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「社会問題の生まれ方、なくなり方」には、癒しが必要だ(後編)

システムチェンジ横丁店主のひとり、佐藤淳(Jun)です。
2月12日に、SVP東京代表 藤村さん、立命館大学 社会運動研究者の富永さんと、「社会問題の生まれ方、なくなり方」についてイベント開催しました。


(前編)はこちら。こんなテーマで書きました。
 ■本の趣旨「社会問題は人の内側の認識から生まれる」
 ■社会問題は自分から生じる・変化への反抗
 ■「力」を持って変化を進めるアプローチ

■痛みの連鎖を創るシステムには癒しが必要ではないか

イベントの議論ふまえ、私が感じたことを書きます。

□社会が変わっていくために、必要な時間をかける

「社会問題の解決」というとき、大体短期的に大規模かつ根本的な解決が望まれます。
ただ、例えば南アフリカのアパルトヘイトの撤廃は、ネルソン・マンデラ氏が活動を始めてから47年かかり、以降も彼は13年活動を続けたそうです。

1つの政策を変えるだけでも多大な時間がかかることがあり、政策が撤廃されたからと言って、すぐ関連した社会構造の変化や解決に向けたサービスの広がり、ひとや団体の痛みがなくなるわけではない。
大事なのは、社会が変わっていくために必要な時間をかける「スローイノベーション」ではないか。

(参考)Changing Systems? Welcome to the Slow Movement (SSIR) https://ssir.org/articles/entry/how_to_tease_out_the_complex_dynamics_of_systems_change


□いまの社会問題解決のプロセスは、痛みが加速するシステム

前述した社会問題の生じ方・なくなり方の6つの段階をみて、感じたのは。「痛みの連鎖がしんどいー」でした。

「1、クレイムの申し立て」から始まり、様々な主体を巻き込みつつ新しい様々な問題解決をしていくこの流れは、以下のような痛みをつくっているのではないか。

A、当事者や関係する人が、「痛みがある。社会にとってもしんどい!」を伝え続ける

B、今の状態を問題=害悪ととらえるため、クレイム側と、その問題をつくっている人たち/構造に関わってる人たちの分断が生まれる

C、認知が広がると、最初のクレイム側と別の主張を持つクレイム側が生まれ、当事者同士の争いも起きる(こっちの課題が重要/深刻なんだ等)

D、クレイム側は、社会問題が終わるまで「クレイム側」というレッテルが貼りや、様々な人から「変える人」への願いを受け、自分の人生が前に進めない(トランジションの難しさ)


いまの社会だと、注目を浴びる・政策化・リソースを集結するために、「社会問題同士の優先度競争」が起きる。特に資本主義が強いと、この問題はGDP・売上に効果的だとか、金銭的・政治的な価値による優先付けが起きる。

紛争が加速するシステムを考えると、
例えば子どもの学校で旧世代の校則があり、クレイム申し立てる。
それをニュースで「ブラック校則に立ち上げる子ども!」と取り上げられると、子どもー学校等当事者間だけの話ではなくなり、
利害関係や立場、外野の価値観が持ち込まれ「両者が後戻りできなくなってくる」。そして社会的な関心が薄れると、関係者のわだかまりと疲労感が残る「消費」の流れがある。


□痛みの連鎖を創るシステムには、癒しが必要ではないか

上記のような「痛み」が加速するシステムにおいては、自他を癒し物語を共創する温かい社会変容が大事だと考えています。

その観点の1つは、社会システムの変容の状態の捉え方を、①社会文脈醸成 ②ソルーション提供 ③政策化等構造変化 だけでなく、人や団体、仕組みの内面の変容(④意識・関係性の変容)や、社会の捉え方自体の変容(⑤物語変容ーナラティブチェンジ)を考慮すること。

また、社会問題に携わるひと自身やその組織の心身の幸せを、まず大事にすること(詳細は割愛。下記ブログ参照ください)。


■「社会問題は、私たち自身が原因の一部であり、解決の一部である」

この本で書かれていることは、「私たち自身が原因の一部であり、解決の一部である」というアダムカヘン氏の言葉に近しい。
私が以前、アダムカヘン氏のワークショップに参加したときに、「人に指を指すとき、その指以外の指は、自分をむいてるんだ」と話しており、そうだよなー、、と思いました。

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(私やシステムチェンジ横丁の店主である番野さんが進めている、「子どもの未来のための協働促進助成事業」では、自分たちが体感覚を得ながら進めることを重視しており。
自分たちの価値観の自覚や、心身や関係性を整える仕組み。今後は即興劇等も含めより体感的なワークをできればと思っています)


最後に富永さん、藤村さんの言葉を借りてしめます。
□富永さん
プロセスの理論よいところは、「なんで変わんねーんだよ!」と現場で進める中で、一人でかわることは難しく、プロセスに光をあてることで、もうちょっと力抜いてみようかな?とできること。
「人からヒストリーに光をあてる」

□藤村さん
「洗練されたクレームは、潜在的な対立を抑える」


今日はおしまい。感想・ご質問等歓迎です!!

店主 / 記事の執筆者:佐藤 淳(Sato Jun)
1988生まれ茅ヶ崎出身の2児の父。「社会の変え方を変える」がテーマで、コレクティブ・インパクトによるシステムチェンジ(集団的な意識・構造変容・物語共創) 実現を探求中。
フリーランス、日本おせっかい学会副会長、システム・コーチ®︎
水滸伝・Angelbeats・アニメ漫画ラノベ大好き / スペインの横丁(バル)ではお腹壊してはしごできなかった人。
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