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根本的な社会変容への器の5つの要素と4つの段階

システムチェンジ横丁店主のひとり、佐藤淳(Jun)です。
私が大好きな論文、”Collective Impact(2011)”共著者のJohn.Kania先生が、2020年に独立され「Collective Change Lab」を立ち上げています。
(経営ボード務めている組織で、私もコレクティブチェンジ担当と肩書にいれていたので、ファン冥利につきます)

そのHPのブログに、社会変容に関する叡智のつまった、堪らなく素敵な記事が多く掲載されているので、試しに1つ簡易訳&仲間と感想シェアしてみました。


■根本的なシステムチェンジに臨む「力の変換」への挑戦

「Collective Change Lab」のHPはこちら。

HP内の"story"に、立上げ経緯や想いが掲載されています(下記一部引用)。

私は過去20年間、社会変革の実践者、作家、講演者、教師として活動してきました。
(中略)
コレクティブ・チェンジを支援するために、個人的に地域、国、世界レベルで数十の取り組みを行ってきました。また、世界各地で行われている100以上のコレクティブチェンジの取り組みを調査し、それに接してきました。

ーしかし、どんなに優れたコレクティブチェンジの取り組みであっても、システムを根本から変えることはほとんどありません。その結果、開発された解決策はプログラムレベルにとどまり、人種差別などのシステム上の原因を適切に解決できなかったり、文化的な障壁や、公平な進歩を妨げる有害な考え方に対処できなかったりします。さらに、今日の集団的変革の取り組みのほぼすべてが、力の変換(transforming power)に苦戦しており、段階的なシステムチェンジを超える可能性を制限する力学に留まっています。

私自身の集団的変革の仕事では、勇気あるパートナーとともに、関係性のつながり、システム分析、仕事を通じた癒し、そしてパワーシフトのための解決策の開発を深めるための革新を始めています
(中略)
この瞬間に私を導いてくれるのは、私のスピリチュアルな生活から得た経験であり、個人やグループの変容をサポートする実践法、すなわちサークル、瞑想、儀式、身体化の方法、その他の心からの聴き取りを強化するアプローチなどに取り組み、研究してきました。

これらのアプローチは、私たちが本来持っている、部分に注目するのではなく、全体の利益のために考え、行動する能力を取り戻す助けとなります。(中略)
このような理由から、私は「Collective Change Lab」を立ち上げました。これは、世界中で変革的なコレクティブチェンジを追求している人々の声を増幅させ、使用されているアプローチが私たちの集団的な可能性の実現にどのように役立つかをより完全に示すためのものです。

上記を読んで、内容に深く同意するとともに、勇気をもらいます。
Kania先生は、世界中のコレクティブチェンジに携わり、コレクティブインパクトという協働での社会システム変容に共通する条件を整理した方の1人。ほとんどおこらない根本的なシステムチェンジには、力の変換(transforming power)が大きな鍵で、それは精神性や身体性の体験を通したアプローチからインスピレーションがあったというのは、大変興味深いです。

■根本的な社会変容を生む器の5つの要素と4つの段階


今回簡易訳したのはこちらのブログ記事。
Empathy, Integration, Letting Go & Surprise(21/06/21)
同僚の川島菜穂(子どもの不条理に関するコレクティブインパクトを通した地域エコシステム醸成のプロジェクトで一緒)と、記事の読み合わせと感想シェアをしてみました。

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「目指すアウトカム(s)が変革する可能性を高めるために、あなたはどのような社会変容のプロセスとアプローチ(s)を使用する必要がありますか?」

私たちは、文化・構造・組織の変化(cultural, structural and organizational change)を求めるが、単純な取り組みや、確実性高い解決策(ベスト・デモンストレーション・プラクティス:BDP)のみをしていても、コレクティブなレベルで変革をもたらすことはめったにありません
(参考)BDPのまとめサイト”What Works.”

根本的に異なる結果を得るには、作業(works)を保持するために根本的に異なる下記のような器(コンテナ)を使用する必要があります。これは何十年も前から存在しているアプローチが多くあり、新規の発明は必要ありません。

引用)COLLECTIVE Change Lab "How systems shift"

・Deep relational work among those involved
・A focus on inner change as well as outer change
・Cultivating space for healing
・Transforming power dynamics
・Welcoming serendipity and the sacred into the process

変革につながる集団的進歩の段階を特定しようと試みてきて、観察した以下4つの進歩的な段階があります。

共感(Empathy):他人の靴を履く
統合(Integration):自分の違いを受け入れて感謝しているときでも、他の人との共通の人間性を認識する
手放す(Letting Go):問題に対するあなたの根付いた視点を解放し、他の人や精神に自分自身を開放します
サプライズ(Surprise): これまで想像していたものとはまったく異なる方法で問題に対して行動を起こすだけでなく、以前の道よりも真実で本物であると感じます

私たちのコレクティブ・チェンジ・プロセスの目標は、確実性ある社会変容を達成することではなく、驚き(Surprise:想像を絶する変容をもたらすこと)を達成することです。
(4つの段階については、別記事で詳しく説明します)


■感想「s(複数形)の難しさと面白さ」

私と川島の感想を乱雑に挙げるとこんな感じです。
□全般
・抽象度高い(笑)けど、私たちが携わっている協働での地域のエコシステム醸成の事例を振り返って、器の5つの要素は深く納得
・「コレクティブ」や「チェンジ」の範囲や深さは人それぞれ認識が違う。範囲は学校区・自治体・全国・国家間など、深さは内面外面、構造、文化、世代間など。
・社会変容のアウトカムやアプローチは、「s(複数形)」だよね。1つの革新的なソルーションではシステムは変わらず、散弾銃的な取り組みsが必要。

□5つの器の要素と4つの段階
・社会変容の漸進は、大体、分断や傷つけ合い、自身の痛みやおそれと向き合うことが断続的に起こるため、余白や癒しが必要。
・「愛なき力は暴力であり、力なき愛は無力である」。
・セレンディピティと社会変容の相関性だけで何時間も語れるね。
・システムチェンジは大概、言語化しにくいものをしようとしていることにとても価値がある。
・NPO法人エティック(私と川島が所属)の代表宮城さんの退任にあたってのプロセスはは、4つの段階を経たまさにの事例。
・佐藤淳はナラティブチェンジ萌え! 

店主 / 記事の執筆者:佐藤 淳(Sato Jun)
1988生まれ茅ヶ崎出身の2児の父。「社会の変え方を変える」がテーマで、コレクティブ・インパクトによるシステムチェンジ(集団的な意識・構造変容・物語共創) 実現を探求中。
フリーランス、日本おせっかい学会副会長、システム・コーチ®︎
水滸伝・Angelbeats・アニメ漫画ラノベ大好き / スペインの横丁(バル)ではお腹壊してはしごできなかった人。
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