【民法改正に伴う、賃金債権の時効延長が決定されました】(令和2年3月27日)
民法改正による、賃金債権等の時効延長が、令和2年3月27日の参議院本会議で正式に決定されました。またこれに伴い、現在3年間の保存義務のある賃金その他労働関係に関する重要な書類の保存期間についても、5年間に延長されました。
賃金債権の時効については、当面の間、3年間とされています。
改正労働基準法
労働基準法の一部を改正する法律案(閣法第一一号)(衆議院送付)要旨 本法律案は、民法の一部を改正する法律の施行に伴い、使用人の給料に係る短期消滅時効が廃止されること等を踏まえ、労働者保護の観点から、賃金請求権の消滅時効期間等を延長するとともに、当分の間の経過措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類の保存期間について、五年間に延長する。
二 付加金の請求を行うことができる期間について、違反があった時から五年に延長する。
三 賃金(退職手当を除く。以下同じ。)の請求権の消滅時効期間を五年間に延長するとともに、消滅時効の起算点について、請求権を行使することができる時であることを明確化する。
四 一から三までによる改正後の規定の適用について、労働者名簿等の保存期間、付加金の請求を行うことができる期間及び賃金の請求権の消滅時効期間は、当分の間、三年間とする。
五 この法律は、民法の一部を改正する法律の施行の日(令和二年四月一日)から施行する。
六 この法律の施行前に労働基準法第百十四条に規定する違反があった場合の付加金の請求期間及び賃金の支払期日が到来した場合の当該賃金の請求権の消滅時効の期間については、なお従前の例による。
七 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
考えられる影響
未払い残業代等の請求が2年から当面、3年となります。また付加金についても同様に3年となります。
未払い残業代等を請求された場合、従来の1.5倍の額となりますので、残業時間や賃金計算を今のうちに見直し・点検を行われておくことをおすすめします。
書類等の保存期間は、当面、現行の3年となりますが、今後、5年とされた場合に備えて、クラウド勤怠システムなどを導入されることをお勧めします。