日本における大麻と歴史と法律
大麻はいつから日本人の近くにいて、いつから規制されて、いつからまた人間の味方として注目されつつあるのか。今回は大麻を日本の歴史に沿って順番に勉強しようと思います。
中央アジア原産の大麻草は大昔から日本に
日本人はもう10000年以上前の縄文時代から、大麻草との付き合いがある様です。複数の貝塚から種が出土したとの事で、基本的には食用であったと見られています。原産が中央アジアのなので、アジアでも日本より前に食用で広まっていた様です。
薬としては紀元前の中国でもう利用されていたと記録が残っています。日本はその頃は弥生時代。服の素材のメインは麻でした。どんどん付き合いが深くなってきてますね。
大麻草は文化として根付き始める
奈良時代に突入し、日本に現存する最古の和歌集として有名な[万葉集]に麻を撒く風景、麻を織る情景、麻を紡ぐことなどを詠んだ歌が登場し変わらず大麻草と歩んでる歴史が伺えます。
戦国時代に入って木綿という素材が現れたり絹といいう高級品が現れても、麻の素材の立場は揺るがず強度を重宝され、素材としてはこのまま第二次世界大戦後まで盛んに使用される事になります。
今私達が普段愛用している七味唐辛子。登場は江戸時代の初期の様です。浅草で開発されたものから派生し、日本各地で製造販売される様になります。しっかりと麻の実も入っていた事でしょう。
激動の近代史は大麻草も激動する
大麻草の歴史も近代史に突入します。
1880年の朝日新聞に印度大麻煙草という物が喘息の薬として広告に出ているという時代背景です。
栃木県ではより良い大麻草の栽培を研究するために、農業試験場が建設され全国の作付けの半数以上を栃木県が占めることになります。
戦前の小学生の教科書には栽培方法や用途が載っており、中学生や教員にも大麻草の教育がされていたというのもまた驚きです。
小学生の教科書に大麻草の栽培方法が記載されていたにも関わらず、1925年(大正14年)に第二阿片会議条約という国際的会議により[インド大麻]の使用制限、輸出入、不正取引が規制され国際的規制が始まります。
そして、その5年後1930年(昭和5年)に日本でも大麻は正式に麻薬に指定される事にりましたが、ここではまだ大麻の製造(内務大臣への届出)、輸出入・譲渡手続き等に関するものでした。まだ届け出を出せば製造も可とも取れますね。使用についても、記されていません。
太平洋戦争が終結し日本はアメリカの統治下に置かれる事になります。この頃から日本での取締の歴史が新たに始まります。当時アメリカでは、大麻吸引による問題が多く発生しており、日本の法律にも正式に規制を盛り込み罰則が設けられる様になります。第二次世界大戦時に日本軍が大麻を軍需品生産として利用していた所も背景にあるようです。
1948年に制定された大麻取締法で、無免許の大麻の取り扱いが禁止されます。日本の法律による大麻とは「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品であり、樹脂はこれに含まれ、成熟した茎と種子及びその製品が除外されること」だという事で、茎と種以外の部分は免許を持っていない人は扱ってはならず、生産、流通、「研究のための使用」を禁じています。さらに、大麻から製造された医薬品の使用、施用、特定の場合以外の広告も禁じています。
そして日本人からは大麻草の栽培や大麻草製品が減少して行き、自生している北海道や長野県、東北地方などの大麻草も行政をあげて駆除しようとしているが生命力が強く完全な駆除は不可能な状態が今も続いているそうです。
規制により逮捕者が出始める
大麻吸引という文化が嗜好品として元々なかった日本に大麻吸引を持ち込んだのは、在日米軍基地で働いていたジャズ奏者や憲兵などだそうです。アメリカが規制をかけたのに結局広めたのはアメリカだったんですね。その者らの影響で日本人にも徐々に伝わるようになりました。
1960年代にはアメリカのヒッピームーブメントからの日本でのフォークミュージックの流行とベトナム戦争反対運動などの影響で一時期大麻の吸引、所持、販売で検挙数が一気に増えることになり社会問題になっていました。まだその中のほとんどが外国人であったそうですが、1970年代には芸能人が逮捕される例も相継ぎ始めた様です。
数十回以上にも及ぶ法改正
大麻の定義の変更や法定形が引き上げられるなど、現代まで数十回もの法改正が行われてきた様です。
1990年(平成2年)の法改正では、栽培・輸入・輸出・譲渡し・譲受け・所持等についての営利犯加重処罰規定、および、未遂罪、栽培・輸入・輸出についての予備罪及び資金等提供罪、周旋罪等が新設されました。
10000年以上前から日本人と付き合いがある大麻の2020年現在の大麻取締法による罰則は以下の様になります。
所持・譲受・譲渡
・5年以下の懲役
・営利目的は7年以下の懲役
・営利目的は200万円以下の罰金または併科
栽培・輸出・輸入
・7年以下の懲役
・営利目的は10年以下の懲役
・営利目的は300万円以下の罰金または併科