小匙の書室170 江戸川乱歩賞最終候補作
鮎川哲也賞、メフィスト賞、黒猫ミステリー賞、横溝正史ミステリー&ホラー大賞、このミステリーがすごい!大賞、新潮ミステリー大賞、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞、日本ミステリー文学大賞新人賞……などなど。
他にも短編に限ったものも含めれば、ミステリの賞っていうのはたくさんあるものです。
いやあ,毎回ワクワクさせられますよ。読書初めて五年の人間が何いってんだって話ですが、それでもやはり新たな可能性への期待というのは抱かざるを得ない。
今回の第70回江戸川乱歩賞だって、私は大いに楽しみにしていたのです。
なぜならば、最終選考委員の面子があまりにも豪華なのですから!!
綾辻行人
有栖川有栖
真保裕一
辻村深月
貫井徳郎
東野圭吾
湊かなえ
ほら、ね。
えっっっっぐぅぅ。
私だったらもう尻尾巻いて逃げるレベルのレジェンドですよ……。
さて記念すべき節目の今回。395編もの応募があり、うち6作が最終選考へ進みました。それがこちらです。
容疑者ピカソ/相羽廻緒
陽だまりのままでいて/雨地草太郎
ハゲタカの足跡/工藤悠生
許されざる拍手/津根由弦
遊廓島心中譚/東座莉一
フェイク・マッスル/日野瑛太郎
それではこれらの作品について、私の勝手な予想で塗り固められたコメントをしていきます(つきまして刊行される作品と内容が乖離している場合が十割なので、その辺はご容赦ください)。
◯容疑者ピカソ/相羽廻緒
ピカソって、あのピカソでよろしいのでしょうか。そうすると私が真っ先に思い浮かべるのは、やはりアートミステリです(ちなみに私はアートに通暁していません)。
ひとまず私はピカソについて調べてみたのですが、なんと驚くことに、無名時代の彼はルーブル美術館からモナリザを盗んだのではないか、という容疑をかけられていた(のちに冤罪と判明)のです。
その史実が何か絡んでくるのかな……?
◯陽だまりのままでいて/雨地草太郎
タイトルから連想したのは、温かさ。おそらくそれは『名探偵のままでいて』(小西マサテル 著)を浮かべたからでしょう。
しかしそれを抜きにしても、陽だまりというフレーズからはある種の繊細さを感じます。日常の謎、とか?
あるいは、誰かのことを指して「陽だまりのままでいてほしい」……すなわち幸せでいてほしい、とかであるならば社会派ミステリとか、色々と想像できそうです。
◯ハゲタカの足跡/工藤悠生
生物学ミステリだろう、というのはもしかしたら直球すぎる感想なのかもしれません。
私はこのタイトルを目にしたとき、「警察小説なのかな」と思いました。なんとなくですよ、なんとなく! 靴底をすり減らす刑事の姿が浮かんでしまったのです。
ただ、経済小説シリーズでもある『ハゲタカ』(真山仁 著)もあるので、これは正確なことを予測するのは難しいです。ハゲタカは果たして物語のキーになるのか、比喩なのか。
◯許されざる拍手/津根由弦
拍手といえば、おめでたい時の手っ取り早い祝福方法だと思います。
それが許されざる、とは?
もうこの時点ですごく気になりますよね。トリック云々よりも、ホワイダニットあるいはサスペンスの気配を感じ取れます(もちろん全く無関係である可能性は十割ですが)。
仮に本作が刊行されたら、表紙には不気味な両手が暗闇に浮かんでいそう……。
◯遊廓島心中譚/東座莉一
〇〇譚と付く作品と聞けばパノラマ島奇譚(江戸川乱歩 著)、江ノ島奇譚(高田崇史 著)を。そして心中と聞けば、曽根崎心中(近松門左衛門 著)を浮かべます。
でもどちらかといえば前者の色合いが濃い作品なのかもしれませんね。なんせ江戸川乱歩賞ですからね。
心中とあるからには、それが謎に絡んでいる確率は高め。ミステリ愛に溢れていそうだなあと思いました。
◯フェイク・マッスル/日野瑛太郎
最終候補6作のなかで、一番エンタテインメントに富んでいそうなタイトル。
偽物のマッスル……?
想像するのはボディビルです。が,果たしてどうなんでしょう。これで筋肉もりもりの刑事ないしは探偵が出てきたら、私は度肝を抜かれることでしょう。
あるいはマッスルというのは何かの暗喩だったり?
いやはやどんな想像も的を得ていない感覚になりますね。気になります。
さて、ざっくりと私の勝手なコメントと共に綴ってまいりました。
今回、ある意味で話題の江戸川乱歩賞。私はその点について触れませんが、より良い作品を生み出して勝負してやろうとする方々の熱意には敬意をはらう他ありません。
最終選考結果は、6/21に発表されます。
それまでが楽しみですね。
ちなみに余談ですが、100回目はどうなるんだろうって私は思います。どんな審査員が顔を並べるのでしょうね?
ここまでお読みくださりありがとうございました📚