年末調整を廃止して、確定申告代行士を新設します
これ、昔あった「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」というTV番組のマニフェスト風のタイトルだが、この政策本気で必要である。
年末調整というのは、会社員が1月~11月の間源泉徴収で納めていたのを、12月の給料で本来の税額に会社が調整するというものである。この年末調整については企業の給与計算担当者はもちろん、従業員もいろいろ書類書いたり集めて提出したり面倒である。小さな企業は税理士にお願いしているところもあるが、専門職の税理士ですらめんどくさくて廃止してほしいと言っている。どうやら、年末調整の手引きというのが毎年変わっていて、これを理解するのが決して簡単ではないらしい。
本来は納税者(労働者)がそれぞれ確定申告を行うものであるが、それを会社が代行しているのである。年末調整とは、従業員全員分の確定申告を代行しているというイメージである。
この年末調整のために従業員は給与計算担当者にいろいろ情報を渡すのだが、家族の収入であるとか(本人を含む)障害の有無、住宅ローンの額などかなりセンシティブな情報を渡すことになる。会社の給与計算担当者は、言っちゃなんだが(公に認められた専門職に対する)素人であり、守秘義務違反したとしても刑事罰の対象にならない。
今(といっても十数年前から)では、確定申告はインターネットにつながるパソコンなどがあれば、源泉徴収票などを見ながら国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーで打ち込めば自動的に確定申告書を作ってくれる。マイナンバーカード作ってなくてもプリントアウトして郵送すれば問題ない。そもそもマイナンバーという概念ができる前からあったシステムだから。
マイナンバーカード有無関係無しに、全員が確定申告するようにしたほうが良い。先の年末調整廃止論者の税理士は同じ人数確定申告でやったほうがはるかに楽と言っている。
ならば、確定申告専門の税理士みたいな資格を新設すればよいのではないか。税理士になるには一定の学歴または資格(日商簿記1級など)がある人が簿記論・財務諸表と税法3科目(選択必須アリ)合格しなければならず、合格までにかなり長期間かかる人もいる。
しかし、給与所得者の確定申告には簿記の知識は全く必要なく、所得税法も税理士試験レベルのものまで必要ない。確定申告書作成コーナーそっくりのシステムを使ったCBT(コンピューターで行う試験)でいくつか確定申告書を作らせればいいだろう。とりあえず、確定申告書Aのレベルができるところから始めればよいだろう。税理士や税法の専門家などによる議論を経て、確定申告書Bの作成も部分的に開放するといった感じだろうか。もちろん、例え副業で事業収入がある程度でもダメという話になればそこで終わりでよいだろう。試験で「この事例は引き受けてはいけない」というものも入れていいかもしれない。
そして、言うまでもなく守秘義務が法的に発生し、守秘義務違反には刑事罰も発生すると。
この確定申告代行士を企業の給与計算担当者が取得して確定申告を代行すれば時期は変わるが結果として年末調整と同じことにできる。それほど難しい資格ではないので、責任者だけ資格取って無資格者に作業してもらうことを禁止し、有資格者が全てを行わなければならないようにするのが適切だろう。従業員との間での書類の受け渡しをのり付けした封筒使って行うのは良い。給与計算の代行を行っている社会保険労務士が年末調整の下準備をしていることもあるが、確定申告代行士を取得して確定申告までやる方がすっきりするのではないか。