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写真
残したいものがあるか。
なにもなくていいや。
自分の心の中にあれば。
忘れてしまったことは、それまでのこと。
カメラ屋さんでアルバイトをしていた。
写真のプリント、アルバム、フィルムの現像ー。
想い出って、写真って素敵だなぁと感じた。噓ではない。
スマホの写真の整理をした。
すっかり忘れていた想い出。
これを思い出せるのが写真のいいところだろう。
写真が好きか嫌いかと言われると、あまり好きではない。
嫌いかもしれない。
頭では写真に魅力は感じる。挙げるなら長所ばかりだろう。
どこかに行けば、イベントがあれば、写真を撮る。
そんな行動を取っているけれど、あまり好きではない。
火事になるくらいなら、泥棒に入られた方がましだ。
想い出もすべて無くなってしまうから。
大切な人が亡くなった。せめて写真くらい。
写真はそのくらい、想い出に直結するものなのだろう。
自分が死んだとき、何を残したいか。
遺された人に何を持っていてほしいか。
何も残したくない。自分は最初からこの世界にはいなかったんだと、消えてなくなってほしい。
自分が生きているとき、想い出を振り返りたいか。
いや別に。
過去も悪いことばかりではない。
でも、良いことばかりでもない。
想い出もいいことばかり思い出せるわけではない。
いいことでもそれに付随する思い出したくないことまで思いだすくらいなら、
なにも振り返らなくていい。
前だけを向いて生きている。
そう言えば聞こえはいいけれど、臆病なだけ。
でも、今を生きることだけに必死なのだ。
綺麗な景色を見た。
美味しいものを食べた。
心の中にそっと置いておきたい。
忘れてしまえばそれまでのこと。きっとそのうち忘れる。
でも、悪いことではない。人間は忘れる生き物なのだから。
良いことも悪いことも、全部忘れて生きていくのだ。
私の想い出は私のもの。
良いことも悪いことも、他の誰にも背負わせない。
何も残さず自分の中だけで終わらせたい。
残したいものがあるか。
なにもなくていいや。
自分の心の中にあれば。
忘れてしまったことは、きっとそれまでのこと。
おかげでヘッダーにする写真がなくて困る(笑)