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2024(令和6)年 最低賃金【速報】と最低賃金の基礎知識~人事労務担当者向け解説~
2024(令和6)年8月29日付の厚生労働省プレスリリースによる地域別最低賃金の改定額について答申状況が発表されました。
今回は、50円~84年の引き上げとなり、改定額の全国加重平均額は1055円となりました。
引上額の最高額は84円で、徳島県で980円となり11月1日発効予定となっています。
最低賃金の最高額は、東京都で1163円(昨年比50円アップ)に決定し、発効日は10月1日となりました。(8月30日付東京労働局発表)
各都道府県の最低賃金額は、表のとおりです。発効予定年月日は10月1日から11月1日までの間となっており、都道府県ごとに決定されます。この発効日は変更となる可能性がありますので、各都道府県労働局のホームページ等で決定状況を確認してください。(すべての都道府県で確定しましたら改めてお知らせします。よろしければフォローしてお待ちください。)
「令和6年度 地域別最低賃金 答申状況」出典:厚生労働省
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以下は、最低賃金の基礎知識を解説します。
1.最低賃金とは
最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定めています。使用者は、労働者に、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度のことです。
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金(特定の産業について設定されている最低賃金)」の2種類があります。
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合は、使用者は労働者に高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
(1) 最低賃金の適用について
地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、原則としてその都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されます。
特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます。(昨年の特定最低賃金は12月~1月に発効されています。)
ポイント① 「実際に働く事業所」の最低賃金が適用される(テレワークの場合はどうなる?)
本社の都道府県と、勤務地の都道府県、従業員の住所の都道府県のどれが適用されるか疑問に思うかもしれませんが、従業員が「実際に働く事業所」が基準です。
例えば、派遣労働者であれば、実際に働く場所は派遣先なので、派遣先の最低賃金が適用されます。
本社と勤務地の都道府県が違う場合も、「実際に働く事業所」である勤務地の最低賃金が適用されます。
ただし、在宅勤務(テレワーク)の場合は、実際に働くのが自宅であっても、「在宅勤務(テレワーク)を行う労働者の属する事業所」の最低賃金が適用されます。
ポイント② 最低賃金の適用日について(適用日が給与計算期間の途中の場合は注意!)
最低賃金の発効日が効力発生日です。効力発生日以降の労働については、最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。
東京都の場合でいうと、2024(令和6)年10月1日発効が決まりましたので、10月1日以降に労働する分から最低賃金以上の金額で支払わなければなりません。
例えば、毎月15日締めで給与を計算している場合に、10/16から時給を改定するのでは、10/1-10/15分の時給が最低賃金未満となってしまい、最低賃金法に違反することになってしまいます。最低賃金発効日が給与計算期間の途中にある場合は、注意してください。
※違反した場合は罰則があります。((3)参照)
(2) 最低賃金額以上かどうかを確認する方法
最低賃金額以上となっているかどうかは、賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金(時間額)と比較します。
※最低賃金の対象とならない賃金を除いて下記を確認する必要がありますのでポイント①もご確認ください。
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ポイント① 最低賃金の対象とならない賃金
対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。そのため、以下は最低賃金の対象となりません。
【最低賃金の対象とならない賃金】
(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
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ポイント② 最低賃金の減額特例許可制度
精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い労働者などについては、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別に減額した額を適用する「最低賃金の減額の特例」があります。https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/01-12.pdf
(3) 罰則
最低賃金法に違反すると下記のような罰則があります。
・地域別最低賃金が適用される労働者に対し、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者は、50万円以下の罰金に処せられることがあります。(最低賃金法第40条)
・特定最低賃金が適用される労働者に対し、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者は、50万円以下の罰金に処せられることがあります。(最低賃金法第9条、第40条)
・特定最低賃金が適用される労働者に対し、特定最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者は、30万円以下の罰金に処せられることがあります。(労働基準法第120条)
2.業務改善助成金について
「業務改善助成金」とは、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに事業場内最低賃金を一定額(令和6年度においては30円)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。
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詳しくは、リーフレットを参照してください。https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001222481.pdf
今回はすべての都道府県で50円以上最低賃金額が引上げられています。人事労務担当者にとっては、給与計算事務に多大な影響があることと思いますので、今回の情報を役立てていただけたら幸いです。