ダブルス考察記事 ライン攻め
まえがき
スマブラ64だけでなく、格ゲーにも使われる「ライン攻め」
これがスマブラ64におけるダブルスにも適用できる非常に重要な立ち回り論であることに気づきました。
今回はダブルスのライン攻めについて考えたので言語化します。
ライン攻めとは
ラインについて
そもそもの「ライン」について。
プレイヤーキャラとプレイヤーキャラの陣地を線(ライン)で区切ったもの。
「陣地」は、そのキャラがその瞬間で自由に動き回れる範囲のことです。
ライン攻めの一般(?)論
この「ライン」を、どんどん相手側に押しやることを「ライン攻め」とするのが一般的なざっくりした説明だと思います。
こうした状況に追い込むことで、カービィ側から「引く」という立ち回りの選択肢を取れなくさせます。
すっごいざっくり言うと、「待ち」「攻め」「引き」の3択が通常は存在します。
「待ち」は「攻め」に対してライン攻めを許すので不利、
「攻め」は「引き」に対して攻撃を成立させられないので不利、
「引き」は「待ち」に対して相手にライン攻めをさせたことになるので不利。
つまりじゃんけんです。
グーチョキパーのうち、パーを使えない状況にさせることが「ライン攻め」です。
グーとチョキしか選択肢を持ち合わせていない相手には、グーを出し続ければいつか勝てます。
誤解されがちなライン攻め
これは命名が悪いと思うのですが(職業柄そう思うだけかもしれない)
「ラインを押しやること」そのものをライン攻めととらえているプレイヤーがかなり多いように感じます。
そうとらえているそこのアナタにいくつか質問します。
さてどうでしょうか。
①はネスがラインを詰めている状況ですが、ネスがここから殴りに行くとテイルに殺されます。
よしんば殺されなかったとしても、カービィを殺せるでしょうか。
もし殴りに行き、ガードされていたら?
ガーキャンからのドリルでぶっ殺されますね。
そうこうしているうちにカービィが台下から突っ込んで来たらどうでしょうか?
その突っ込みを先読みして飛んでおかないと迎撃できません。失敗すると死にます。
つまり私は「No」だと思います。
②はカービィがドリルで突っ込めばいいだけなので大体有利ですね。
ネス視点では、トスを合わせられればこの状況から逃れられますが、トスが当たるだけで殺すまではいけません。
しかも外したら終わりです。
つまり私は「Yes」だと思います。
どちらも同じラインが詰まった状況で、ライン攻めが成立しているように見えますが、それが有利なのかそうでないのかは異なります。
これが私が感じている、よくある誤解の「ライン攻めの本質のはき違え」です。
2Dで常に地上で戦う格ゲーなら、ラインを詰めることがそのまま有利になるんだろうなとは想像できます。
ギルティギアはラインを詰められて壁を背にしていると壁がぶっ壊れるようになりましたね。制作側もライン攻めを認識しているのかなと思います。
ライン攻めの本質
簡潔に箇条書きします。
相手の攻撃への対抗手段を用意できること
迎撃できること
引いて避け、仕切り直せること
先だしして攻撃をつぶせること
こちらの攻撃のリスクを減らすこと
迎撃されにくくすること
引いて避けられないようにすること
先だしされないようにすること
これら状況を保つことがライン攻めの本質と考えます。
ええ、これって「間合い管理」じゃね?と思われるでしょう。正解です。
よく語られるライン攻めの本質とは、間合い管理&状況を有利にすること です。
よくわかんないけど思い付きで描いた図を貼っておきます。
下が立ち回りの基礎で、上に行くほど高度になるのをイメージして描きました。
さて。
さっきの質問①を再掲します。
迎撃も難しいし、殴りに行くのもテイルに殺される覚悟ないと無理ですよね。
ネスがカービィに対して抗える手段は、空後や空上の判定が強い部分であったり、鈍足のカービィがモタついたところに刺さる素早いぺちすべりです。
そういった手段をこの状況では用意できないので、ライン攻めの本質をとらえきれた状況ではないです。
では質問②はどうか。
ネスが突っ込んできたとしても、ネスは単発攻撃しかないのでガード貼ればよいです。簡単ですね。
こちらが殴るにしても、前述の通りドリル出しとけばだいたい勝ちます。簡単ですね。
これはライン攻め出来ていると言っていいでしょう。
ダブルスにおいてのライン攻め
ラインとは?
そもそもラインって言われている線ってダブルスで引けます?
やっぱ命名が悪くて、線を引くことは全然本質じゃないんだろうなってこれ見たら気付くと思います。
「ダブルスにはライン攻めは存在しない」とか言われたら、はいそうですか、って感じなんですけど。
ルールによって変わるゲームの立ち回りの概念ってなんです?
ライン攻めは確かに存在しますけど、「ライン」はダブルスにおいて「無い」です。
結局は間合い管理なので、もうライン攻めって言葉は忘れてください。
この記事で扱う1状況
以下の場面について、いろんな視点で考察したことを記述します。
上の状況のそれぞれのキャラについて、さっきの本質で書いた箇条書きの件を考えてみましょう。
全部一気に考えるとややこしいので、青チーム視点で考えます。
青カービィの状況を把握する
赤カービィからも赤ピカチュウからも、いつでも殴られる状況にいます。
対して、赤カービィには殴りに行けますが、ピカチュウには殴りに行けません。
青カービィ 対 赤ピカチュウ だけとってみても、迎撃手段は無いし、攻撃手段も無いです。
テイルで迎撃出来るやろと思っているアナタ、横からくる後ろ蹴りにテイルは負けるのでその考えを改めてください。
つまり青カービィはめっちゃ不利な状況なわけです。
ではどうするかを考察します。
青カービィはどうする?
状況が不利なことはわかりました。
なので、青カービィは右に引いて不利状況から抜け出す必要があるのですが、赤ピカチュウの存在がそれをさせません。
じゃあ左のカービィを殴って安置を確保しようか、と考えます。
しかしそれが失敗に終わったら?赤カービィに迎撃され、場外に飛ばされたら?
こんな状況になりますよね。
これはいつぞやの記事で書いた、2:1の状況になっています。
青ヨッシー一体に対して、ピカカビの2体がいる状況。
もはや説明するまでもなく青チームが不利です。
つまり、赤カービィを殴りに行くことは、ライン攻めの本質で記述した
「こちらの攻撃のリスクを減らすこと」
を守れた行動ではないわけです。
さてここまでで、攻めと引きの選択肢について語れたかなと思います。
まとめるとこうなります。
攻め
赤ピカチュウを殴る
そもそもできる状況にない
赤カービィを殴る
失敗したときのリスクが甚大
引き
赤ピカチュウに止められる
では残りの「待ち」の選択肢が出てきます。これが非常に重要です。
今回の記事の、ダブルスにおけるライン攻めの本質がこの「待ち」だと言っても過言ではないです。
一体何を待つのか?について後述します。
青ヨッシーの状況を把握する
青カービィが絶望的な状況であることはわかりました。
では青ヨッシーがどうするかについて、状況を整理した上で考察しようと思います。
赤カービィの位置は遠いので、敵対すべきは赤ピカチュウのみになります。
ピカチュウに攻撃するためには、大ジャンプ空上、空後の選択肢があります。(ちょっと歩く必要はあるだろうけど)
少し状況を変えたければ、左右台に乗ることもできます。結構色々な選択肢がありますね。
ピカチュウからの攻撃に対しては、上強、上スマで迎撃できます。
ブロッキングもあるし、ふんばりもあります。
先出し空後でも勝てそうです。
つまり、崖端にいるので引き行動はとれないものの、別に不利な状況にないわけです。
青ヨッシーはどうする?
別に不利でない、やろうと思えば色々できる状況であることがわかりました。
さらに、青カービィが絶望的な状況であることもわかっています。
もっと言うと、青カービィは「待ち」の選択肢を取っていることも考察済みです。
では青ヨッシーはどうするのか?
そもそも青カービィが絶望的な状況にいる根本的な原因は、赤ピカチュウが中央台上に居座っていることです。
この原因を「間合い管理」で取り除くことが青ヨッシーの役目になります。
例えば赤ピカチュウに近づいてみましょう。
赤ピカチュウはこの行動に対して「立ち回り」の一つ、引いて仕切り直しを狙う行動をとります。
その引き行動はジャンプになります。
こうして赤ピカチュウを動かし、青カービィの状況を変えられるわけです。
赤ピカチュウが飛んでくれたため、青カービィが赤ピカチュウに対して迎撃手段を持たない状況ではなくなりました。
右に引くこともできますし、後ろ蹴り / テイルで対空する準備を整えることもできます。
青ヨッシーが赤ピカチュウと1:1をしているだけだと、降りて来たところにブロッキングや対空技を合わせることを考え、「待ち」行動がタイマンだと取られがちになる状況かなと思います。
しかしそれだと青カービィが絶望的な状況はずっと変わらないままとなります。
ここでの「待ち」はダブルスの立ち回りで考えると悪手であり、青カービィがやられ、1:1をしているはずが1:2になり、青カービィも青ヨッシーもやられる結果になります。
誰も殴ってないし殴られてもないですが、ただ飛んだだけで状況が随分変わりました。
シングルスでもこうした状況の変化は起きますが、ダブルスでは狭いフィールドに4体いて密なので、シングルス以上にワンアクションでの状況が変わりやすいです。
ダブルスにおけるライン攻めの本質
簡潔に箇条書きします。
シングルスの時の本質に、「誰が」が増えただけです。
自分が、相手の攻撃への対抗手段を用意できること
迎撃できること
引いて避け、仕切り直せること
先だしして攻撃をつぶせること
自分が、こちらの攻撃のリスクを減らすこと
迎撃されにくくすること
引いて避けられないようにすること
先だしされないようにすること
味方が、相手の攻撃への対抗手段を用意できること
迎撃できること
引いて避け、仕切り直せること
先だしして攻撃をつぶせること
味方が、こちらの攻撃のリスクを減らすこと
迎撃されにくくすること
引いて避けられないようにすること
先だしされないようにすること
シングルスの場合、「攻め」もキツくて「引き」も出来ない、「待つ」ものが何もない時、苦しくなってジャンプを使ったり、何等かの技をぶっ放したりすると思います。
しかしダブルスの場合、「待つ」ものが常に明確に存在します。
それが「相方」です。
シングルスではほぼ選択されることのなかった「待つ」という選択肢が、ダブルスでは重要になることがわかりました。
一言で言うと
ヤバい時に無理をするな、味方に何とかしてもらえ
です。
逆に味方がヤバい時は、自分が何とかしましょう。
さいごに
ライン攻めという言葉にずっとモヤモヤしたものを抱いていたのですが、ようやく晴れました。
そして「待つ」という選択肢が自分の中になかったので、ダブルスの視野が広がったように思います。
ここまで理解し、実践できるようになれば、今のは待つべきだった!とか、待っててくれ!!みたいなコミュニケーションが相方と出来るかなと思いました。
前回の2手 / 3手の火力の話でも、理解さえしていればコミュニケーションが試合中に取れるとか書きましたが、予想以上に難しくて全く出来ませんでした。
多分、今回の話も無理なんだろうなと思っています。笑
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?