真面目だった私が職場をバックレて突如フリーになった夏の話①
仕事を辞めた。
新卒2年目の出来事だった。
正確にいうと、いわゆるバックレ。ここにいたらまずいとある日突然思い立ち、荷物も全部置いて逃げてきた。ちなみに自分から伝える気力がなかったので、退職代行に依頼して、退職の意を職場に伝えてもらった次第。
これまでの生い立ち
私は普通に真面目な人間だった。なんの取り柄もなく、与えられたものをこなして生きてきた。
中学も高校も大学も、そこについてくる部活もバイトも、途中で諦めようと思ったことはなく、習い事も習える年齢までずっと続けてきた。それで充実していたからこのままのスタイルで生きていこうと思っていた。
だから、そんな人間がこんなところで躓くなんて、思ってもみなかった。
昨年、新卒で入った職場。昨年は環境に恵まれ、(もちろん大変だったけれど)なんとか乗り切ることができた。仕事にも慣れて、余裕ができていた矢先だった。
2年目の春、部署内のメンバーを総入れ替えした際、別の部署から大ベテランのおばちゃんがやってきた。私が仕事を放棄したのもそのひとのせいといっても過言ではない。そのくらい、場の空気を乱し、自分の意見を通そうとするおばちゃんだった。あるときは怒鳴り合いの喧嘩をし、気を引かせるときもあった。ただ聞いていることしかできなかった。
もちろん、私は昨年同様、与えられた仕事をこなして、真面目に取り組んだ。提出日は必ず守り、期限までに全て仕上げた。何度も足を運び、不安なことは全部メモしたり、人に相談したりした。
一方部署内は言いたい放題やりたい放題のおばちゃんに振り回されて派閥が出来上がっていた。対立も多くなった。
ふと私は、ある違和感に気がつく。
「あれ、これ私、良いようにされてない???」
この環境の変化になかなか慣れずにいた私は、いつのまにか、部署内で板挟みにされて、良いように扱われていた。
おかしいと気づいた要因
私がこの「おかしさ」に気づいた要因はいくつかある。一つ目は、意見のすれ違いから企画を放棄され、なぜか私が一人でやるハメになった事件だ。「これ、もうすばるんさんがやっておいて」と放り投げられた。おかしな話でしょう。でも、私、真面目に受け取っちゃうんですよ。
他の人が自分の仕事をするなか、私だけ企画の準備を進めた。自分にだってやらなくちゃいけない仕事があるのに。初めは自分のやりたい放題をしていたおばちゃんも「貴方に任せられたんだから、貴方が最後までやるべき」なんて突っぱねられてもう大変。
結局、家に持ち帰ったりして休日という休日を過ごせないまま仕事をした。最後の最後まで同じ部署の人もおばちゃんも手をつけなかった。すばるんちゃんがやってくれるからいいやってね。責任感皆無かよ。
心ない言葉をかけられることもあった。何度も叱責されたり、時には後輩の前で「下手くそ」なんて言われることもあった。「人が企画を進めているのに話しかけずに他ごとやんないで。」なんて言われたこともあった。その言葉、お包みしてそっくりそのまま返してやろうかと思った。そんなこと言わなくてもよくない?パワハラじゃん。こんなの。
昨年のやり方でやっていたら、「昨年同様じゃだめだよ」と言われやり方を変えられる始末。なんであんたらの気分で振り回されんとならんのか。
おばちゃんだけじゃなくて、同じ部署の人たちも私に対してそうやって対応するようになった。私の、職場への不信感が急激に高まり出したのはこの頃からだった。
意思表示
そんなこんなで心も体も疲弊した私は、7月末、上司に「もう限界。これ以上この状態が続くようなら、8月末で退職する」という旨の意思表示をした。
上司の答えは
「人手不足だから、もうちょっとここにいてほしい。」
「その人に言ってみるから様子をみて。」
だった。その話を聞いて罪悪感が沸き、真面目に受け止めてしまった私は、「わかりました。」と答え、その場をあとにした。おかしいとわかっているのに、変な優しさで対応した。これが後に悩む原因になる。
そのあと上司がおばちゃんに、同じ部署の人になんて言ったのかはわからないけれど、そこからおばちゃんの態度も、同じ部署の人が私に対して当てる風の強さも変わることはなかった。
そんな中、ある日同じ部署の同僚から電話がかかってきた。その日は有休で、久しぶりにリフレッシュして丁度、家に帰宅したときだった。
つづく。