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【小説】ラヴァーズロック2世 #47「ドリアン」

あらすじ
憑依型アルバイト〈マイグ〉で問題を起こしてしまった少年ロック。
かれは、キンゼイ博士が校長を務めるスクールに転入することになるのだが、その条件として自立システムの常時解放を要求される。
転入初日、ロックは謎の美少女からエージェントになってほしいと依頼されるのだが……。

注意事項
※R-15「残酷描写有り」「暴力描写有り」「性描写有り」
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※連載中盤以降より有料とさせていただきますので、ご了承ください。


ドリアン


収穫の日がやって来た。フルーツたちに別れを告げなければならない時だ。

夜が明けたら、埃だらけのスクールバスがやって来る。

フルーツたちは、最初こそ少し悲しそうな顔をするが、タンポポ色のスクールバスに乗れる楽しさを抑えきれずにはしゃぎ始めるだろう。

前日の夜、皆が寝静まったあと、カントクはひとり書斎で仕事をしていた。

明日の出荷のために必要な書類がまだできていないのに、眠気が襲ってくる。

最近は細かい文字を眺めていると、昼の疲れも手伝って、ついウトウトとしてしまうのだ。

夢と現実が二重螺旋を描き、眠りの奥に落ち込んでいくこの感覚。フッと意識がなくなると同時に、妙な覚醒がやって来て、自分がどこにいるのか、今が朝なのか夜なのか、わからなくなってしまう。

かれの頭、意識している頭の位置に実際の頭はなく、それ以外のいたるところ、琥珀色のバンカーズ・ランプがほんのりと浮かび上がらせる薄暗い書斎のあれやこれやのうちに、まんべんなく存在していた。

問いかけは、自分自身よりも外側、部屋の外から発せられているようだ。恐れを感じない、慣れ親しんだ気配。

「いいから、入ってきなさい」

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