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デザイナーが集う仕事場をつくる

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こんにちは!LOUPEのナカハラです。
代々木駅東口から徒歩5分、明治通り沿いから住宅街を入ったところに開放的な入口に通る人は必ずチラ見してしまう。目が合うからこそ自然と言葉が飛び交いそこから新たな創造が生まれる空間。
今回はそんな SUPER SUPER の仕事場を設計したデザイナー・清水佑哉にオフィスについて紹介してもらいます!

SUPER SUPER インテリアデザイナー:清水佑哉
2013年多摩美術大学環境デザイン学科建築専攻を卒業。
インテリアデザイン事務所に入社し、設計業務を担当する。 在職中に、甲斐建人(他2名)と共に、2014年10月に SUPER SUPER を設立。 退社後、2015年11月に株式会社スーパースーパーとして法人化。インテリアやプロダクトのデザイン・設計業務を担当している。

2017年 JID AWARD 2017 NEXTAGE部門 部門賞 受賞
2018年 JID AWARD 2018 NEXTAGE部門 部門賞 受賞

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1.デザイナーを思い、よりよい環境を提供すること

オフィスの完成までデザイン含めだいたい3ヶ月かかりましたね。
道路に面した立地を活かしファザードにガラスサッシを使うことは計画していて、ここについては実際のオフィスにも反映しているが、壁面収納に関しては初期プランでは木製を検討していたんですよ。改めて過去のプラン資料をみると色々と思い出しますね。

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ー木の素材を使った温かみある空間プランから別軸のデザインにした理由を聞いてー
当時いたメンバーから、木の素材を入れたいという要望があって、木を多用したプランも検討したんだけど、何かまとまらないなっていう感じになって、社内で忖度していたのをすべてやめて、最終的に全部無視したんだよね。(笑)
うちにはいろんなジャンルのデザイナーがいるから、アウトプットもバラバラで、そういう人が集まる空間に、本当に木の素材が必要なのか、カラーはどういうものがいいか、いいデザインが生まれる空間はどういう要素が必要で、何が不要かを考え直したんですよ。そこで壁や天井は白塗装、執務室の天板はグレーとモノトーンにしました。床と間仕切り壁はモルタル、収納の扉はアルミと素材の色をそのまま使うことで、シンプルな色彩の空間を作ることを心がけました。
これは例えば、グラフィックデザイナーが制作しているポスターをオフィスで見たときと、実際に駅などに設置された時とで感覚が大きく変わってしまうような状態を絶対に避けなければならないという思いがありまして。色をたくさん扱うデザイナーという職種のためにも、逆に空間には色がない状況を作ることにしたんですよ。

2.こだわりになった、モルタルの生垣とは?

このオフィスは執務スペースと打ち合わせスペース兼展示スペースをモルタルの壁が分けています。路面店なので外からの視線を最低限切る必要があると考えました。でも、完全に隠してしまっては路面店にした意味がないなーと、そこで公共性を感じさせるような壁を考えたかったんです。少し話がずれますけど、僕の師匠である高取邦和さんが和の心を大切になさる方で、僕のバックボーンにもそこが強く根付いています。日本の風景や独自の文化からインスピレーションを受けることが多々あります。今回のモルタルの壁では生垣の様に柔らかい境界を作り出すことができないかと考えました。生垣ってスクエア型に切られたり、そこからひょこっと松の木が覗いていたりリズム感があるじゃないですか、外との境界にそういう形を作れないかなぁと、そこでアートを飾る壁面、ベンチ、背もたれなど機能ごとに高さや幅を変えて、生垣的なリズム感や境界の曖昧さをモルタルの壁で表現しました。

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3.無機質な空間で孤独に感じない工夫

オフィスを設計しているとき、SNSで京都にある瑠璃光院の書院で床とテーブルに紅葉が反射されて外と内が溶け合い境界がぼやけている写真をあげている人がいて、設計中のオフィス全体が無機質にも感じていて艶っぽいところも作りたいなと思っていました。
最初は鏡にしようかと考えましたが、鏡って見えすぎちゃうから露骨すぎて厭らしくなりそうだなぁと思い、実験的に生成りのアルミを使ってみたところ意図してたように植物の緑や外の景色が反射して、街の気配を感じることができました。

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4.変わり続ける空間と築年数との付き合い方

築40年を超える物件で、うちが入る前は学習塾だったらしく広いワンフロアにタイルカーペットが引いてあるだけの簡素な空間でした。道路との面し方や町並みをみて、ここはいい空間が作れそうだと感じました。
しかし、学習塾の前は写真スタジオ、自動車修理工場と10年間隔で使い方がガラッと変わっていたので、老朽化がかなり進んでいました。特に床と天井の痛みが酷かったです。
床は不陸(平ではなく凸凹していること)がひどく、床の水平を取る作業が必須でした。もし床がそのまま使えたらフローリングやタイル張りなど選択肢もあったかもしれませんでしたが、床の水平を取るモルタルの床をそのまま活かすという選択にしました。
天井を撤去してわかったんですが、雨漏りや水漏れがありました。 (汗)
リノベーションあるあるなのかなとも思いつつ、修繕をどこまで大家さんが修繕してくれるかの交渉は着工後も続けていました。そこで大家さんとある程度密にコミュニケーションがとれたことはよかったです。

5.大家さんの寛大さで成り立つこと

今回のオフィスは計画時から、物件に固定するいわゆる作り付けの家具が多くありました。資料を揃えて工事内容を説明すると、びっくりするほどすんなりOKがでました。物件に色々手を入れて元に戻せなくなることなどを嫌がる大家さんが圧倒的に多い中ここまでなにやってもOKといってくれる大家さんは東京には珍しいかもしれませんね。
基本的に大家さんや不動産屋の方は借り手に有利になる情報だけを提示して、不利な情報は伏せてお金を多く払わせたいものだと思っていました。今回のように対人だからこそ人と人との交流ができてよかったです。大家さんも想像以上にいい人だったので思い通りのオフィスをつくることが出来ました。ありがとうございます安岡さん!

6.デザインオフィスが千駄ヶ谷住民に愛し愛されるには

ここに来る前は、神楽坂の雑居ビルの2階にオフィスを借りていました。神楽坂で地域の祭りが開かれることもあるけど、特に誘われることもなく、外のできごとに干渉しづらいことに寂しさを感じていました。僕らは人との交流が好きだし、祭りや地域のイベントを通して地域の人と関わっていきたいっていう気持ちがあったから、移転先は路面店にしようって思ったんです。結果代々木に移転から数ヶ月で町内会長からお神輿を担がないかとお誘いを受けて、会社のみんなで街の行事に参加することができました。

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ーオフィスを通るたびに誰もがチラ見する開放的な入口ー
せっかく路面店にするなら全部ガラス張りにしたい、外から見えるようにして、代々木の人たちとお話しながらたくさんの刺激を受けたいと考えていました。とはいえ基本的にどの仕事もお客さんの大切な情報を扱っているので丸見えという風にはいかないなと、そこで先程話したモルタルの壁が活きてきました。カフェやラウンジなど外での打ち合わせも多々あるので、お客さんが気を悪くしないなら、外から見える場所で打ち合わせをしても大丈夫かなと考えました。デザイン会社がやっている仕事は世の中に出るまで見えづらいですが、打ち合わせの様子などを通じて街の人達に存在を知ってもらっているようにも感じています。打ち合わせのときに可愛い猫などがオフィスの前を通ると目で追ってしまったりしてしまうこともありますが、、(笑)

ー照明プランと街の意外な反応ー
引っ越し当初から通りに向けてアートを飾っていたんだけど、夜も外から見れるようにライトをつけっぱなしにしてました。それが街の人から評判が良かったんですよ。アートが見れて嬉しい的な話かと思っていたんですが、通りが明るくなって嬉しいという話だったんです。
というのも明治通りを越えた新宿御苑のあたりは夜すこし暗い印象で、オフィス前が夜も明るいことで、わざわざオフィスの前を通って帰宅する人もいるって話を聞きました。オフィスと街の人の生活って遠い存在だと思ってたんだけど、狙ったわけではなかったけど街の人々にいい影響がでたのは嬉しいことだなと感じました。コロナ禍ではありますが、今も夜はライトをつけっぱなしにして街を照らし続けています。

〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-16-19 1F
協力:アートワーク/ARIKA
   グリーンコーディネート/Green Bomb
施工:睦月建築工芸/太田大翔
撮影:森田大貴

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7.おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございます。
仕事が終わって戸締まりをする際、正面入口が明るいと女子社員の私としては安心して帰宅できるなと感じていました!
また昼間は働くオフィスに、夜はアートギャラリーやショップなどにも見えるのでこういったギャップは一社員としてとても気に入っています。
今回仕事場について記事にさせてもらって、実際に働いてみると室内はデザインに集中できて、外はたくさんの人と関われている気がします。このメリハリがあるからこそ丁度いい緊張感で働けているなと改めて感じました。
昨年からリモートワークへの切り替えで人とのコミュニケーションが取りにくくなってはいますが、様子を伺いつつメンバーは集まっています。
もし代々木に来た際は、ぜひ気軽に SUPER SUPER の仕事場をのぞきに来てください!

ちなみに、2021年4月14日発売されました、
商店建築 特別企画 NEW STANDARD OFFICEに SUPER SUPER のオフィスが紹介されています。ここにはない情報がたくさん載っているのでぜひ読んでほしいです!!宣伝です。(笑)

この記事を書いた人:ナカハラ


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