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Access Virus TI2が完全に再現されたOSTIRUSについて


Virus シリーズが完全に生産中止に

Access の Virusシリーズが完全に生産中止になったとのニュースが今年の4月に駆け巡りました。

国内外問わず様々なアーティストのツアーセットに組まれたり、今現在も定価での中古での販売がされたり、Woldorfが最新の類似シンセを出していながらも「Virusでなければ出せない音がある」と根強い人気を誇る「Access Virus」シリーズ。
ですが、最近では創始者がアンプモデリングの「KEMPER」に注力しているとの噂通り、ついに最新のmacOSどころかWin11に対応したソフトウェアを出すことも、Virus TI3を出すことも、VirusのDSP化(UAなどのDSP対応)もせずにひっそりとディスコンに。

そのニュース自体は実は知っていました。
また、その裏側で「DSP56300」のチップを使ったハードVAシンセのエミュレータ開発が有志によって行われていたことも知っています。
特にVirus A/B/Cのエミュレータはかなりハードウェアリソースを食いながらも全く同じ(ビット単位で同じらしい)音を出せるプラグインが出ていました。

そして、2024年前半では
現行で販売されているVirus TIのエミュレータはオープンベータとして出てきていませんでした。
※コミュニティ内では、クローズドβとしては頒布されていたようです。

DSP56300のコミュニティでは様々なVAシンセがエミュレーションされている

【重要】先に伝えておくと

Virus TIのエミュレータはVirus TI実機ユーザしか合法に使用できません。
大事なことなのでもう一度言います。

「Virus TIのエミュレータはVirus TI実機ユーザしか合法に使用できません」

というのも、DSP56300のコミュニティが作っているのは飽くまで、DSP56300チップを使ったハードシンセのフレームワークで、そこにROMデータを流し込むことで初めて使用可能になるスタイルだからです。

そして、Virus TIの利用規約には、ROM及びソフトウェア、そしてハードウェアの利用権利は「実機を持っている」ことが条件となっているらしく、
ROMを吸い出してエミュレータに流し込むことが合法になるのは
Virus TIオーナーだけに限られるのです。
なお、そのアップデータをダウンロードするには
Virus のサイトに登録してからになるため、ハードウェアTIのシリアルが必要になります。

実際音源を聴いて、「これはVirusの音だ、そしてこいつはVirus持ってないはず。じゃあ違法にエミュレータを使った!」と通報することはほぼ不可能ですし、更にそれを著作者である「Access Music」が通報するということは2重どころかかなりの条件が必要になるため、問題になることはないでしょう。ですが、違法は違法だし、モラルの問題でもあります。

またVirus TIのオーナーたちはそのモラルのもと、
ROMをインターネットに公開しているケースはあまりありません。
※ただし、ネットの奥深くにはVirus TIのROMが公開されているとのこと。
オーナー以外が探すこと、及び使用の推奨は一切しません。
※オーナーは、オーナーであればすぐにDLできるのでそんなことしないと思いますが。


インストール方法

Legal(合法的)にVirus TIを所持しており、かつVirusの公式Webサイトにユーザー登録しているのであれば、上記のVirus TIのエミュレータを使うことはめちゃくちゃ簡単です。

Macの場合

  1. Virusの公式サイト(https://virus.info)にアクセス

  2. Virus TIの公式OSアップデータをダウンロード

  3. ダウンロードした.pkgをunpkgなどのアプリで分解

  4. 中にある「firmware.bin」を取り出す。
    ※これは素直にアップデータをインストールした際にもmacOSに取り込まれます。インストールした場合はどこに取り込まれるかはわからないですが、おそらくuser/Library/Access Musicあたりか、Applications/Access Musicに取り込まれてそう

  5. DSP56300 Emurationのサイトに行き、DOWNLOADSからOSTIRUSをダウンロード

  6. インストールしたVST/AUと同じ階層にfirmware.binを置く

  7. ターミナルで下記コマンドを入力、
    sudo xattr -cr /Library/Audio/Plug-Ins/Components/OsTIrus.component
    ※FX版もインストールした場合は
    sudo xattr -cr /Library/Audio/Plug-Ins/Components/OsTIrusFX.component

  8. DAWでDSP56300のOSTRIUSを起動する。

Windowsの場合

  1. Virusの公式サイト(https://virus.info)にアクセス

  2. Virus TIの公式OSアップデータをダウンロード

  3. ダウンロードした.exeをインストール

  4. Program Files>Access Music>Common>「firmware.bin」を取り出す。

  5. DSP56300 Emurationのサイトに行き、DOWNLOADSからOSTIRUSをダウンロード

  6. インストールしたVSTと同じ階層にfirmware.binを置く

  7. DAWでDSP56300のOSTRIUSを起動する。

最後に

何度も伝えてますが、このエミュレータの使用は
Virus TIオーナーだけが合法です。

コミュニティでは、このシステムをつかって

「Virus TIのROMの販売だけをしてほしい」
「サードパーティのDSPでも再現できる可能性が広がった」

といった声も挙がっているようです。

実際、使用してみると
VirusTIの機能はすべて実装されている(ヴォコーダー、アルペジエーター、FX)
Finderベースでプリセットブラウザがある
サンプルレートは、実機では有りえない96khzまで対応していて、DAWに合わせて変動する
最適化がされているのか、同じくVirus A/B/Cのエミュレータである「OSIRUS」よりCPUの処理は軽快
デフォルトでCPUスパイク防止のためにDAWバッファとは別の「Latency」が設定されている(リアルタイムにすることも可能だが、結構怖い)

と、ソフトシンセ顔負けの機能・音質です。

実機だと
「アナログアウトするとノイズが乗って、OTTを噛ませられない」
「でもデジタルアウトすると、サンプルレートの切り替わりの際に不安定になる」
といったトラブルが多かったのですが、もうOTT直挿しできるの最高です。

今後は僕はVirus TIオーナーでもあるので
めちゃくちゃ活用していこうと思います。

では良きDTM生活を。

参照


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