【原神考察】 草神・花神・キングデシェレトについて整理する
草神=マハールッカデヴァータ、クラクサナリデビ、ブエル
花神=ナブ・マリカッタ、花の女主人、オアシスの女主人、花の魔神
キングデシェレト=スカーレットキング、赤砂の王、アフマル、アモン
花神が天空より追放され、砂漠を彷徨う。
花の女主人は天空に見放された。
美しく高貴な体はボロボロになり、血族の者たちは罰を受けて正気を失った…
花の女主人は荒れ果てた大地で七十二もの夜を流浪したと言われている…
生の花:月娘の華彩
花神の眷属であるジンニーが生まれる。
睡蓮=ジンニーの母=リルパァールとフェリギス
踵は無情な砂利にこすられ、その傷口から清浄な泉が流れ出し、尽きぬせせらぎへと変わった。
そして、その水の恵みによって緑の園圃が生まれ、夜のように青い睡蓮がその中から生まれた…
睡蓮はジンニーの母であり、ジンニーは溺れさせるような眠りと、失った苦しみの記憶から生まれた。
生の花:月娘の華彩
ジンニーは創造主である花神がこの地に留まることを願い、花神はジンニーの願いを聞き入れた。
創造の恩に感謝するため、幼いジンニーたちは女主人の腕を取り、彼女に野菊の花冠を授けた――
「花の主様、園圃の主様。ここに留まってくださいませ。私たちを見捨てないで!」
「そうですわ、そうですわ。眠りの母、酒と忘却の貴婦人。どうかこの園圃の女王におなりください。」
とうとう、優しいジンニーたちの引き留めには勝てず…流浪の神はこの花満開の園圃に留まることになった。
彼女が留まったところには、月夜のように美しい紫色の花が咲いた――その名も「パティサラ」である。
生の花:月娘の華彩
アフマル、花神、草神が同盟を結ぶ。
(親友、伴侶神、『永遠のオアシス』の3つの椅子)
・下記にて捧げられた宝石の色よりアフマルは炎、草神は草、花神は雷元素の可能性がある
・パイモンも『永遠のオアシス』に通じる3本の通路について「一つ目のトンネルでは赤い結晶、このトンネルでは紫色の大きな花…」と発言している
ジンニーだけが歌う過去、オアシスの女主人は赤砂の王と出会った。
諸王が殺し合う残酷な歳月の中、キングデシェレトは他の二人と王権を共有することを決めた。
ジンニーたちはエメラルドとルビーが嵌められた孔雀の玉座を捧げ、友情篤い三人が契約を結んだことを祝った。
永遠のオアシスの楽園のため、咲き誇るパティサラのため、花の女主人はアメジストの王冠を戴いた。
理の冠:紫晶の花冠
楽しい宴会は花と月夜の女主人に、権威は砂漠の王に、命は草木の養育者にそれぞれ属していた。
白銀のような月と黄金の太陽、そして翡翠のオアシス――三柱の神王は同盟を結び、親友になるという誓いを立てた。
甘露の終宴
花神は自らの過去をアフマルに話した。
彼女はかつて天空の使者の一族であった。
「なぜ常にため息を吐いているのかと聞いてくれたわね。今夜は明るい月夜だし、昔のことでもゆっくり教えてあげる…」
「それはかつての、平和だった遥か昔の時代。多くの使者は凡人と交流し、天空からの言葉を伝えていた…」
「けれどその後、侵入者は天空の外から来て、数えきれないほど多くを破壊した。川も海もひっくり返って、疫病が横行して…」
「外から来た者たちは私の血族に戦争をもたらし、大地の枷をも破る妄想(=禁忌の知識?)をもたらした…」
「天の主は妄想と突破を恐れ、大地を補う天の釘を落とし、凡人の国を滅ぼした…」
「私たちもそれぞれ追放という災いを身に受け、天空との連絡は途絶え、教化する力を失ってしまった…」
「私は災難に遭ってここに来たのよ。二度と天空を振り返って望むことはできない過酷な呪いをかけられて久しいけれど、そのおかげで、この姿のまま生きてこられた…」
「でも、故郷はいつまでも私を呼んでいるの。たとえ星空と深淵の災難が水晶に浮かび上がったとしても。」
「私の警告を肝に銘じて。四つの影の持ち主を追ってはならない。天空と深淵の秘密を覗いてはならない。」
「さもなければ、断罪の釘が示したように、次々と災難や苦痛がやってくる結末が訪れるだけ。」
理の冠:紫晶の花冠
花神の過去を聞いたアフマルは、誰にも話したことのない野望を彼女に打ち明ける。ただしその野望は花神の予想通りであり、計算の内だった。
ジンニーだけが沈黙する過去、赤砂は花に自分の野望を打ち明けた…
月明かりはザクロの盃に清らかな影を落とす。花の女王はようやく親友に口説き落とされた。
あの夜、キングデシェレトが言ったことは誰一人知らない。最も古いジンニーでさえ、口を噤んだ。
あの夜、キングデシェレトが露わにした欲求は誰一人覚えていない。最も知恵ある神でさえ、震え慄いたのだ。
しかし、花の主はその中の深意を知った――彼女の予想通り、そして彼女の計算通り。
砂海とオアシスの中で最も強く、最も高潔な王は、最も反逆的な狂想を抱いていた。
空の杯:守秘の魔瓶
花が咲く目的は輝かしい死であり、花の主は端から死と結末を求めているのだと言われている——死は失った喜びに苦い味を加え、果てしない記憶をより鮮烈に残した。
黄砂の無知の王が彼女の理屈を理解したことはなく、彼のものはただひたすらに、その無限の魅力と優しさに魅了されていた——執着の追憶は道を踏み外してしまったが、それすらも花の女王の計算通りである。
アフマルの野望を聞いた花神は愚行と思いつつも、天理の恩恵に頼らない彼の野望は世界を変える可能性があると考えた。
彼の語る野望には虚言(=嘘)もあるが凡人の未来と希望も内包されていた。
キングデシェレトの言葉と夢を通じて、彼女(=花神)は世界のおかしな規則を超越する可能性を見据えた。
神の座が授けた恩恵を辞し、赤冠の君主は己の意志で新しい通路を切り開いた…
ー中略ー
花の女王は友人の愚行を黙認した。尊き反逆の炎が神の野望の中で燃えていると彼女は気づいた。
幾千万の凡人の知恵を一つに束ねる理念、そして幾千万の夢と権力を一つに束ねる偉大な試み。
隠されているのは虚言だけではない。それは凡人の未来であり、星々のような希望であった…
死の羽:落謝の宴席
アフマルの野望は以下と思われる。
幾千もの思いを紡ぎ、幾千もの魂を統制する。これがいわゆる「権威の道」である。
しかし、権威の道とは冷酷な暴政ではない。その目的はまさに、最も深層なるところ——誰も苦しまない、迫害がなく、奴隷を必要としない、真の楽土を作ること。
花神はその野望がどれほど危険か警告したが、アフマルは諦めなかった。
たとえ彼女が示した未来の風景が、恐ろしく惨憺なものであっても、執着の君主は一歩も退かなかった。
危険な旅に出ると分かっていても、愛する人が消えるときを目の当たりにすると分かっていても…
死の羽:落謝の宴席
花神は、自らとオアシスを犠牲にしてアフマルを導くことを決めた。
オアシスの女主人は最後の決断をした。
彼女は、やっと気づいたのだ。自分の運命は謎ではなく、秘密の扉を開く鍵であることに。
死の羽:落謝の宴席
「あなたのために秘密を守りましょう。あなたには知恵の主と同じくらい、深い気持ちを抱いているから。」
「あなたのために橋を架けましょう。その狂想は満たされるだろうけど、青い水晶の釘を恐れないで…」
「幽邃なる知識を導きましょう。たとえあなたがこれから多くを失うと警告しなければならないとしても…」
「それでも、私の教えを肝に銘じておいて。天から舞い降りた使者たち(=花神の血族)がかつて残酷な罰を受けたことを忘れないで…」
「覚えていて。この世の万物に希望があるとしたら、その希望はきっと平凡な人々の身の上にある。」
暗闇の中、彼女は親友を天空と深淵のすべての知識に通じる秘密通路へと導いた。
自身を橋にして、オアシスを代償にして、彼の狂想を叶えるために眩しい烈日の光の中へと消えていく…
一柱の魔神をなくした楽園には嵐が巻き起こり、黄砂が空を舞い、やがてそれは災いに飲み込まれた…
キングデシェレトは空をも遮る砂嵐から帰還したが、花の女主人は姿を消した。
空の杯:守秘の魔瓶
花神を通して手に入れた禁忌の知識を浄化するため、天空からは釘が落とされた。
アフマルは花神復活のためにジンニーと契約し、ジンニーと天の釘の力で『永遠のオアシス』を作る。
その過程で砂漠には人が住める環境が点在するようになった。
花の女王が亡くなった時、その眷属であったジンニーたちはキングデシェレトに忠誠を誓ったと言われている。
キングデシェレトは往日の楽園を探し求めるため、天の釘が落ちた処に永遠のオアシスを創った…
そして、「フェリギス」という名の大ジンニーは、赤砂の主にオアシスの長として抜擢される。
女主人が永き眠りについた霊廟を守るため、彼女はジンニーの力で泉の水が尽きぬよう維持し続けた。
そうして砂漠には緑が散在することとなり、家を失った流浪の民に青々と茂る庇護を提供したのであった…
その後、リルパァールというジンニーの導きの下、凡人の王国が「永遠のオアシス」の周りに建国されていった。
迷酔の長夢の守護
『永遠のオアシス』はその名の通り、時が止まった楽園である。
ジンニーだけが嘆く過去、赤砂の主は愛する相手のために霊廟を建てた。
砂の底に埋もれた晶石(=天の釘)を源に、ジンニーの力を頼りに、時さえも留まってくれるオアシスを作った。
時の砂:凝結の刹那
リルパァールの姉であり、リルパァールと同じくジンニーの母であるフェリギスは自らを犠牲に『永遠のオアシス』とそれを取り巻く国々を守ると決めた。
花の女主人への忠誠と、新たに生まれた国への憐れみを胸に、フェリギスは犠牲になることを決心した。
赤砂の王が引き留めようとする声も顧みず、大ジンニーはその美しい体を冷たい作り物の枷に閉じ込めると、
水晶でできた盃のような封印で砂海の憤怒を封じ込め、不動の姿で凡人の国を守った…
迷酔の長夢の守護
花神死亡後、草神はアフマルと袂を分かつ。
花園の女主人が亡くなった後、草木の女王は砂海と決別した。
そして、狂愛と権威を捨てた彼女は雨林に戻り、生命の道を守ることを選んだ…
空の杯:喜楽無限の宴
かつて、三人の仲間がいた。その仲間たちは、アランジ、アランマハ、アランヤマのグループと同じくらいに仲が良かった。
しかし、仲間の一人(=花神)が大地に戻ってしまい、他の二人もそれを理由に仲間割れしてしまったのだ。
そのうち一人(=アフマル)は、地上に理想的な国を築き、すべての悲しみを消し去ろうと決意した。
もう一人(=草神)は草木と緑を増やして、この地を知恵と幸せに満ちたものにしようと決めた。
禁忌の知識が砂漠に氾濫、魔麟病が発現する。
キングデシェレトがこの世にもたらした「禁忌の知識」は疫病のように広がった。
狂気なるうわ言が心を満たし、灰黒色の鱗が背中を覆った。
草神マハールカデヴァータは禁忌の知識を根絶するために力を使い果たし幼い姿になる。
(輪廻ではないためマハールッカデヴァータとしての存在は維持しているものの、それまでの記憶や経験は代償にしていると思われる。王権を共有するほど仲が良かったはずなのに、草神から花神やアフマルへの言及がほとんどないのはこのため?)
森のマハールッカデヴァータの助けがなければ、取り返しがつかなかっただろう。彼女は祭司を召集し、いくつもの神殿を建て生命の神力を注いだ。
ー中略ー
あのとき禁忌の知識を根絶するため力を使った彼女は幼子のような姿となった。
アフマルは残された親友である草神のため、自らを犠牲に禁忌の知識を根絶しようとする。
そして最後、砂漠の孤高なる…我らの王は…自己犠牲を選んだ。
ただ、我が誤って飲んだ毒だけは、この世に残してはならない。旧友の仲である彼女を想って――――我のため、でなくともいい。我らの親友のため、最後に一つだけ…
以降ナヒーダ伝説任務 第二幕 まとめ
七王でありでかつてスメールを治めていた草龍アペプは、禁忌の知識こそが天理に対抗する唯一の手段であると信じていた。
自分の領地で天からの力を使って勝手に治世を始めた忌々しい存在であるはずのアフマルの行動を黙認する代わりに、彼の死後は彼が得た禁忌の知識をもらうという約束をしていた。
しかし禁忌の知識は凶悪さアペプの予想を遥かに上回るものだった。アペプは体内に居た元素生物すらも吐き出すほど弱ってしまった。
アフマルと花神は姿を消し、マハールッカデヴァータは魔神戦争を勝ち抜いた。俗世の七執政、草神の座に着き天理との通信手段である神の心を獲得する。
〇アフマルの野望とはなんだったのか
花神に「世界のおかしな規則を超越する可能性」を見出させたアフマルの野望とは何だったのか。赤砂の杖のテキストを見ていく。
赤砂の杖は後半の内容よりアフマルの独白と思われる。
これで完璧に辿りつく。我は見たのだ、三人が再び楽園で議論する景色を。もう、すぐそこにある。
しかし前半の内容は独白者による創世の話である。
アフマルは数ある魔神の内の一柱、という印象があるためそんな大仰なことが出来るのかと疑問は残るが、赤砂の杖テキスト後半はアフマルでほぼ間違いないため、前半もアフマルの独白であると仮定する。
まずは陽と月を創った。そして、白昼と闇夜ができた。かつて我が忘れた言葉により、彼女は三つの明月(=満月)が昇る夜空を語った。ならば、その月の数も三であろう。
世界の影が目覚める時、彼女たちは大地に微かな真珠の光(=月光?)が差し込むことを願った。そうすれば、人々は夜でも砂丘の銀の輪郭を辿り、宿命の終点を見つけられるからだ。
彼には太陽や月を創る力があった。ならばアフマルは一介の魔神よりも高位の存在だったのかもしれない。
また、下記の文章からは
→もともとあった3つの満月が何かしらの事情で無くなる
→花神がその情景をアフマルが忘れてしまった言葉で語る
→アフマルがその話に倣って再び3つの月を作る
のように読み取れる。
原神内に度々出てくる『真珠』は月を示す可能性がある。
前述のとおり花神は月より追放されたかつての天空の使者である。
アフマルが忘れた言葉を花神が使っているのはなぜか。
アフマルも花神と同じく月、もしくは天理に謂くがある存在なのかもしれない。
赤砂の杖テキストは以下のように続く。
そして、重さを創る。これで砂が沈み、大地となる。重みのないものは空となった。我は決めた――大地に頼りながら、空を夢見ることを。
重さは大きすぎないほうがいい。さもなくば、土地は人の両足を縛るものとなる。人は遠くへ行けず、四方を開拓することもできない。人は飛べず、未来を探求できなくなる。
そして七賢僧を設け、彼らに大地と水、星々が描く軌道を管理してもらおう。たとえ天球がただの幻の造り物だとしても、星月を眺めれば常に神話が誕生する。
太陽と月に続いて重力を創り、七賢僧を設けた。
七賢僧は七王とも七神とも異なると思われる。
七王の成立はこれより早く、七神こと俗世の七執政の成立はアフマル死亡後だからだ。
テイワットの星空が全て欺瞞であることにも言及している。
残りの内容は以下となる。
元の世界の柵は壊され、闇色の毒が大地に滲みこんだ。あの脆弱で、哀れで、不完全な世界を癒すために、鋭い釘が落ち、大地を貫いた。
だが、我が定めた規律はより優美で緻密、ゆえに必要もない。彼女の付き従ったものが、そのために死んではならない。詩文がこれにより失われてはならないのだ。
毒薬(=禁忌の知識)の出処である獣道を隔てるべきだろう。毒を飲むのは空よりも深い罪。しかし、囁きはあまりにも甘美なもの。そこで語られる知恵も、いかに鮮明なものか…
新しい世界で風が密かに吹き始めた。真珠色の月光、琥珀色の残光、草の波と水の根が徐々に沈黙を破り、彼女が残した詩文を吟唱する。
……
七つの輪転を排除しよう――深き秘めごとが絶たれぬように。
恐怖と哀傷を排除しよう――そのためには生死の隔たりを消すことが必要だ。
陽と月と重さを排除しよう――時空に隔たりがあってはならない。
規定、裁決、恩を施すような原始の理を排除しよう――さすれば同族の受ける懲罰に、彼女が怯えることもなくなるだろう。
鳥と獣、魚、竜、人、そして七の僧王を排除しよう――さすれば誰も知恵を盗むことはできない。
……
「隠れた夢の中で王はただ独り、静かに眠り、新たな定理を描く。」
「王の夢で塩水を一滴も飲む(=涙を流す)必要はない。新世界において、すべては善である。」
現行の釘を落とす世界の運営方法よりも、自身が定めた規律の方が優れていると思っている。
テキストの前半で己が作ったはずの陽と月と重さを含めたあらゆるものを排除しようとしていることから考え方が変わったのが分かる。
しかしアフマルの望みは花神を失う前から変わらず「誰も悲しまない世界」であるようだ。
アフマルの思考がここまで過激なものになったのは「理想の統治が切なき悲願によって捻じ曲げられた」からのようである。
羽で心臓の重さを量り、熔鉄で精神の重さを量る――それは無私の理性による支配であった。
神王の裁きに従って、血に根ざした法律が砂漠の楽土に刻まれたのである。
しかし、統治の理想は切なき悲願によってねじ曲げられた。官も悪人を助け、悪事を働く者になった。
そうして流砂に沈んでゆく宮殿の基礎を顧みることなく、狂気に満ちた光なき未来に向かって突き進んでいった。
「すべての裏切りに、容赦なく裁断を下すべきだ。」
「その結論は――完全なる殲滅だ。」
その後、規則は浮かび上がる蜃気楼のような傲慢によって腐敗し、桎梏と化してしまった。
神王の選択によって、臣民の運命は鎖のような不幸に拘束されたのであった。
死の羽:裁断の羽根
〇『諸神の神』と『諸王の王』
花神→アフマルへの言葉
「あなたは風を捕まえたいだけ。魔神たちの墓碑の上で、人は諸神の神となる。」
「憂いなき夢郷の妄想は必ず破滅する。虚言が破れる廃墟の上で、人は諸王の王となる。」
死の羽:落謝の宴席
神王の宴の時を分かち合った祭司と民は、あの夢のように美しくて短い時間のことを覚えていた。
しかし、夢はついに理性によって捕らえられ、生命なき機械たちの中に投げ込まれた挙句、挽き潰されてしまった。
そして機械の中から、また漆黒の夢魘の中から、新たな智性が誕生した…
「幾千の考えを一つに、幾千の計算を一つに。」
「こうして、人は諸王の王となり、諸神の神となる。」
孤独な諸王の王のために、挽歌が奏でられた。
しかし、金色に輝く砂はすでに、その敗亡の運命を知っていたのだ。
空の杯:甘露の終宴
禁忌の知識への接続の条件は『月を太陽に食わせること』?
暗闇の中、彼女は親友を天空と深淵のすべての知識に通じる秘密通路へと導いた。
自身を橋にして、オアシスを代償にして、彼の狂想を叶えるために眩しい烈日の光の中へと消えていく…
空の杯:守秘の魔瓶
たとえ彼女が示した未来の風景が、恐ろしく惨憺なものであっても、執着の君主は一歩も退かなかった。
危険な旅に出ると分かっていても、愛する人が消えるときを目の当たりにすると分かっていても…
死の羽:落謝の宴席
〇花神は『永遠』を好まない
花神は花のような生き方を尊んでいた。
「我が王よ…なぜ砂丘の流れを止めるよう命じたの?なぜ流れる風に、止むようにと呼びかけたの?」
「この時計のように砂晶が固まってしまえば、存在する意味もなくなるでしょう?」
「『永遠』は楽園などではないわ…むしろ分解も再生もできない、取れない汚れ。」
「花のように咲いて、花のように消滅する。そうして『死』の悩みを持たぬまま、花の季節によみがえる。」
あの時三人の仲間たちが交わした他愛もない会話は、千百年後の砂漠にも風と共に漂っている…
時の砂:凝結の刹那
夢想が枯れ、夢境が崩れ落ちるあの夜はいつかやってくる――これこそが花の咲く真意だ。
死の羽:落謝の宴席