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協働時の体制と進め方を「アセスメントツール」で解決!

あけましておめでとうございます! システムチェンジ横丁店主のひとり、佐藤淳(Jun)です。
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さて、今回は社会変容に向けた協働(コレクティブ・インパクト)において、推進体制と、進め方についてお勧めのアセスメントツールを紹介します。

■協働する中での悩み「体制と進め方どうしよう、、」

今回想定している協働は、少し進んだものをイメージしています。
例えば、
・元々ある領域で活動・成果が出ている組織
・様々な組織や別セクターとも連携経験あり
・取り組む領域での問題構造や、どんなステークホルダーがいて、その関係性がどうなのかも見えてきた
・「事業展開」「組織拡大」とは違う、問題構造そのものにも影響を与えるような取り組みをしていきたい(数年以上先を見越して)
・こういった気持ちに共感する仲間も少ないが見つかった

・・・・「コレクティブ・インパクトだ!!」と意気込んだひと向け

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ーと、仲間で何度か話したり、試験的なコラボしてみたりする中で、悩みは尽きないだろうけど、今日は前回書いた記事でいうと、主に「3」に焦点をあててお伝えします。

1、 状況・問題構造の理解/認知ができない・一部でうまくいっても全体が変わっていかない(むしろ悪くなることも)
2、 答えがない中、共通ビジョンの表現・具体化と、そこへ進む試行錯誤が描けない(システムとのダンスができない)

3、 ビジョン実現/試行錯誤に向けた協働体制の立上と、相乗効果発揮できる生命体にならない

4、 分かり合えず、協働どころじゃない上、自分も相手も周りも傷つき苦しみながら紛争苛烈していく(新たな痛み/分断の生産)
5、 1~4を進める上で必要な知見や体感知が何で、その学習とスキル向上、自身の在りようの変化をどうすればいいかわからない



■アセスメントツールを使おう!

協働における推進体制の構築と発展と、その進め方において悩むのはここら辺でしょうか。

「上下関係が明確じゃない、金銭の授受も薄い仲間との協働って、難しい」
 -代表間のノリで決まり、職員間は関係性薄い。遠慮が蔓延
 -組織文化が違い、協働の意義を疑う(草の根、スタートアップ、保守)
 -実は単価が結構違い、関わり度合いや資金配分の方針がたてづらい

「「仲間内」を越えた「イニシアティブ(協働体制)」をどう移行するか」
 -目指す社会の状態目的が曖昧で、最初は思い付きのコラボばかり。既存事業で多忙な中、効果/収益の見込みが曖昧な活動への関わりへ疑問
 -関係性薄いけど、巻き込み必要ある主体の参画。仕組みを色々整えねば
 -役目を終えた組織も出る。目的に対してメンバーの最新再生は
 -目指す社会に向けた、効果的で力強いイニシアティブにするために、何をどうしたらいいのか


そんなときに参考になるのがこのツール! Tamarack Instituteが作成した、Collective Impact Self-Assessment and Planning Tool
公開年はわかりませんが、数年以上前? これを有志で翻訳してみました。

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※有志がかつ翻訳プロじゃない人たちがつくったので、クオリティはご容赦を。自団体等で勉強するのは歓迎!!ですが、商業利用は禁止です。もし利用希望あれば、私に連絡ください。Facebookアカウント


□アセスメントツールの使い方

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ツールで最も面白いのが上記の表。横軸にコレクティブインパクトのフェーズを5つに分け、縦軸でチェックすべき3項目4要素を整理しています。

①イニシアティブ体制の設計・実行/リードに向けた「ガバナンス・インフラストラクチャー」「戦略策定」
②文脈理解に向けた「コミュニティの巻き込み」
③進捗やアウトカム、インパクト及び学習の評価に向けた「評価と改善」



例えばこんな会話ができます。
「いまのイニシアティブは、ガバナンスと戦略策定はフェーズ2.コミュニティへの説明不足で不和が出てきたから、今後3か月優先度高いのはコミュニティ向けのお伺いと計画のブラッシュアップかな」

複数の主体で協働するとき、陥りがちなのが「協働意義や進捗状況・資金使途の不明による不信感増大」と、「少数の推進者が、すべてを気にしすぎ&総花的なアクション実施で疲弊」かなと。
そのため、このようなアセスメントツールを定期的に使用して、イニシアティブ全体の認知とすり合わせと、今後のアクションの優先付けをすることがおすすめです。


■アセスメントツールを独自で作成&使ってみた

いま仕事のひとつが「子どもの未来のための協働促進助成事業(NPO法人エティック)」という事業です。
子どもの不条理の問題を、地域の生態系を耕すことで取り組む。実現には5~10年以上かかるため、最初の3年間をサポートしています。


この事業で「エコシステムのアセスメントシート」を独自につくり、支援先の主体に活用してもらいました。
アセスメントシートは、「コレクティブインパクト実現のための5要素(※1)」をベースに、合計5つの大項目、19の小項目に分かれる指標を設定。
各項目に対して「充足度」「重要度」の観点で5段階評価の点数をつけてもらいます。
(※1)共通のアジェンダ、共有された評価・測定システム、相互に強化し合う取り組み、継続的なコミュニケーション、取り組みを支える組織

<アセスメントシートの大項目(独自作成)>
1、 課題に対する理解と、解決に向けたビジョンの共有
2、 指標やデータに基づく継続的な学習と適応
3、 課題の構造的な解決に向けたプレイヤーごとの適切な役割分担と連携4、 当事者を含む利害関係者の包括的な参画と継続的コミュニケーション5、 変革を支えるチームとしての能力・キャパシティ



点数をつける人は何名でもよく、下記の計算式で「優先度」が出ます。
19項目の中で、合計数値が低いまたは負の値の項目が、より優先度の高い項目と言えます。
 「充足度 ー 重要度 = 優先度」
(例、充足度は4-重要度は2=優先度は2。当事者理解は十分できてきたから、今後の重要度は薄い。他にリソース割いた方が良さそう)

やってみた感想は、

・気持ちがすっきり、肩の荷がおりた
・優先度の認識合わせができたことが大きい。全項目をやる必要がないんだ
・ロールや役割ごとに観点違っているからこそ、点数の付け方も違う。この違いが見えることで、誰が何に注力するかの戦略が立てやすくなる
・もっと幅広い協働主体でこれをやってみたい
・今回は「今後半年の優先」をみつけるためにやったけど、これが今後数年の計画を立てる時は、成長フェーズごとにアクション整理できるかも


なお、今回は汎用的なアセスメントツールをつくりましたが、特定のイニシアティブ独自のツールを作成することもできます。
アセスメントシートの実施・公開範囲は、戦略等を考える人たちだけでもいいし、より広く実施してもいい。
新規参入する協働主体向けに、進捗状況等の現在地を伝えたり、スポンサー等への情報公開として利用するのもありです。

加えて、まだ協働主体間の関係性ができてないときや、点数やコメントを見せ合うことで摩擦が起こりそうなときは、外部ファシリをいれながら対話することもおすすめです。


■最後に大事な点を2つ補足をすると、

①協働の実施には、”readiness”が大事


最初に紹介したTamarack社のアセスメントツールにて、コレクティブインパクトの5つのフェーズが整理されていました。
よく見ると、「フェーズ1も結構大変じゃね? 私はフェーズ0より前かも」というひともいるかと思います。

大事なのは、連携の数(数百いたら強い)ではなく、目指す社会のシステム変容に向けて、必要な主体がいるかです。そのため単一団体でも、強権的な少数のチームでも、問題ありません。

なので協働を始めるまえに、自分の取り組む事象が協働する必要があるのかを考えると共に、コレクティブインパクトが必要だと考えた時は、協働する上での”readiness(リーダーたち、社会文脈の醸成、資金)”が整っているかをチェックしてみてください。

(参考)リンク2つ


②”社会変容の知”習熟度はバラバラでいい


「システムチェンジ横丁」で紹介しているような知見を学び、実践していく人は、「みんなこれを知ってほしい、、、」という気持ちになりがちです。
でも、協働主体内の全員が、こういった知見を学んだり、スキルアップしたりする必要はないと考えています。

コレクティブインパクトの中で言うバックボーン組織や、一部の「システムリーダーシップ」が得意な人が知っていればよく、また、外注もできます。
アメリカでコレクティブインパクトのカンファレンスに参加したとき、フリーのバックボーン組織、ファシリテーター、評価者等、プロを期間限定でも引っ張ってきた方が効率的かなと。

全部ひとりでがんばろうとしない!が大事です。


ということで、今回の記事は以上です。質問・コメントあれば下記からぜひ!!

店主 / 記事の執筆者:佐藤 淳(Sato Jun)
1988生まれ茅ヶ崎出身の2児の父。「社会の変え方を変える」がテーマで、コレクティブ・インパクトによるシステムチェンジ(集団的な意識・構造変容・物語共創) 実現を探求中。
フリーランス、日本おせっかい学会副会長、システム・コーチ®︎
水滸伝・Angelbeats・アニメ漫画ラノベ大好き / スペインの横丁(バル)ではお腹壊してはしごできなかった人。

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