誤解されがちな「One for all, All for one」の本当の意味
僕は高校時代から大学時代まで7年間、ラグビーをやっておりました。
ポジションはスクラムハーフ(背番号9)という、筋肉隆々のひと達(フォワード 以下FW)と、ちょっとカッコよくボールもって走ったりする奴ら(バックス 以下BK)の中間にたち、指揮を取る役割をしておりました。
特に、FWは密集状態において下を向いて敵を押すため前や周囲が見えないので、彼らの目となり状況を伝えたり、指示を出して戦闘指揮を取るのが役割です。そして、FWが頑張ってキープしたボールをBKにパスを出して繋ぐのがミッションです。
ラクビーについて詳しくない人もいると思うので、簡単に説明をしておくと、ラグビーとは15人が一つのチームで、1番から8番がFW、9番から15番がBKと分類され、その中でも1番−3番が1列目(デブ)、4番5番が2列目またはロック(のっぽ)、6番−8番が3列目またはバックロー(動きの早い筋肉野郎)とFWの中でも役割が別れ、私のポジションである9番(ちび)と10番(なんかカッコイイ)をハーフ団と呼び司令塔役、11番14番をウィング(足早い奴)、12番13番をセンター(タックル&突破野郎)、15番がフルバック(防衛の最終ライン)と分類されるスポーツでした。
何が言いたいかというと、それぞれのポジションでファンクション(機能、ミッション)が分類されており、そのポジションの人が自分の役割を果たさないと、トライが取れないスポーツなのです。
One for all, All for oneの意味
本題に入りますが、ラグビーの用語として「One for all, All for one」 というのがあります。有名なので知っている人も多いかもしれません。
私はこの言葉がベタですが大好きです。
でも、実はこの言葉は誤解されがちなのです。以下のように捉えている方が多いのですね。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」
これは実は間違っていて、本当の意味は、
「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」
なのです。ここでいう目的は、ラグビーでいうとトライです。
これ、会社に置き換えても意味が通じます。一つの目的、つまりゴールのために全員が役割をしっかり果たすのが重要だ、ということなのです。
一つの目的を達成するためには
で、もう一つこれを説明する上で大切なことがあります。
ラグビーというスポーツは、攻撃をする際、サインがでて全員がそのサイン通りの動きをします。サインはトライを取るために出すので、理論的にはサイン通りに全員がプレーすれば必ずトライが取れます。
が、これが現実では取れない。
なぜ取れないかというと理由はシンプルに2つしかなくて
- 敵のディフェンスがうまい
- 味方がミスしたか
このどちらかです。
どっちにしても突然、前提条件が崩れ、想定していない事態が発生するのですが、当然ボールをキープして攻撃を続けないとトライは取れない。
では、どうやってボールをキープするかというと、ボールを持っている人間が役割を果たせなかった事を常に想定し、フォローしていればキープできます。
なので、
- ミスはいつでも起こる(という想定)
- それを仲間が全力でフォローする(想定外な事が起きてもフォロー)
- ミスは起きるものなので、ミスを責めない。逆にフォローしていなかった事を責める。
といったマインドになります。この繰り返しを経て、一つの目的(トライ)に繋げるのです。
会社においてのチームも同じ
上記のように、ラクビーというスポーツは、ポジションごとの役割が定まっており、体格もスキルもパワーもそれぞれが違う15人が、仲間を信頼して始めてチームが成り立つというわけです。
誰が一番うまいか?という質問はラクビーでは難しくて、それぞれが、それぞれの役割とちゃんとやり、またお互いをリスペクトし合わないと勝てないスポーツなのですね。
そして、ラクビーで学んだこれらのことが、今、僕の仕事をする上での考え方の礎になってます。
つまり会社においても、「誰が優秀か」などではなく、それぞれの役割をきちんと果たしながら、チームが一つの目的に向かって機能し、お互いリスペクトし合い、フォローしていく、ということが前提の思想です。
こういう考え方なので、トップダウンは好きではなく「自分の考え」をもって仲間を信頼して進むことが好きなのです。
One for all, All for one、という言葉のように。