"Why Apple Products Are Better For Music"
Sound Raveの近藤です。
仕事の編曲作業を終え、遅めのパスタを食べてながらTwitterを眺めていると、こんなYouTubeの動画が目に入りました。
Why Apple Products Are Better For Music
https://youtu.be/-sPbcTcUmcI
初noteとして、この動画で言ってる概要を日本語にしようかなと思いました。
自分は普段、一応「音楽家」として仕事として音楽を作ることをしています。実際周りのミュージシャンや音楽関係者のほとんどがMacユーザーです。そして、自分はWindows版FFXIVのハードユーザーでもあります。
- iOS vs Android -
上の動画ではiOSとAndroidで比較した際、
下記の点において「iOSがAndroidより勝っている」と結論づけています。
・Androidのレイテンシー問題
・Androidの端末の断片化問題
・Androidのマーケットでの市場規模
■Androidのレイテンシー問題
動画内概要
「Androidにおいて10msec以下のレイテンシーとなったものはGoogle Pixel2のみであり、ひどいものであれば300msecのレイテンシーが発生した。iOSでは平均6~9msecにすべての端末が収まっている」
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まずAndroidのレイテンシー問題ですが、この問題は実はすでに日本語でわかりやすく検証されている記事があります。
AndroidのDTMアプリが充実しない理由とは(2012.05)
https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/532607.html
Androidは「音声の遅延」が長く課題だった、最新のAnrdoid 11の動向は?(2020.06)
https://ascii.jp/elem/000/004/016/4016204/
そして、それに対してこういうnote記事も出ています。
Androidの弱点はほぼ克服されている件(2019.08)
https://note.com/hurumoon/n/n60dda9af9156
上記の3つの記事を読むと、
【Androidは長い時間、OSのレイヤーの問題でHWへのアクセスが煩雑になっていた、それをAndroid11で解決した】
ということがわかり、「動画で言ってることと違うじゃないか!」とお怒りの方がいるかもしれません。
ですが、このAndroidのOSのとしての問題点を解決したところで、次の問題である「端末の断片化問題」が大きな壁として立ち塞がっています。
■Androidの端末の断片化問題
【動画内概要】
「Androidは数千の端末と最新ではない複数のOSverの組み合わせを同時にサポートする必要があり、その分のコストが増加している。」
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前述した通り、AndroidはOSとして「レイテンシー問題」をAndroid11で解決しました。ですが、Android端末は多くのベンダー・デベロッパーにより製造されています。
それは「オープンな市場である」と同時に、「ソフトウェアデベロッパーに多くの環境のサポートを押し付けている」と同義になります。
これと似たようなことがWindowsでも起きています。
昔から音楽制作をしていた人等には有名な「TIチップの載っていないFireWire拡張ボードを使うと安定しない」とかそういう問題です。
Androidが発売されてから多くの端末が世に出回りました。
その結果、品質の悪いAndroid端末も多く出回っています。
それら数千の端末からある程度現行モデルと絞ったとしても、Androidをプレイストアで配信するには多くの端末のサポート・QAテストを要求されます。
また動画でも説明されている通り、iOSユーザーの90%以上は最新OS verとその1段階前のOS verを使用しています。それに対し、Androidは「一つのOS verが半数を占めた時期」がありません。
OSのAndroid11で問題が解決したとしても、
その「Android 11をインストールできて」「活かせるハードウェアである」Android端末だけをサポート対象にした場合、かなりユーザー数が少なくなると思われます。(だって高齢者向けの簡単操作AndroidでAudio向けのDSPをしっかり積んだAndroidとか想像できないじゃないですか)
■Androidのマーケットでの市場規模
【動画内概要】
「AndroidとiOSの端末比は8:2でAndroidが多くシェアを取っているが、実際にマーケットでの売上はPlayStoreよりAppStoreのほうが多く、一人あたりの金額で換算するとAndroidを多く上回る」
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これに対して、「(海外で)Appleの製品を持つのは比較的所得の高い人であるから当然だ」といった意見もTwitterでは散見します。この問題についてはテクノロジー的な問題ではなく、マーケット的な問題なので自分は専門外なのでなんとも言えません。
しかし、
「音楽制作における」端末として、iOSとAndroidを比較する
という話題に立ち戻った際、上記の2つの問題を持ったAndroidはかなり不利な立場になるのは容易に想像ができます。
- Windows vs Mac(macOS) -
※この問題について動画では操作性の問題にしか言及していないため、
それを補助する持論を多く含みます。
動画内で触れているWindowsとMac(macOS)についての問題点は下記の通り。
・Macの操作性(IT JUST WORKS)
・Macの値段とハードウェア
■Macの操作性(IT JUST WORKS)
動画ではGUIとIT JUST WORKSについて説明していますが、ぶっちゃけ
GUIに関しては各個人の好みだろ
って思ったので何も言いません。
ただ次で説明するIT JUST WORKSにおいては、Macのほうが明らかに優れていると考えています。
動画ではMacの操作性として「買ってすぐに音楽制作ができる」ことについて触れています。実際、MacではほとんどのオーディオインターフェースがUSBで繋ぐだけで動作します。ドライバーを入れるのはそのオーディオインターフェースの内部ミキサー機能だったり、DSP機能を使用したい場合であって、ただ音を出す機能を果たすのであれば、オーディオインターフェースを繋げば音が出ます。それもレイテンシーがない状態で。
Windowsも最近はクラスコンプライアンスのオーディオインターフェースをUSBで繋ぐとすぐに音が出てくれます。しかし、入力するとなると、標準のオーディオドライバーではレイテンシーがひどく使い物になりません。
そしてその調整のためにアプリケーションの設定をバッファサイズの調整をしたり、果てはマザーボードのCPUのスレッディング設定をBIOSで変えたり…そういったことをMacを数台乗り換えてきた自分は経験したことがありません。
そして、それを後押しするのがmacOSにおけるオーディオフレームワークの
Core Audioです。
このCore AudioがあるおかげでiOSの低レイテンシーは構築されているし、Macのオーディオアプリケーションの安定性が担保されているようなものでして、個人的な感想としてはCore Audioと完全に同等の機能がWindowsに実装されない限り、自分がWindowsで音楽制作を行うことはないと思っています。(ASIOはMSが開発していないので安定性が担保されない、WASAPIも実装されていますが、排他的モードにしないと実用に耐えないなどWindowsのオーディオ周りはまだまだな印象を受けます)
そして、前述のIT JUST WORKSの精神は、オーディオインターフェースのみならずプリンターやスキャナー、ゲームパッドコントローラーやMIDIキーボード、Webカメラなどですら同様です。よほどの業務用ハードウェア(映像キャプチャーボードなど)でない限り、例外なくUSBケーブル一本刺すだけでその買ってきた機材が使えるということはかなりMacにアドバンテージがあります。
ウィルスについても解説していますが、
今の時代Macだろうと感染リスクは高くなっているのでこの点ではWindowsと同じラインかと思います。
■Macの値段とハードウェア
【動画内概要】
「MacはハードウェアをAppleが作っているため、クオリティの高いハードウェアのみが生産されているためにクラッシュやトラブルが少ない。そしてWindowsより2倍の期間使用することができるため、トータルコストは高くない」
「Macの値段は高い」とよく言われます。実際自分も高いと思ってます。
動画ではなぜMacが高い点についても説明されています。
まずハードウェアとソフトウェアを同一のメーカーが作っていることに触れています。MacはAppleが厳選したパーツのみを組み合わせて作っているため、パーツ起因のトラブルがほぼありませんでした(たまにリコール問題を引き起こしたり、最近であればT2チップとAudioデバイスの問題があったり…大丈夫かApple?)
このハードウェアのチップがOSメーカーによって選定されていることはかなり重要なファクターとなります。
WindowsはAndroidと同様、多くのデベロッパー・サードパーティによるパーツ・構成が考えられるため、トラブルが発生するとどこに問題があるのかを突き止めるのに時間がかかります。
実はハードなPCゲーマーなどですら理解している人が多くないのですが、PCトラブルの原因が、外部ボード/外部ハードウェア用のICチップに起因していることが少なくありません。(昔からPCを自作していた人等には馴染みのあるTexus Instrumentsのチップ以外はトラブルを起こす、マザーボード側のUSB端子だとUSBマイクにノイズが乗るがPCIeのUSB端子は問題ないetc)
そういった多くの未検証のパーツの組み合わせを除外し、ある程度動作が保証されたパーツのみで構成されているという安心へ支払う価値として、コストとして計上されています。
そして動画では、ライブコーディネーターへのインタビューも行っています。このジャンルというか、
「絶対に止まってはいけないエンタメ業界の映像/音響ポン出し」
でのシェアはほぼMacの独壇場です。
DJがMacを使うのもライブマニュピレーターがMacを使うのもVJがMacを使うのも「絶対に止まってはいけない」という至上命題がある為、少しでもハードウェア相性に問題を抱えている可能性のあるWindowsは使うことを避けたいという実情があります。
値段という観点で見ると、音楽業界標準のレコーディングソフトである「ProTools」をリリースするAVIDが公表しているPC/Macの製品リストを見ると、Macが非力なMacBookAirやMac mini(9〜13万)でも対応しているのに対し、WindowsはHPやDELLのWorkstationモデルのみの対応となり、
「ProToolsを安く導入するには高いはずのMacを買わないと使えない」
という逆転現象が起きています。
ー他にも高い理由ー
ここからは動画では説明されていない部分です。
※音楽関係ない人は飛ばしてください。
【フォント】
Macを購入すると実質macOSというOSも手に入るのですが、
このOSにはデフォルトでグラフィックデザインでは著名なフォントがいくつも入っています。
ヒラギノ、Helvetica、Futura、Didot、Times(TimesNewRomanじゃないほう)など、ぶっちゃけフォントだけで云十万するフォントが付いてきます。そしてそれらのフォントは「商用利用が保証」されています。Windowsでもいくつかの「デザイン用として使用に耐えうる」フォントが入っていますがそれらの使用許諾は詳細が不明です。(個別にフォントブランドにライセンスを取るのか、MSにライセンスを取るのか、それともデフォルトでライセンスが付与されているのか)
添付フォントのライセンスは?
https://discussionsjapan.apple.com/thread/10164534
Windows10付属フォントの商用利用の可否
https://answers.microsoft.com/ja-jp/windows/forum/windows_10-windows_install-winpc/windows10%E4%BB%98%E5%B1%9E%E3%83%95%E3%82%A9/fe65c49e-01fc-40de-b98c-45c3506699d0
【カラーマネジメント】
Windowsに対し、Macはカラーマネジメントの観点から非常に強力なアドバンテージがあります。
なので、動画内でもちらっと言っていますが、映像業界においてはかなりOSによる分業ができている状況です。
GPUパワーを必要とするノンリニア編集やコンポジット作業は、構成をガシガシ変えられるPCで行い、フィニッシュワーク・グレーディングは色の正確なMacで行う。MAはProToolsをインストールしたMacで、光学ディスクやマスターデータのオーサリングはWindowsで。
みたいなところは多いんじゃないでしょうか。
総括すると、
Win/Macは結局道具なので自分のやりたい創作物にあったものを選択すればいいと思います。
リアルタイムならレイテンシー低いiOSを、
オフライン的な作業ならAndroidで。
音楽制作ならほぼMacで余計なトラブルを回避できます。
イラスト制作や写真現像ならMacで色が正確に扱えます。
3DCG・映像制作ならWindowsでGPUを含め構成を簡単に変えられます。
XperiaにiOS載った端末出ねえかな…
Xperiaのディスプレイめちゃくちゃキレイなんすよね…