【オススメ長編小説】機動戦士ガンダム外伝-ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…-シリーズ


喉はカラカラだし、お腹も空いたし、全身はまだひどく痛む。昼はじっとりと張り付くような湿り気を帯びた暑さに襲われ、闇夜には響き渡る得体のしれない獣の声におびえながら、私はもう2日、このどこだかもわからない、熱帯雨林の中をさ迷い歩いている。出征前に気候やなんかについては、もちろん一通り教育は受けてきたけど、聞くのと体験するのとでは、こんなにも違うなんて。
―――それにしても
 私はそう思い直して空を見上げた。これでも、パイロット。幸い、脱出する機体から装備品一式は取り出すことができた。その中のコンパスと航法の学科でならった星の読み方を頼りに、とにかく北へ進んでいく。まぁ、コンパスなんて、コロニーや宇宙では、使ったことないから、初めてだけど。

ギャーッギャーッ!

び、びっくりした…今の、何?鳥かな?すごい近かった…は、離れた方が、良いかな…
急に動物の大きな鳴き声が近くで聞こえたものだから、心臓が止まった。それから、暗闇の森の中から得体のしれない恐怖感が私を襲って背中を伝っていく。
 拳銃を引き抜いて、携帯ライトとコンパスを頼りに、夜営ができそうな場所を探す。
 無謀だったんだ、こんな作戦。第一、空挺降下するのに、対空砲の位置や数をきちんと把握していないなんておかしいにもほどがある。それでは、撃墜してくれと言っているようなものじゃないか。連邦はこのジャングルの中に、どれほどの規模の兵器と兵員を持っているのか、事前に調査したんだろうか。仮に、50機のモビルスーツを投入して勝てる計算だったとしても、降下に使われたガウ攻撃空母はたったの18機。護衛の戦闘機はもっとたくさん張り付いていたけれど、対空砲火を浴びてはひとたまりもない。敵にしてみれば、50機のモビルスーツと戦う以前に、18機のガウを撃墜すればそれだけで勝ててしまうのだ。事実、私の搭乗したザクを搭載していたガウも降下が始まる前に敵の対空砲の直撃弾を受けて炎上。動力をやられてコースを外れ滑空をし始めていた空母から無我夢中で飛び降りたけれど、そんな状態で訓練のように落下速度をバーニアでうまく調整できるはずもなく、挙句には敵戦闘機に撃たれまくり対空砲火を浴びまくり、降下中に撃っていたマシンガンはとんでっちゃうし、半分衝突みたいに地面に降り立った時には、機体はもう使い物にならなくなっていた。訓練では、鹵獲されないようにと自爆させる手順も教わったけど、自爆に必要なモビルスーツの動力部すら機能していなかった。幸い落ちたのが沼地で、機体自体は、沈んでしまったから良かったけど。この作戦を立案したなんとかって将校、兵隊を駒くらいにしか思ってない士官学校出のボンボンなんだろう。
 木々の間を抜けると、開けた場所に出た。川だ。このあたりなら、夜営できそうな場所もあるかもしれない。そう思って、拳銃を仕舞い、あたりをライトで照らそうとしていたら、何かが匂った。なんだろう、これ…煙…何かが燃えているにおい…
 次の瞬間、何か固いものが背中にゴリッと押し付けられた。

機動戦士ガンダムの二次創作オリジナルストーリー


各話リスト

【機動戦士ガンダム】ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…【前編】
【機動戦士ガンダム】ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…【中編】
【機動戦士ガンダム】ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…【後編】

【機動戦士ガンダム】ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…【1】
【機動戦士ガンダム】ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…【2】
【機動戦士ガンダム】ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…【3】
【機動戦士ガンダム】ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…【4】
【機動戦士ガンダム】ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…【5】

【機動戦士ガンダム】ジオン女性士官「また、生きて会いましょう」学徒兵「ええ、必ず」

機動戦士ガンダム外伝―彼女達の戦争―【1】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の戦争―【2】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の戦争―【3】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の戦争―【4】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の戦争―【5】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の戦争―【6】

機動戦士ガンダム外伝―彼女達の選択―【1】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の選択―【2】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の選択―【3】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の選択―【4】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の選択―【5】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の選択―【6】
機動戦士ガンダム外伝―彼女達の選択―【完】

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