「葉っぱはなぜこんな形なのか?植物の生きる戦略と森の生態系を考える」(林将之 著)
「葉っぱはなぜこんな形なのか?」(林 将之 著)は素晴らしい本でした。
樹木の葉っぱの形を工夫した生き残り戦略の話はそれはもちろん面白かったですが、クマのいる森の話に引きつけられました。
クマが動植物の多様性を担っている話に心惹かれました。クマがドングリを食べ、歩き、山のあちこちにタネを運んできたのです。(北海道アウトドアガイドの安藤誠さんもクマは植林をしている、と以前話されていました。そのことをアイヌはよく知っていて、クマを尊敬の念を持って「山にいる神」(キムンカムイ)と呼んだ、と。)
クマが絶滅した九州ではクマが好むサクラやイチゴ類が絶滅に瀕している。
→クマを失うことは、生物多様性を失うことにつながるのです。
しかし今、クマの食べ物が森になくなり人間の暮らすエリアに近づき、たくさんのクマが捕殺されています。
クマを殺さないようにするには一体どうすればいいのでしょう?クマが人間に近づく必要のない森があればいいのでしょうが、それが今どんどんなくなっています。(ダム、ナラ枯れ、メガソーラー etc.)
クマは放置林となったかつて植林されたスギ、ヒノキの樹皮を剥いで枯らし、間引きをを知ってか知らずかしているそうです。また熊棚を作るために荒々しく木を倒すことで、今まで発芽できなかった種を芽吹かせるそうやってクマは森を健全に守る役目を担ってきたそうです。やはり山の神。
そんな話を読んだので、いてもたってもいられなくなって、遅ればせながら日本熊森協会 https://www.kumamoriweb.org に入会しました。入会したら著者の林さんも顧問ということがわかりました。安藤誠さんも顧問です。
ドングリでクマの餌付けをするのはいかがなものか、という反論もあるようですが、彼らはクマと人間の幸せのため「今」活動してくれている団体だと思うのです。
*調べてみたら環境省から出している数字を見つけました。ヒグマはこの2年756〜859頭/年、全体で5,283〜6,002頭/年、殺処分となっています。 https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/capture-qe.pdf
*ナラ枯れももとはといえば山が健全でなくなっているからだ(木の免疫力が下がるから虫がつく)という説もあります。(「土中環境」の著者の高田宏臣さんによる)