北陸の住宅建設は今後伸びていくのか? 令和5年度住宅着工件数の動向(令和5年6月)
令和5年度の北陸三県の住宅着工件数につき、国土交通省建築統計調査報告の数値を毎月取りまとめします。6月の数字が公表されましたのでご報告します。
建築着工統計調査は、建築基準法第15条第1項の規定により届出が義務づけられている建築物を対象とする統計調査で、毎月調査結果を公表しています。調査から得られる全国の建築物の動態は、国や地方公共団体の施策の基礎資料となるばかりでなく、民間でも業界団体、金融機関、各種研究機関等で動態分析などに広く利用されています。
国土交通省 建築着工統計調査報告 時系列一覧
(【住宅】 都道府県別着工戸数 がわかりやすいです。)
用語解説
持家
「建築主が自分で居住する目的で建築するもの」と定義されています。 いわゆる注文住宅のことです。
貸家
「建築主が賃貸する目的で建築するもの」と定義されています。 つまりアパート等を含めた賃貸住宅のことです。
給与(住宅)
企業が建てる社宅や、官公庁が建てる官舎などのことです。
分譲(住宅)
「建て売り又は分譲の目的で建築するもの」と定義されています。いわゆる建売住宅や分譲マンションのことです。
表の見方
「戸数」は各項目の着工件数です。
「対前年同月比」は各項目の前年比です(例えば〇%増又は〇%減)。
但し、「合計」欄は前年度同月までの累計と比較した、増減戸数で表記しています。「コロナ前比較」は、平成31年度(令和元年度)同月まで累計と比較した、増減戸数で表記しています。
国土交通省が一旦統計結果を発表後に、当該統計数値を修正することがあるようです。そのため期間経過後、数値に若干の誤差が生じる場合がございますのでご了承ください。
過去の住宅着工件数の実績及び分析
これまでの分析については過去の記事をご参照ください。
参考記事:北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?令和5年度住宅着工件数の動向(令和5年5月)
北陸の住宅建設は今後伸びていくのか?令和5年度住宅着工件数の動向(令和5年4月)
参考記事:令和4年度完全版!建設業必見、北陸三県の住宅着工件数集計(令和5年3月まで)
富山県の住宅着工件数
単月
昨年同月と比較し、約29%増と大きく増加しています。
昨年同月と比べ賃貸住宅が約24%増となっていることもありますが、最大の要因は昨年同月は0だった分譲マンションの着工が116戸あったことですね。
累月
昨年累月と比較して、トータル約1%増と微増です。6月で盛り返した格好ですが、注文住宅が昨対累月で約11%減となっているところは少し気になります。
石川県の住宅着工件数
単月
昨年同月と比べ、トータル約8%増となっています。
賃貸住宅の着工が昨年やや少なかったこともあり、昨対約67%増と大きく増えています。
累月
トータルは、累月で約9%の減少となっています。
引き続き分譲マンションが今年度まだ着工0戸であることが、最大の要因です。賃貸住宅は6月で増加に転じ、項目別では唯一の増加です。
福井県の住宅着工件数
単月
昨年同月と比べ、約19%の減となっています。
単月で見ると、賃貸住宅が昨年対比約60%の減となっています。ただ分譲マンションの着工52戸が、令和4年1月以来17か月ぶりにありました。
累月
昨年累月と比較すると、約3%の微減です。
賃貸住宅は昨年累月比約10%減と減少に転じましたが、分譲住宅は増加となっています。
全国の住宅着工件数
単月
昨年同月と比較し、約5%減となりました。分譲マンションの件数は先月に引き続き伸びています。一般住宅は注文住宅も建売住宅も昨年比でみると減少が続いている状況です。
累月
累月比で約5%の減となっています。注文住宅が累月比で約12%減となっていますが、賃貸住宅は約2%増となっています。
まとめ
全国的には明らかに一般住宅は減少、賃貸住宅は増加の流れとなっており、富山・石川・福井の3件についても、程度の違いはありますがそれに近い傾向にあります。6月は今年度初めて富山と福井で分譲マンションの着工がありましたので今後の動きに期待するとともに、事故なく無事に工事が進むことを願っています。
それでは、今後も北陸3県の着工動向を中心に報告していきますね。