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障害年金法研究会のシンポジウムに参加してきました!

障害年金に関する問題は深刻化しています!

10月に障害年金法研究会主催のシンポジウムに参加してきました。こちらの会は、2015年10月に結成され、障害年金を必要としている方に確実に行き届くようにするために、社労士、弁護士、研究者等の専門家から構成された任意の団体だそうです。

会のHPはこちら 
また、会の公式ウェブ雑誌として「障害年金法ジャーナル」があり、HPにて全文無料公開しているとのことです。ご興味のある方は、ご覧になってみてください。

私は、家族に障害者がいます。そのため、障害年金に関する制度や福祉に関しては、ずいぶん独自で調べていましたが、とにかく国が決める制度は複雑でわかりづらいです。行政機関での勤務の経験もあり、仕事を通して感じたことは、「国民に優しくないような資料を作るなぁ。」ということでした。
例えば、「大事なことは小さく書いてある。」、「どこからつつかれてもいいように長々と複雑に書く。」等。(^^;)
余談になってしまいました…が、正直な気持ちとしては、本当に必要な人に相応の額が支給されているのだろうか、と常々疑問に感じていました。
今回のシンポジウムは「『障害年金改革まったなし!(~障害年金法研究会「提言」が目指す改革とは?)』というテーマでした。実際に障害をお持ちの国会議員の方々のお話を聞く大変貴重な時間でした。また、診断や申請に関わる医師や弁護士、社団法人の方々のそれぞれの立場からのお話も聞くことができ、とても有意義な時間でした。

〇 障害年金の現状と問題点
現在、具体的な問題として以下の内容があげられるのではないかと考えます。

1. 給付水準の低さ
障害年金の給付額は、障害者が日常生活や医療、介護にかかる費用を十分にカバーできないケースが多いです。
具体例:ある障害者が障害等級2級の年金を受給しているが、医療費と生活費がかさみ、他の支援も必要になってしまいます。

2. 手続きの複雑さ
障害年金の申請手続きが非常に複雑であり、医師の診断書や障害の詳細な記述が求められるため、自己申請が難しい。
具体例:知識のない申請者が提出書類の不備で申請を却下されたケースが多発。

3. 更新審査による不安
障害年金には定期的な更新審査があり、障害者にとっては「いつまで年金が受け取れるか」という不安がつきまといます。
具体例:症状が悪化しているにもかかわらず、更新審査で年金の減額または停止となるケース。

4. 障害等級の認定基準の問題
障害等級の判定が厳格であるため、一定の障害があるにも関わらず、受給資格が得られない人が多いです。
具体例:精神疾患や発達障害が軽度と判断され、障害年金が支給されないケースが増加。

5. 働く意欲への影響
障害年金を受給すると、就労に対する意欲を削ぐような社会的な風潮や制度上のデメリットが存在します。
具体例:就労によって障害年金が減額または停止されることを恐れ、働くことを躊躇するケース。

以上のように、現実において様々な問題が山積しています。

国は2025年に年金制度全般を見直し、遺族年金・障害年金等の改革を行う方針を明らかにしています。
今回、障害年金法研究会のシンポジウムでは、障害年金に対する国の議論はあまり進んでいないという現実に対して、2025年改革の機会に、憲法・障害者権利条約等の趣旨に相応しい内容に改革されることを求めて、国に対して提言する方針を示しています。是非、国が真摯に現実を受け止め、提言に適した改革を進めてほしいと思いました。

障害年金とは?

〇 障害基礎年金と障害厚生年金
障害年金は、病気や怪我により日常生活や就労に支障が出る状態となった方に支給される公的年金制度です。障害の程度や加入している年金制度によって、障害基礎年金と障害厚生年金に分かれます。以下、それぞれの特徴や支給条件、支給額について簡単に解説します。

1. 障害基礎年金の概要
障害基礎年金は、主に国民年金に加入している方が対象で、障害の程度が重い場合に支給されます。障害基礎年金は、国が定めた障害等級に基づき、障害1級または2級の方に支給される制度です。
1.1 支給条件
障害基礎年金を受け取るためには以下の条件を満たす必要があります。
・初診日が国民年金加入中であること
・障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日)において障害の程度が1級または2級に該当すること
・保険料納付要件を満たしていること(保険料の未納が少ないこと)
1.2 支給額
支給額は障害等級によって異なります。(以下は2023年度の支給額を例示)
・障害1級:年間約 979,300円
・障害2級:年間約 783,900円
また、18歳未満の子供がいる場合、加算額が支給されます(第1子・第2子:各年間約224,700円)。

2. 障害厚生年金の概要
障害厚生年金は、厚生年金保険に加入している会社員や公務員の方が対象です。障害基礎年金に加えて支給され、障害の程度に応じて、3級までの方に支給されます。さらに、3級に該当しない軽度の障害であっても、一時金が支給される場合があります。
2.1 支給条件
障害厚生年金を受け取るための条件は以下の通りです。
・初診日が厚生年金加入中であること
・障害認定日において、障害等級1~3級に該当すること(3級未満でも一部支給あり)
 ・保険料納付要件を満たしていること
 障害等級は、病状や障害の影響範囲に基づき判断されます。
2.2 支給額
障害厚生年金の支給額は、平均標準報酬月額と加入期間に基づいて算定されます。一般的な計算式は以下の通りです。
「報酬比例額」= 平均標準報酬月額 × 加入期間(年数) × 支給率
・1級:報酬比例額 × 1.25
・2級:報酬比例額
・3級:最低保障額として年間約58万円(2023年度)
2.3 障害手当金(3級未満の障害の場合)
厚生年金加入者が3級未満の軽度な障害を負った場合、一時金として障害手当金が支給される場合があります。この金額は、平均標準報酬月額と加入期間に基づき算定され、原則として1回限りの支給となります。

まとめ

 障害基礎年金と障害厚生年金は、それぞれ対象や支給条件が異なります。国民年金や厚生年金に加入している期間における障害の発生時点で、どの年金に該当するかが決まります。制度をよく理解し、必要に応じて早めの申請を行うことが重要です。

 以上が現状の制度でありますが、障害年金法研究会では、現制度でのさまざまな問題点を指摘しています。

<次回の記事>
 次回は、「障害年金法研究会のシンポジウムに参加してきました!part2」と題し、実際の提言内容や具体的な問題点等に関して、障害年金法研究会作成の資料を参考にさせていただきながら、記事を書いていこうと思います。

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MIKOHA@社労士office One circle
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