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氷上デスレース

あらすじ

真冬の深夜、都市の路上は氷に覆われ、スケートリンクと化す。
ここでは"ルール無用"のスピードスケートバトルが繰り広げられていた。

主人公のカズキとリョウは、街で最速を誇るスケーター。
彼らは"氷上の覇者"の座をかけて、誰よりも危険でスリリングなレースを繰り広げる。
信号無視、逆走、スリップする車――あらゆる障害を回避しながら、氷上の死闘を繰り広げる二人。

しかし、決着がつこうとしたその瞬間、異様な音が響き渡る。

「ズズズ……ゴゴゴゴ……!!!」

突如として現れたのは、"狂乱カーリング軍団"。
彼らは通常のカーリングとは一線を画し、廃車、冷蔵庫、自動販売機を"ストーン"として投げ飛ばす無法集団だった!
そして、彼らのリーダー**"アイス・キング"ことゴウダ**は、氷上の支配者の座をかけ、スケーター軍団に挑戦を叩きつける。

こうして、スピードスケーター VS カーリング軍団の氷上大乱闘が勃発!

暴走する**"巨大ストーン"**をかわしながら滑るカズキとリョウ。
しかし、カーリング軍団は"最終兵器"を用意していた。

それは――"トラックカーリング"。
廃棄された大型トラックを、巨大なカーリングストーンとして発射するという狂気の技だった。

「マジかよ!?!?」

暴走するトラックが、氷上を猛スピードで滑る。
このままでは、スケーター軍団はなすすべなく轢かれる……。

だが、カズキとリョウは最後の決断を下す。
リョウはカズキの肩を蹴って加速し、氷上の障害物を利用してトラックのフロントガラスへ飛び込む!!
そして、ハンドルを強引に切り、暴走トラックを制御不能にさせる!!!

トラックはスピンし、そのまま川へとダイブ!!!

戦いは終わり、静寂が訪れる。
夜が明け、氷はゆっくりと溶け始める。

スケーターたちはスケート靴を脱ぎ、カーリング軍団もまた静かに姿を消す。
朝の通勤ラッシュが始まり、街は何事もなかったかのように日常へと戻っていく。

しかし、カズキとリョウは確信していた。

「また、氷が張ったらな。」

次の冬が来れば、戦いは再び始まるのだから――。

第一章:氷の夜、無法スケーターたちの決闘

氷の支配者たちが集う夜
都市の夜を切り裂く冷たい風。
深夜0時、気温は氷点下まで急激に下がり、路上はまるで天然のスケートリンクのように滑らかな氷で覆われていた。

路肩に停められた車のフロントガラスは霜に覆われ、街灯の灯りが凍ったアスファルトにぼんやりと反射している。
タイヤの跡すらつかないツルツルの路面――それはまさに、**「無法のスケートリンク」**だった。

そんな異様な夜、とある交差点に黒い影が集まる。

"アイス・ハイウェイ"と呼ばれる地下ストリートの決戦場――ここに、氷の覇者たちが姿を現した。

「……今夜もやるのか。」

低い声とともに、ひとりの男がフードを被ったまま路上に降り立つ。
その目は、氷のように鋭い。

「フフッ……当然だろ? 氷が張れば、俺たちは"ここ"に来る。」

そう答えたのは、彼のライバル。
夜の闇に溶け込むような黒いジャケットを羽織り、足元のスケートブレードをゆっくりと調整する。

彼らの名前は――

"氷刃のリョウ"
"アイス・デビル"のカズキ

都市のスケーター界でその名を轟かせる二人。
彼らの存在を知る者は、こう呼ぶ。

「無法スケートの王者たち」

だが、"王"はひとりしかいらない。
今夜、その頂点を決める戦いが始まるのだ――!

無法レース、開幕
リョウとカズキだけではない。
彼らの戦いを見届けようと、他のスケーターたちも続々と集まってきた。

「おい、あいつらまたやるのか?」
「マジかよ、去年の決着まだついてねぇんじゃね?」
「どっちが速いか……そろそろ白黒つける時だな。」

ストリートに生きる者たちが、路上の氷を蹴って滑りながら集まる。
誰もが、二人の対決に目を光らせていた。

「――ルール無用のスピードスケートバトル、開幕だぜ!!!」

先頭に立ったスケーターが叫ぶと、観客たちは熱狂し、冷え切った空気の中に歓声が響き渡る。

コースはシンプル――この交差点をスタートし、ゴールは"氷の橋"と呼ばれる高架下。
途中には、凍結した車道、一般車両、横滑りするトラック、信号無視の猛ダッシュ……
すべての障害を乗り越え、先にゴールした者が勝者となる!

スタートの瞬間
カズキとリョウは、氷の路面に足を据えた。
両膝を曲げ、スタートダッシュの体勢をとる。

「カズキ、準備はいいか?」
「当然だ。リョウ、お前こそ置いてかれるなよ?」

二人の間に、火花が散るような緊張が走る。
観客たちが息を飲み、静寂が訪れる。

信号の光が青に変わる――!

「行くぜぇぇぇ!!!」

カズキとリョウが同時に氷を蹴り、猛スピードで飛び出した!!

凍結した道路を"滑る"のではなく、"切り裂く"かのようなスピード。
二人のエッジが氷を削り、キラキラと氷片が舞い上がる。

「くそっ、速ぇな!!!」

リョウが前を行くカズキの背中を睨み、さらに加速する。

交差点にタクシーが突っ込んでくる!

「ッ……危ねぇ!!!」

カズキがギリギリで横滑りし、タクシーのミラーすれすれを通過する。
リョウも寸前でしゃがみ込み、車の下をスライディングで抜ける!!

一歩間違えれば、大事故。だが、彼らにとってはただの"スリル"でしかない。

「チッ、やるな……!」

リョウが歯を食いしばりながら、さらにスピードを上げる。

凍ったビルの谷間を、二人の影が風のように駆け抜ける――。

この都市の"氷の覇者"は、まだ決まっていない。

だが、これはまだ"序章"にすぎなかった……。

次の瞬間、思いもよらぬカオスが彼らを襲うことになるのだった。

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