マガジンのカバー画像

アウトライナーを楽しむマガジン

134
このページはアウトライナーの活用法・Dynalistアップデート情報などのアウトライナーに関する役立つnoteをまとめたマガジンです。私が講師を務めるUdemyアウトライナー講座…
運営しているクリエイター

#Revison

Re:vision 読書感想文

こんにちは、アウトライナーをこよなく愛するセム(@ssem1622)です。 新作読みましたよ、読みました! アンリミ(Kindle Unlimited)対象作品ですが、返したくないので買いました! 表紙のデザインも、シンプルに本のコンセプトを表していて素敵です。 連載からさらにシェイクRe:visonはnote連載の時もおもしろく読ませてもらいましたが、Kindle本のほうがずっと読み応えがあります。デイリータスクリストの話からなぜか執筆へと話は進み、そこにアウトライナー

第二十回 意志を刻む道行きの中で

いよいよこの連載も最後の回を迎えました。 デイリータスクリストのつくり方から始まったこの話は、執筆におけるアウトラインを巻き込んで、最終的には「自分」や「意志」にまつわる話にまでたどり着きました。 いささか大げさに感じられるでしょうか。しかし、この世界において、大げさな話など一つもないのです。特に「自分」が関わるものならなおさらです。 ■ これまでのタスク管理の技術は、ビジネスパーソン向けに提示されており、そこでは「やるべきこと」は先駆的にすでに決定されているものでし

番外編 叛逆のタスク管理

"「タスク」を書こうと思えば、この「思い」を頭の中で翻訳しなければならない。これは意外に頭のリソースを消費する。ならば「思い」をそのまま書いてしまった方が楽ではないだろうか。" タスクリストを作るとき、私たちはこの翻訳をいつも行っています。「ニンジンを買う」というタスクは(たいてい「ニンジン」と書かれますが)、その背景に「今日はカレーを作りたいので、足りない野菜としてニンジンを買う」という思いを持っています。 あるいは、「絶対ではないけど、いけたら図書館に行きたい」という

第十九回 Re:vison

一冊の本を書き終えたあと、それを読み返してみると、ああ自分が書きたかったのはこういうことだったのかと発見することがあります。実に不思議な発見です。 何せその本を書いたのは私であり、つまり行為の主体者は自分です。その自分が「こういう本を書こう」と思って書いたはずの本から、新しい発見があるのです。 おそらくその発見は、一番最初に自分が「こういう本を書く」と決めて、100%その通りに執筆を進めていたら、得られなかったものでしょう。そのルートから外れたことで、結果的に得られたもの

第十七回 理路整然と書かれた/書かれていない本

本は理路整然と書かれています。言い換えれば、本の内容は理路整然と整っています。 そこには、序盤があり、中盤があり、終盤があります。話の道筋は一本通っており、余計な話はどこにもありません。だからこそ、私たちはその内容を理解できます。少なくとも、何を言ってるのかさっぱりだ、という状況にはなりません。 本の役割が、そこに書かれた内容を伝えるものだとしたら、このような機能は最低限必要なものでしょう。もちろん、本の役割を別に見出すなら、その機能もまた別様に見出されますが、話がややこ

第十六回 True idea never runs smooth

前回は、「アウトラインを作り、それを作り替えていく」というプロセスを紹介しました。 おそらくこのプロセスは、一般的なアウトラインについての理解と食い違っているでしょう。つまり、「最初にアウトラインを作り、後はその通りに書いていく」というプロセスの方が、一般的な理解に近いと想像します。 しかし、そのプロセスは幻想でしかありません。ただし、有用な幻想です。 そのことについて考えていく前に、まずはなぜアウトラインを作るのかについて検討します。 判断者の事情商業出版において、

第十四回 思い通りに行かないから、「思い」のリストが必要

ここまでの話を振り返ってみましょう。 まず、「一日分のリスト」を作ることの価値を確認しました。 私たちの「やること」の全体像はとても巨大なのでまともに戦っては(認知的)勝ち目はありません。そこで対象を小さくし、操作可能なレベルにまで有限化します。 また、一日分で「区切る」ことで、終わりが見えてくるようになります。「やること」のすべてが500ほどあるならば、そのうち8つだけ進めてもまったく進んでいる感じがしないでしょう。しかし、「一日のやること」として30個を集めると、8

第十二回:タスクとアイデアの微妙な関係

デイリータスクリストの「理想」は、「今日やること」しか書かないことです。しかし、そうも言ってられないのが「現実」ではあります。 たとえば、上司に「これ明日の午後までにやっといて」と言われたとしましょう。仕事量的にはそこそこで、5分では終わらないが、2時間はかからないと見積もったとします。今日中にできるかもしれませんし、明日になるかもしれません。もし、今日中に余裕があるならば、完了させるか、せいぜい着手くらいはしておきたいところです。 こういったものは、はたして「今日やるこ

第十回:Open your mind, close your list. その1

朝一に作ったリストも、実行に合わせて(あるいは周りからの要求に合わせて)どんどん変わっていきます。そのようにリストを「動かす」ことがリストを使うことの意義であり、楽しさでもあります。 なにせ人間の記憶力や認知操作力はそう大きなものではありません。状況に応じてどんどん変化するリストを、脳内だけでキャッチアップするのは困難でしょう。だからこそ、リストに書き出すという「外部化」を行うのです。 これは、プロ棋士が将棋盤を使って将棋をするのと同じことです。彼らは空で将棋を打つことも

第一回:デイリータスクリストのススメ

もし文明の崩壊が目前に迫っていて、何か一つだけ、崩壊後に立ち上がってくるであろう新しい文明のためにノウハウを残すとしたら、あなたは何を選びますか。私は自信満々にデイリータスクリストを選ぶことでしょう。 ……というのはさすがに大げさにしても、新入社員に「先輩、何か仕事の進め方でうまいやり方ってありませんか?」と聞かれたら、目をキラキラさせながら「デイリータスクリストを作るのがいいよ」と意気揚々と説明するのは間違いありません。それくらい、優れた手法(メソッド)がデイリータスクリ