老人は時間がゆっくり過ぎる

人の世、若い頃は多忙。
何もかも、もの珍しく、
やることもいっぱい。
目標や夢や希望。

あれもしたい、これもしたい。
恋もしたい、結婚も子育ても。
学問も出世も、金儲けも。
旅行にも行きたい。
世界中を見て回りたい。

冒険も友情も、世の中を変えることも、
いいことをやりたい。
世のために役立つことも。

これでは多忙になるはず。
一日や一年はあっという間に過ぎる。

老人になると、
人生経験はだいたい終わる。
もはや、旅行も友人付き合いもいらない。
外食もしなくなる。

モノは欲しくない。
情報も最小でいい。
お金もいらない。
外に出ることがなくなる。
裏庭を散歩するくらい。

そこで、時間がゆっくり過ぎる。

老人にふさわしい日課として、
瞑想がある。
ただひたすら、内面とつきあう。

心身の深いところからのメッセージを感知。

若い頃は頭を使うことが大好き。
イノベーションや発明や発見。
新しい考えや概念。
人の頭は、情報処理が得意。
使えば使うほど、夢中になっていく。

例えば、囲碁や将棋。
頭脳の集中力を発揮できる。
強烈な快感がある。

老人は、頭脳をそのようなことに使わない。
頭脳はコントロールしないと、
勝手に動き始める。
楽しいことを追い求めて。

時間をゆったり、ゆっくり過ごすには、
まず、ものごとに熱中しないこと。

没頭して我を忘れることがいけない。
好きだから、楽しいからと、熱中すると、
時間が過ぎるのを忘れる。

それは、
頭が勝手に動いていること。

人が生きるのは、
頭脳の動きや好奇心だけではない。

むしろ、頭脳を使わない生活の方が大事。
感性や体感を使う方がずっと大事。

しかし、感性に溺れてはいけない。
例えば、性感に耽溺する。
賭け事やスピードに酔う。
これもいけない。

楽しくて、時間が過ぎるのを忘れてしまう。
これがいけない。

つづく

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