小説:「論理戦闘」
の論理左腕が唸りを上げて襲いかかる。私は自らをフーリエ変換し、原始関数を保ったままその場で相手の論理左腕を躱す。そして再びフーリエ変換を行い、すかさずこちらの論理右腕をすばやく の顔面に叩き込む。崩れた態勢のまま、 は部分分数分解を行い、私の論理右腕を霧散させる。SO(3)の回転群である私の第二、第三の論理右腕が次々と を襲う。部分分数分解を警戒し、私は予め自らの論理右腕に対して冪級数展開を行うことで を牽制する。展開速度が の収束速度を上回る。
との勝負が決したかのように思われた瞬間、私の理論武装された拳は の面前で無限ポテンシャル障壁に阻まれる。無限井戸型ポテンシャルに護られた は、私に自己矛盾を導く。
「私 = { わたし | わたし ∉ わたし } , 私 ∉ 私 ⇔ 私 ∈ 私」
の唱えた論理式によって、私が崩壊していく。私の敗北を見とった が不敵な論理笑みを浮かべる。私は直ちに自らを再定義し、矛盾を解消する。
は矛盾の解消を見るや否や、マクローリン展開を行い、自身を原点に論理流を撹乱し威圧する。私はテイラー展開を行い、あらゆる点を対象に論理流をさらに撹乱する。そして と私は同時にゾンマーフェルト展開を行い、論理流の乱れを互いに打ち消す。
は私に向けて磁気単極子を電磁砲によって高速で射出する。私は撃ち出された磁気単極子の周囲における磁場の回転をとり、マクスウェル方程式との矛盾を導く。 はマクスウェル方程式の修正を示唆する。私の論理が揺らぎ、思わず膝をつく。
は茫然とする私に対して第四世代ニュートリノの存在、標準理論の矛盾、摂動論の限界、リーマン予想を次々に示す。そして最後に、P≠NP予想を示す。立つ瀬を失った私は消える。後に残るのは、