すると思われるが、豊富なキャッシュのお陰で良かったと思うことはたくさんある。
年に1~2回の旅行では新幹線のグリーン車を利用し、そこそこのクラスのホテルに宿泊することで病弱の身体を労れる。
5万円を超える買い物をしてもあまり総額に影響がないため、買い物で適切な判断ができる。
甥の海外留学や海外への卒業旅行の際は小遣いをもたせた。
親戚の子どもが甲子園に出場した時も快くカンパした。
そういったことが躊躇なくできたのも、生活防衛資金が豊富だったからだと思っている。
私とほとんど同じようなことを安田善次郎が「金の世の中」で述べているので、気になる方は一読されると良い。