No.012 すべて真夜中の恋人たち 川上未映子 著
どうでもいいですけど、都会の本屋で帯に釣られて買った本です。都会、ってとこが大事なんですよ、ご察しください(笑)
「真夜中は、なぜこんなにも綺麗なんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった────。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。
(出典 講談社文庫 あらすじ)
〇美しい言葉たち
新宿の紀伊国屋書店で平置きされていたこの本の帯を見て、衝動買いしました。
ちなみにその帯に書かれていた文章はこれです。
いま、わたしは三束さんにさわれているんですか。それも、光と似ていますね、と三束さんはわたしに指さきをにぎられたまま言った。ふれるというのは、むずかしい状態です。ふれているということは、これ以上は近づくことができない距離を同時に示していることにもなるから。
頭をがつんと殴られたような気がしました。
触れる、ということをここまで深く考えたことがなかったので、余計に。
ですが納得はできますが、私にはイマイチぴんと来ない感情です。
触れていても、それでも不安ということなのでしょうか。
いろいろ考えましたけど、腑には落ちなかったので何か案のある方、教えてくださると嬉しいです。
一応私は、触れるという行為に少なからず幸福を感じているけれど、これが限界だと思ってしまうと触れているその人と離れているように感じてしまって、不安な気持ちになる、ということなのだと勝手に解釈してます。
本編は改行が極端に少なく、ひらがなと読点がすごく多いです。
一文がかなり長くて、正直言うと読みづらいですが、世界観と主人公の性格にすごく合っていたので、読むうちに思ったよりは気にならなくなりました。
主人公の陰鬱とした思考が伝わってきて、そこも少し息苦しかったです。
すべて真夜中の恋人たち、というタイトルは、本当に美しい言葉だと思いますし、ラストでこのタイトルが鬱々としていた主人公の光になったような気がしました。
恋愛小説ということでしたが、恋愛という観点では軟弱な若造の私にはあまり響かなかったので、十年くらい経ったら読み返そうかなと思ってます。