旦那という推し
まだ日本にいた頃の話を。
旦那とのビデオ電話
渡航の日程に際し「旦那が先に渡米する。生活の準備が整えてからでないと妻は渡米できない」というルールがあった。生活の準備が整うまでの期間は、平均して2ヶ月から3ヶ月。
新婚の私たちにとって2ヶ月は考えられないほど長く、途方に暮れた。
とにかく、毎日電話をした。
時差があるから、電話ができるのは日本時間での21時から22時の1時間。旦那が朝起きて、仕事に行くまでの間のみ。必死にその1時間を確保して毎日ビデオ電話をしていた。
すると、なんだか旦那が推しのように思えてきたのだ。
会いたくても会えない、でも画面越しでなら会える。でも会える時間は制限されている(こんなことを言うと多方面から推しを舐めるなよ!と怒られそうですが)。
調子に乗って、「スクショタイムちょうだい」なんてねだってみると、ニコニコとピースをしてくれる。嬉しくなって、何枚もスクショをしてしまった。ツーショットまで撮ってもらった。
推し活、というもの
最近、日本では「推し」の存在が一世を風靡している。
かくいう私の母もBTSとやらにどハマりしている。もういい歳なのだが、グッズを買い集めたり、ライブ映像を見たり、とても楽しそうだ。推し仲間のお友達までいるらしい。
その点、私はものすごく何かにハマったという経験がない。熱し易く冷めやすい性格の欠点である。あ、これ好き!となることは多いのだが、なんせ長続きしない。自分の時間をお金をかけてまで応援したい!という気持ちになったことながんく、もしかして自分はとても薄情なのではないかと心配になる。
そういう事情もあり、「推し活」をしている母はとても充実しているように見えて、推し活にものすごく憧れていた。
もしかして、その夢がいま、叶えられるかもしれない。
こうして私の2ヶ月限定の「推し活」がスタートした。
聖地巡礼
誕生日に生電話をしてもらったり、ファンレター(エアメール)を送ったり。推し活と称していろいろと楽しんだ。
しかし、やはり推し活といえば聖地巡礼だろう。
旦那の実家には行ったことがあるし、社会人になってから過ごしていたは私もよく知っている街だし、と悩んだ挙句、旦那が学生時代を過ごした場所、京都へ行ってきた。私は京都まで新幹線で3時間くらいかかる場所に住んでいるので、これはかなり推し活度高め、と認定しても良いのではないだろうか。
待ちに待った当日。
推しの存在を感じながら、いつも以上にしっかりとお化粧をして、おめかしをして、いざ、京都に向かった。
なんと、南禅寺以外は、旦那は行ったことがない。旦那に京都と言えば?と聞くもそんなキラキラした京都生活してないよ、とおすすめの場所が一つも(見事に一つも)出てこなかったので、私の行きたいところに行った。
ただ果たしてこれは聖地巡礼と呼べるのか、ただの私の京都観光ではないか…
まぁ、また今度一緒に来ればいいか。
でも、なんというか、聖地巡礼だ!この街で推しが暮らしていたんだ!と思うだけでその土地がぐっとキラキラして見えるものですね。この街に少しでも詳しくなりたい!と思うとなんだか家に帰るのが勿体無くて、ぶらぶらと散歩をしたりして、この日だけで20000歩くらい歩いていました。
束の間の推し活、とっても楽しかったな。
正直、「推しがいるだけでいい」とか「推しのために働く」とか「推しがいるから彼氏なんてどうでもいい」とか。心のどこかで何を言っているんだと思っていた節があるのですが、馬鹿にしてごめんなさいと心から謝りたいです。推しのいる方はいつもこういう思いをしていると思うと、とても羨ましい。
どうか私に、あなたの推しを布教してください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?