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ハラキリ、そしてちょい不思議

 結婚して長く子に恵まれなかった。

 そんな折、姉が不慮の事故で亡くなった。
その後、命の補填は命で…という気持ちが自然に湧き出てきて、不妊治療に踏み切った。
 
 不妊治療は、多摩地区から都心の会社への通勤をしながらであったが、
ことのほか体を酷使した。
 注射の排卵誘発剤の効きすぎ(卵巣過剰刺激症候群)で、卵巣が腫れた。後で考えれば、その腫れ方はまともではなかったと思う。制服のスカートのファスナーを全開にしなければならないほど、お腹全体が腫れあがっていたのだから。

 ある日の早朝、お腹の激痛に襲われ、救急病院に行き、そのまま入院した。妊娠の可能性もある、ということで、様子を見ることに。6時間おきに痛み止めの点滴をしてもらい、2日耐えたが、その後、腹水が血で真っ赤に染まった。

 卵巣茎捻転で緊急開腹手術。右卵巣摘出。
卵巣茎捻転とは、卵巣がつながっている管が、何かの原因でねじれること。
切れることもあり、大出血を起こすことがある。
 最終的には開けて見ないとわからないからと、おへそから恥骨までバッサリ切られ、ホチキス留めになっていた。
 
 私は、体の辛さが手術でなくなり、気分はすっきりしていた。
ただ、ますます妊娠しにくくなったなあと思った。
 以上、九死に一生を得たかなというお話。

 ここからが、ちょい不思議なお話。
 手術から後、それまで年に1~2回しかなかった生理が、ほぼ毎月のようにやってくるようになったのだ。
 卵巣が一つの人は生理が隔月に起こる場合もあると聞いたが、私は残った一つの卵巣が「さあ、働くわよ~」とばかりに。

 そして、半年後、自然妊娠し、9か月後、無事に出産した。
(その子のお話は、ちょこちょこ書いているので、読んでいだければ本望)
 
  さてはて、ハラキリ前は、排卵がほとんどなかったのに、卵巣が一つになってからは、残った卵巣が正常に働いたことになる。

 二つある体の器官、たとえば目とか耳、腎臓などは、一つが悪くなるともう一つも悪くなるような話をよく耳にするが、卵巣もそうなのか?   悪かった右にひきずられた左も機能していなかった、でも、右がなくなったので、左のフットワークが良くなったのか…などと思ったり、ホルモンが卵巣一つ分しか出ない体質なのかなどと思った。

 その後、左卵巣はずっと頑張り、やがて正常に閉経に至った。

 これってどういうことなのだろう。

 宗教的な考え方から言えば、神のなせるわざ、スピリチュアル的な考え方をする人は、運命が…星が…人の幸せというものは…など、感情主眼のふわっとやさしい答えを求めたがるかも。
 最近は「やさしさ」「いやし」のなにがしが、流行っているような気もするし。

 でも私は、どちらかというと、科学的な解明が好き。体があ~なったから、こ~なって…という仕組みを知りたいと願ってしまう。
科学者・研究者ではないので、調べて調べて…という追及をするつもりはないが、謎を意識下に持って生きていく。

 そして、いつの日か「答え」に出会う日を楽しみにしているのであ~る。
 



 
 





 
 

 

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