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きいてかくタネ:7粒め「フリーライターの価値を考える 〜単価は上げるもの?上がるもの?〜」
フリーライターという職業を選んだ方々の多くが、いつか直面する悩み。それは原稿の「単価」についてです。私が先月Xで行ったアンケートでも「単価の上げ方」への関心は第2位を記録するほど。今回は、この永遠のテーマともいえる単価について、現場の実態とともに考えていきたいと思います。
気になる原稿単価の相場
「一体、いくらが相場なの?」。これは駆け出しのライターさんからよく聞かれる質問です。弊社が受注する一般的な記事では、1万円から3万円程度が平均的な単価となっています。もちろん、4万円から5万円という案件も存在しますが、残念ながらそれほど多くはありません。それ以上の単価もたまにあることはありますが、まさに宝くじに当たるようなもの。そう簡単には巡り会えないでしょう。
なお、文字数については通常2,000字から4,000字程度が一般的です。ただし、弊社では基本的に文字単価での請負はしておらず、記事1本あたりでの料金設定が主流となっています。
単価アップへの道のり
「それでは、どうすれば単価を上げられるのか?」
結論から申し上げると、既存の案件で単価を上げるのは至難の業です。クライアント側には予算が決められており、交渉によって原稿単価を引き上げることは、ほぼ不可能といっても過言ではありません。
ただし、まったく希望がないわけではありません。例えば、特急料金や出張手当、特殊案件といったオプション加算を設定することで、若干の上乗せは可能です。とはいえ、これも交渉できる相手は限られており、増額幅もせいぜい3,000円から1万円程度にとどまります。
高単価案件を獲得するために
では、より良い収入を目指すにはどうすればよいのでしょうか。答えは意外にシンプル。最初から単価の高い案件を取りに行くしかないのです。
そのためには、「オンリーワン」になることが不可欠です。具体的には、以下のような方向性が考えられます。
まず、専門知識の獲得です。薬機法や美容、半導体といった特定業界の深い知識や、独自のネットワークを持つことで、他のライターとの差別化が図れます。
次に、特殊技能の習得です。例えば、インタビューのスキル。「経営者インタビューなら○○さん」という評価を得られれば、自ずとご指名案件が増えていきます。これは必ずしも高単価とは限りませんが、少なくとも一般的な単価より上乗せされる可能性は高くなります。
また、正確さとスピードも重要な要素です。修正が少なければ、クライアント側の工数も削減できます。ただし、この点を原稿料に反映してくれる発注者は残念ながら少ないのが現状です。
さらに、ネームバリューの獲得も確実な方法の一つです。ただし、これは一朝一夕には実現できません。
最後に、案件選びも重要です。広告案件や企業出版物など、予算規模の大きい仕事を選ぶという手もあります。ただし、これらの案件では発注者の意向を全面的に受け入れる必要があり、原稿や取材の自由度は制限されます。また、名前が表に出ないため、実績としてアピールできないというデメリットもあります。
バランス感覚が鍵を握る
結局のところ、オンリーワンの存在となり、迅速かつ正確な仕事をこなし、案件を適切に選別できれば、自然と単価は上がっていくものです。しかし、ここで一つ考えなければならない点があります。それは「やりがい」です。
つまらない仕事はモチベーションが低下し、結果的に生産性も下がってしまいます。とはいえ、やりがいだけを追求するのもプロとしては適切とは言えません。「利益」と「モチベーション」のバランスを取ることが、長期的な成功への鍵となるでしょう。
発想の転換で見えてくるもの
ここで一つ、おすすめしたい考え方があります。それは「コスパ・タイパ」(コストパフォーマンス・タイムパフォーマンス)を意識するというものです。原稿1本あたりの作業効率を2倍にできれば、実質的な単価も2倍になる計算です。
これは、収入を2倍に増やすより支出を半分に抑える方が容易だという、家計の知恵にも通じる考え方です。単価アップを目指すなら、このような逆転の発想で問題に取り組むのも一案ではないでしょうか。