「魅力的な人」を学んだ52日間-羅針盤#4-3
✔ 「人間としての可愛さがある人」,カッコ悪いところをさらけ出してまでしても成し遂げたい何かがある「根本的な軸のある人」,「暖かい人」に出会って,めざす人間像が変わった.
✔ 実際に現地で生活してわかる「小さな気付き」を多く得た.
※前回の記事はこちら.
自分がめざす人間像が変わった
———船の中で特に印象に残ってることとかありますか?
トミー:なんか船って,シビアなところだなって思いました.ずっと300人で共同生活してると「人が集まる人」,つまりカリスマ的な人ってすごい目立つじゃないですか.でも船の中って,「この人と仲良くなっておいたほうがいいかも」,みたいな「大人の付き合い」 みたいなものがなくて,「単純にこの人と仲良くしたい」「根本的にこの人と一緒にいたい」というシンプルな気持ちで人と仲良くなるんですよね.そういう意味で,「人が集まる人」=魅力的な人っていう方程式が単純に成り立ってしまうので,それがはっきりわかってしまうのがすごいシビアだなって思いました.そこから,「魅力的な人ってどういう人か」っていうのをすごい学びました.昔母親からずっと「徳のある人間になりなさい」って言われてたんですけど,さっぱりわからなかったんですよね(笑)けど,ルームメイトの子とかを見て,「徳のある人ってこういう人なんだ」って思いました.
一つは、人間としての可愛さがあること. 思い返してみると、「人が周りにいる人」はいじられキャラじゃないですけど,人間としてかわいい人達だったんですよね.
二つ目は、カッコ悪い自分をさらけ出してでも成し遂げたい「根本的な軸」があること.例えば,あるタイからの参加青年を見て思ったことなんですけど,彼は英語があまり喋れなくて,タイ語とジェスチャーで必死に話しかけてくるんですよ.でもそうやって自分のできないところとかカッコ悪いところをさらけ出す彼に,それを補おう,手伝おうと人が寄ってくるってなったら,それって無敵じゃないですか.自分ができないところを人が補ってくれるわけだし,なんならそれがさっき言った人間としてのかわいらしさというか,魅力にもなるし.私ができるかどうかは別として,ああやってやれば無敵になれるんだなあっていうのを思ったし,無敵な人ってああいう人なんだっていうのを学びました.
三つ目は、暖かいこと.真剣に人と向き合って,人を愛して,人間として暖かくて.その分他の人から愛されて,信頼されて. その3つがある人が「徳のある人」で,それに人は寄ってくるんだろうなっていうのを感じました.だから最初はそれに打ちのめされましたね.英語ができるから何とかなるかなって思ってたんですけど,そんな次元じゃないなって思いました.でもそういう人たちを見て,自分がめざす人間像みたいなものは変わりました.
———確かに,なんでそんなハードワークできるの?どこからそのエネルギーが出てくるの?みたいな人たくさんいましたもんね.
そう,やっぱり軸があるんでしょうね.
———いまトミーが話してくれたようなことって,なかなか外部の人に紹介されてないというか,届いてない気がするんですよね.東ア船の紹介のされ方が陳腐というか,単純に「英語が学べるよ」とか「東南アジアが学べるよ」みたいなレベルで終わっちゃってる.けど「船」である真価ってそこじゃない,いまトミーが話してくれたところにこそあると思うんです.
そうそう,いい意味ですごく深くて,いろいろ取っ払った人間と人間の関わり合いが見れるのは,船であるからこそだと思いますね.外に逃げられないし,外からの情報も入ってこないし.それが青年の「船」である根本的な意義ですよね.私の中では東南アジアは括弧ですね(笑)(東南アジア)「青年の船」みたいな(笑)まあでもそれは人によって違うとも思います.東南アジアを深く知りたくて参加してる人は「東南アジア」(青年の船)みたいな感じかもしれない.
———だからこそ,同じ事業に参加したとはいえ,一人ひとり得た経験とか,事業の捉え方とか違いますもんね.
現地に行ってこそわかる「小さな気付き」
———船の中で,乗る前に想像してなかったことありましたか?いい意味でも悪い意味でも,「こんなこともあるんだ」みたいな.
小さな気づきは毎日ありましたね.例えば,イスラム教って意外と緩いんじゃない?って思った瞬間と,やっぱりイスラム教って厳格なんだな,って思った瞬間両方ともあって,その二面性は予想外でした.あとは,「王国」の人にはじめて接したので,王国ってこういうもんなんだっていうのは思いました.スルタンが言った言葉が法律になるとか.あとはアルコールが禁止されてる国では、密輸入したたばこをみんな吸ってるとか(笑)
———イスラム教は結構みんな言いますよね.「あれ?意外とそこまで厳格じゃない」みたいな(笑)
あとは,東南アジアって日本にすごい影響を受けてるんだなって思いました.イオンがプノンペン(カンボジア)にあったりとか,タイとかインドネシアには丸亀製麺があったりとか.めちゃくちゃ日本食とか日本文化好きなんだな,って感じたのはすごい想定外でした.勝手に敵対視されてると思ってたので.あと,パターナリズムかもしれないですけど,それが少し嫌だなって思っちゃいました.マーケットじゃなくてイオンに人が流れるようになったとかいう話を聞いて,カンボジアらしさを大事にしてほしかったなあって思ったりもしました.
———なるほど.マーケットに関しては国それぞれって感じで面白かったですよね.
そうそう,それも想定外でした.カンボジアとかインドネシアとかマレーシアとかないとナイトマーケットがめちゃくちゃ盛んで,「みんなすごい夜行性やん!(笑)」って思いました.
———自分も,あそこまでチャラいとは思ってなかったです(笑)
ははは(笑)チャラかったですよね.あと,カンボジアとか,信号とか交通標識とかちゃんとあるのに,だれもルール守ってない(笑)それでも事故とかあんまり起きなくて,なんとかなるもんだな,って思いました.
———2車線のところに車が4台くらい並んでたり,バイクが歩道走ってたりしてましたもんね(笑)
そうそう(笑)あと渋滞とかで2時間3時間遅れても,何とかなるんだなって思いました.みんながそれに備えて計算すれば何とかなる.みんな遅れてくるから.
———日本だと考えられないですよね(笑)
だから,日本って考えすぎじゃない?って思いました.衛生面もそう.日本だったら,ずっと外において放置されてる佃煮とかは絶対食べないじゃないですか.でも食べても,もちろんおなか壊す人もいるだろうけど,別に死にはしないし(笑)賞味期限とかすごい厳格な日本に比べると想像つかないですよね.
———日本人は,逆にきれいすぎて免疫ない,みたいなところありますもんね.
>次回,最終回#4-4「私はああいう人たちを目指すんだ」に続きます.
(編集後記~ざーたくの戯言#4-3~)
これだけの航空網が発達した現代に,船で海外に行ったり,船で国際交流を行ったりすることは滅多にありません.東南アジア青年の船は今年で45周年を迎えますが,その45年間の間に航空網が飛躍的に発展したにもかかわらず存続してることそれ自体が,この事業の価値を暗示しています.船内はインターネットはもちろん,外部の世界と完全に遮断されますので,「いろいろ取っ払った人間と人間の関わり合いが見れるのは,船であるからこそだと思います」というトミーの言葉通り,密な人と人との関わり合いが生まれます.「インターネットとの遮断」という点は最近になって付加された価値ですが,「何か困ってもGoogleに頼らずに真剣に人と向き合う」「スマホをいじるのではなく,いろんな人ととにかく話す」ことがいかに難しいか,そして自分たちがいかにインターネットに依存しているかも思い知らされます.人付き合いにおいてインターネットはもちろん大事ですが(特に遠方にいる友達に連絡を取るなど),「今この瞬間,目の前にいる人と向き合う」敬虔もまた醍醐味があります.
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