小匙の書室81 鮎川哲也賞最終候補作
⇧まずはこちらの記事をご覧いただけたら、幸いです。
今度から自分の好きな賞は1次からみていこうと思い立って記事を書き始め、名前から気になる作品をピックアップし、コメントしてきたのですが──。
この度、216編のミステリ作品の中から、ついに最終候補となる4作が発表されました。
それがこちら!!
さて、ここから映えある受賞作が出るのかどうか。優秀作はどれになるのか。とても気になりますね。
早速、各作品について自由に想像しながらコメントしていきたいと思います。
佐渡翔さん『阿弥陀堂の殺人』
〇〇館、〇〇村、〇〇島/の殺人。
のように、事件の舞台となる場所がデデンとタイトルにあったら、いったいどんな謎が起きるのかと想像してしまうのは性と言えるのでしょう。
阿弥陀堂もそれにあたるのか確実なことは言えませんが、『堂』となれば『眼球堂の殺人』(周木律 著)が脳裏を過ぎるので、私としては阿弥陀堂で起きる謎なのかと考えざるを得ないわけです。
極楽浄土やなんかが絡んでくるのでしょうか。
う〜ん、気になりますね。
夜来風音さん『琥珀色の告白』
琥珀と告白、でちょっと韻を踏んでいるのが良いですよね。というのはさておいて。
琥珀といえば天然樹脂の化石であり、中に虫が入っていたりする場合がありますよね。そのイメージからこのタイトルを見ると、『長らく封じ込められていた告白』と意味付けられそうです(もちろんあくまで私の勝手な予測です)。とすると、時効とか……。
いやそんなのは全部勘違いで、生物学に関する謎かもしれませんし、化石とかが絡んでいたり、はたまた全く予想外のメタファーなのかもしれません!
すべては詳細が明らかになるまでわかりません。
山口未桜さん『禁忌の子』
禁忌、と聞いて舞台を自然と僻村に結び付けてしまうのは悪い癖なのかもしれません。忌み子、と混同してそうさせるのかもしれませんね。
いったいその子はどんな『禁忌』を内包しているのでしょう。
ミステリではあるものの、どこかオカルトな雰囲気も──その子が産まれてしまったから連続殺人が勃発したみたいな──感じられます。
このような要素は色んなミステリに見られるので、そこからどんな一歩を踏み出している作品なのか気になりますね。
綺馬優月さん『深刻な幽霊不足』
なんとなくコミカルな気配のあるタイトル。
過去、最終選考まで残った『君が幽霊になった時間』(後に『幽霊たちの不在証明』と改題し、このミス大賞優秀賞受賞)(朝永理人 著)を思い出しました。
不足しているのは、人間ではなく幽霊。
それも“深刻な”とは、なぜなのか。
登場人物が全員なんらかの事件/事故で命を落とし幽霊となり、しかし霊の数が生前と合わず、「じゃあ誰が生き延びているのか」みたいな逆フーダニット……なんて勝手な予想を立ててしまいます。
特殊設定なのかな? これは気になりますね。
鮎川哲也賞は『受賞作なし』が起き得る賞であり、それゆえに選出される作品は1次、2次問わずにハイレベルのレースだと個人的に思っています。
それだけのミステリを考えて、作り出せるその才能が、私はとても羨ましく思うのです。
なので最終選考に関わらず、1次の記事でピックアップした作品についても、いずれ目を通してみたいですね。
あるいは、別の賞レースで「おや、この著者名は」や「改題されているが、もしや以前は……?」といった出逢いがあるかもしれません。
どうか、全ての作品が日の目を見ることになりますように。
今後も、続報に注目してまいります。
ここまでお読みくださりありがとうございました📚